長く商用バン界のトップに君臨しているトヨタハイエース。国内で販売している現行型(H200系)の発売は2004年で、ほぼ完成された使い勝手を持つということもあり細かいマイチェンを繰り返して車齢はもう17年。さすがに衝突安全基準や排ガス性能を考えると、そろそろフルモデルチェンジしないといけない時期に差し掛かっている。
海外仕様は一足早く2019年にH300系へと切り替えが進んでいるが、では(根強いファンを多く抱える)日本市場はどうなるのか……。
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なぜハイエースはこれほど人気なのか、そしてなぜいつまでたっても新型が出てこないのか(今夏に一部改良を実施する予定あり)、そして、そうはいってもそろそろ新型の情報があるのではないか。商用車に詳しい渡辺陽一郎氏に伺った。
文/渡辺陽一郎
写真/TOYOTA、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】海外では新型登場!! 日本向けの次期ハイエースはどんなスタイルに?
■発売から17年たっても売れまくりの現行ハイエース
2004年8月に登場したH200系ハイエース。標準ボディ・標準ルーフのボディサイズは全長4695×全幅1695×全高1980mm、ホイールベースは2570mm
街中で見かける乗用車の種類は、ミニバン、SUV、セダンとさまざまだが、商用車はハイエース(生産を終えた姉妹車のレジアスエースも含む)が圧倒的に多い。1か月に6000~7000台を登録している。
2004年に現行ハイエースが発売された時の月販目標は、ハイエースと姉妹車のレジアスエース(2020年に廃止)を合計して4500台だった。つまりハイエースは、発売から17年を経過しながら、今でも目標台数を上まわる売れ行きを保っている。
以前からハイエースは人気の商用車だったが、販売店はトヨペット店で、姉妹車のレジアスエースはネッツ店だった。それが2020年5月以降は全店で全車を扱うようになり、レジアスエースは廃止され、従来はハイエースを扱っていなかったトヨタ店やカローラ店でも売れ行きを伸ばしている。
2020年5月に実施された一部改良では、車両後方を映すデジタルインナーミラーやパノラミックビューモニターをオプション設定
ハイエースの販売状況について、トヨタ店は以下のように述べた。
「新たに取り扱いを開始したハイエースは、堅調に売られている。ビジネスのお客様に加えて、バイクの運搬など、趣味で使うトランスポーターとしても人気が高い。ハイエースは車内が抜群に広いから、乗用ミニバンとは比較にならず、キャンピングカーのベース車としても利用される。また乗用ミニバンのエンジンは、ノーマルタイプとハイブリッドだが、ハイエースには幅広いグレードにクリーンディーゼルターボを用意する。ディーゼルの運転感覚が好きなお客様の間でも、ハイエースは人気を高めた」。
ハイエースは定番の商用車で、荷物を積む用途に最適だが、趣味のツールとして使うユーザーも多い。用途がビジネスユースに限られないことも、好調な売れ行きの秘訣だ。
■実用性だけでなくリセールバリューの高さも魅力
ハイエースバン スーパーGL 標準ボディ・標準ルーフ仕様
またトヨタ店は、ハイエースが高値で売却できるメリットも指摘した。
「ハイエースは国内に加えて、海外でも中古車需要が多い。そのために中古車価格が高まり、売却時の金額も吊り上がった。耐久性が優れ、使い込みながら故障しにくいことも、中古車人気が高い理由だ。例えば15万kmを走った10年落ちの車両は、普通は金額が付かないが、ハイエースであれば相応の価格で買い取れる。法人によっては複数のハイエースを所有しており、資産価値を保つメリットも生じるので、人気がさらに高まっている」。
乗用車でも購入後に高く売れるか否かは大切な課題だが、複数の商用車を所有する法人にとっては一層重要だ。ハイエースでは高人気が資産価値を高め、さらに好調な売れ行きに繋がっている。
それだけにハイエースのフルモデルチェンジは気になるところ。機能を幅広く進化させ、なおかつ前述の好循環を妨げないクルマに仕上げねばならない。
■次期型ハイエースはいつ登場?
2019年2月にフィリピンで発表された海外専売のハイエース。ラインナップはバン/ツーリズム/コミューターの3種類。搭載エンジンは2.8Lディーゼルと3.5Lガソリン
現行ハイエースは発売から既に17年を経過した。今までのハイエースで、最も長く造られたのは先代型だが、それでも発売から約15年でフルモデルチェンジされている。現行型はさらに長い。
フルモデルチェンジの周期が長い背景には2つの理由がある。まずはハイエースが2017年に衝突被害軽減ブレーキを設定して、2020年にはパーキングサポートブレーキも採用するなど、最近になって安全装備を充実させていることだ。国土交通省によると、2021年11月以降に新型車として登場する乗用車と商用車(車両総重量は3.5トン以下)では、衝突被害軽減ブレーキの装着が義務付けられた。ハイエースはこれを先取りしており、各種の法規対応も視野に入れて、フルモデルチェンジの時期を調節している。
2つ目の理由は、前述の通りハイエースの売れ行きが好調なことだ。小型/普通車の商用バンとしては、突出して高い売れ行きを誇るため、ライバル車の動向に応じてフルモデルチェンジを行う必要はない。
例えばコンパクトカーのヤリスは、ノートやフィットとライバル関係にあり、ノーマルエンジン車は同じ価格帯に属するN-BOXなどの軽自動車とも競い合う。その点でハイエースは、エブリイバンやハイゼットカーゴのような軽商用車とは、荷室容量が圧倒的に違う。実質的な競争相手は、ほぼ同じサイズのキャラバンだけで、売れ行きではハイエースが大差を付けているから販売面では競わない。
ハイエース海外仕様。ロング・ハイルーフ仕様は全長5915×全幅1950×全高2289mm、ホイールベースは3860mm
販売店にハイエースのモデルチェンジについて尋ねると以下のように返答した。
「ハイエースがフルモデルチェンジを行う予定は、今のところメーカーから聞いていない。ハイエースはほぼ毎年改良を行い、安全装備を充実させたり特別仕様車を追加している。しかも高値で販売できるため、乗り替えの提案をすると、快く応じてくださるお客様が多い。そのためにハイエースは売れ行きが安定して下がらず、フルモデルチェンジの必要性も感じない」。
それでもおそらく、2022年末までには、フルモデルチェンジを実施するだろう。ただし外観に大幅な変更を加えるのは難しい。ハイエースのロングボディ(標準ボディ)は、全長:4700mm、全幅:1700mm、全高:2000mmの4ナンバーサイズに収める必要があり、同時に荷室長は最大値で現行型の3000mmを確保せねばならないからだ。
上記の要件を満たすには、ピラー(柱)の角度や位置、ボディの基本スタイルまで決まってしまう。フロントマスクなどのデザインなどには自由度があるが、積載性に影響を与える部分は変えられない。歴代モデルが4ナンバーサイズの範囲で荷室容量を限界まで拡大したから、もはや手を加えられないのだ。
海外仕様ハイエースバン(ショート・標準ルーフ)。ボディサイズは全長5265×全幅1950×全高1990mm、ホイールベースは3210mm
海外仕様ハイエースのインパネ
コミューターの乗車定員は最大17名
ちなみに海外で売られるハイエースは、グランエースの商用車版に位置付けられ、エンジンを前席の下ではなくボンネットの内部に収める。いわゆるミニバンスタイルだが、空間効率は日本で販売されるハイエースに比べて大幅に劣る。海外版では、全長が5265mmに達する長いボディでも、荷室長は2910mmだから、4ナンバーサイズのハイエースを下まわってしまう。国内版ハイエースと同じ3000mmの荷室長を確保するには、全長が5915mmのロングボディを選ばねばならない。
またボンネットの内部にエンジンを収めるミニバンスタイルでは、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)が長くなり、走行安定性が向上する代わりに小回り性能は悪化する。ハイエースのロングボディであれば、ホイールベースは2570mmで、後輪駆動だから最小回転半径は5mに収まる。
その点でミニバンのノアは、ホイールベースが2850mmで、最小回転半径も5.5mだ。ハイエースはノアに比べると、大容量の荷室を備えながら小回りの利きも良い。ワンボックスボディは合理的なのだ。
■次期型ハイエースの可能性
次期ハイエースの予想CG(CGイラストはベストカーが作成したもの)。外観はキープコンセプトと予想。ハイブリッド車やGR SPORTの追加に期待したい
日本のビジネス環境では、駐車スペースや倉庫の広さに制約があり、海外版ハイエースのようなボンネットを備えた大柄な商用バンは使いにくい。そうなると次期ハイエースもワンボックスボディを踏襲して、外観の変化は小さく留まる。
その代わり機能は大幅に進化する。プロボックスに続いて、商用車ながら新開発されたハイブリッドを採用する可能性もある。ハイエースは後輪駆動を基本にした商用バンだから、床を高い位置まで持ち上げて平らに仕上げた。そのために駆動用電池の収納スペースを床下に捻出しやすい。
そしてハイエースは大量に販売され、1台当たりの走行距離も長い。1年間に2万km以上を走る使い方も当たり前だ。ハイブリッド化すれば、二酸化炭素の排出量を効果的に抑えられる。
また1年間に走る距離が長ければ、ハイブリッドの価格上昇分を燃料代の節約で取り戻すまでの期間を短く抑えられる。耐久性を確保できれば、ハイエースとハイブリッドの親和性は高い。
このほかボディの基本骨格の見直しにより、衝突安全性も向上させる。衝突被害軽減ブレーキは、右左折時に直進車や横断歩道上の歩行者を検知するなど、新たな機能を盛り込む。
そして考え方を少し飛躍させると、ハイエースの4WDをベースに、GRスポーツを加えるかも知れない。先に述べた通りハイエースはトランスポーターのニーズも高い。そこで悪路向けの4WD風に(あるいは以前のデリカスターワゴンのように)、車高を持ち上げて最低地上高に余裕を持たせるチューニングも成り立つ。実際にそのような改造も行われている。ハイエースGRスポーツを用意して、車内の防水加工なども多彩にオプション設定すれば、新しいハイエースの使われ方、さらに新たなクルマとの出会いも生まれるだろう。
峠道を86で攻めたり、豪華なアルファードで高速道路や街中をクルージングするのも良いが、クルマにはもっといろいろな楽しみ方がある。ハイエースはそのニーズにも的確に応えて、クルマの世界を広げてくれると思う。
ハイエースの行く末は、クルマ好きにとっても大いに気になる。
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みんなのコメント
まともに言うはずがないでしょ。
要するにいつもの嫌がらせ記事。