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さすがのR35GT-Rでも初期型は怖い! 多少ムリしてでも高年式の中古を選ぶのが正解だった

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さすがのR35GT-Rでも初期型は怖い! 多少ムリしてでも高年式の中古を選ぶのが正解だった

中古車相場が高騰しはじめたR35GT-Rの中古車選びのポイントとは

「もはやため息しか出ない」、年々高騰している国産スポーツカーの中古車相場。なかでもトップクラスの値上がりを見せているのは、ご存じ日産スカイラインGT-Rだ。第2世代と呼ばれるR32・R33は500万円~1200万円、R34に至っては1300万円~3500万円が平均相場。上限は大きく変わっていないが、下限がじわじわと上昇中で、ますます買えないクルマになりつつある。それに引っ張られてR35の相場も上昇している。4年前の下限は500万円であったが、2021年には600万円に、さらに昨年の新車受注ストップの影響もあって、現在は(2022年3月時点)は700万円に限りなく迫っている。

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 さらに、これまでの相場の動きと異なるのが、年数が新しいモデルほど価格の上げ幅が大きいこと。4年前には1000万円強で買えた2017年モデルが今は平均1500万円と500万円もアップ。ただし、2021年モデルと比べても大きく相場が変わらないので、後期型の人気が全体的に上昇したと考えることができる。中古車は年数が経過すると値下がる常識はもはやGT-Rには通用しない。

総額700万円ではどのようなモデルを手にすることができるのか⁉

 ここからが本題。今、R35を買うためには最低700万円の予算が必要だ。では実際に買うことを考えたシミュレーションしてみたい。まず、その価格でどのような個体か買えるのかといえば、年式は2007~2008年式の初期型、車齢でいえば14~15年落ちだ。以前は走行距離10万kmを超えている個体もちらほら見受けられたが、今はほとんどが7万km以内。安いものは動きが早いのかもしれない。ポテンシャルはいまだ一級品だし、チューニングやメンテナンスも確立されているので、維持してくことに大きな問題はない。

 ただ、タイヤ、ブレーキ関係の消耗品もデビュー当時よりも安くなったとはいえ、通常のクルマより何倍もするし、法定費用も保険代もバカにならない。欲をいえば購入後の整備費用として100万円はみておきたいところ。つまり維持はそれなりにハードルが高い。特別にR35GT-Rにこだわりがなく、興味本位で「一度は乗ってみたいなぁ」という程度なら、ほぼ同じ価格で買える新型フェアレディZのほうがランニングコストも安く、安心して乗れるのは間違いない。

不具合が出やすい初期型R35を買うなら記録簿の有無は重要

 実際に中古車販売店で初期型を購入するにあたってのチェックポイントは、まず大前提として初期型には不具合が出るポイントがいくつかあること。クルマ好きならご存じかと思うが、R35は2011年式モデルで一定の完成を迎えている(※そのため安心して乗るにはこれ以降のモデルが良い)。それ以前のモデルについては毎年、日産がその時点での持てる技術を駆使して作り上げ念入りにテストしてから販売されてはいるが、一般のユーザーが乗ることで起こりえる不具合までは検証しきれておらず、初期トラブルもあった。

 なにせ、日産において世界のスポーツカーと対峙するモデルはR35以前には存在しなかったわけで、前例のないもの生み出すには時間が必要だったのだろう。つまり、初期型(2007~2010年)においても、モデルが古いほどトラブルが出る可能性があることをまず頭に入れておいてほしい。

 最初に確認すべきは記録簿の有無。GT-Rの初期モデルはメーカーが実施したサービスキャンペーンやリコールが実施されており、後述するチェック部位もあるので、それらを確認するためにも記録簿は絶対にあったほうがいい。真っ先に販売店に記録簿があるかどうかを聞いて、メンテ歴を確認しておきたい。また、費用を少しでも抑えたいのならば、タイヤの残り山(R35は内減りするので下まで覗き込んで念入りに)やブレーキローターやパッドの残量はチェックすべきだ。判断しづらい部位も多いので、R35GT-Rに精通する仲間や知り合いと一緒にチェックするほうが、ハズレを引く可能性はより軽減するはずだ。

エンジン始動後に足元から聞こえる「カラカラ」音が出ていたら要注意

 次に見ておくべきは超初期モデルでよく起こる「フライホイールハウジングのベアリング」のガタ。これはフライホイールハウジング内の支持ベアリングがスラスト(前後)方向にガタつくもの。そのままでも走行はできるが、酷くなるとクランクシャフト支持部やトランスミッションにも影響がおよぶ可能性がある。ガタは本体を降ろさないと判断はできないが、停止中のアイドリング時に足元から「カラカラ」と音が聞こえたら要注意。記録簿などがあれば交換履歴の有無はもちろん、実際にエンジンをかけさせてもらって確認しておきたい。症状を確認できる目安は5万km以上だ。

 また、トランスミッションはR35のアキレス腱的なポイント。不具合は2014年以降のモデルではほぼ解消し、今ではあまり耳にする機会は減ったが、初期型はトラブルが出るポイントがいくつかある。まずひとつ目はオイルシールで、一部が欠損してギヤチェンジができなくなる。その場合、ミッションを開けて部品を交換するしかない。

ミッションが奇数段もしくは偶数段しか入らなくなる不具合も発生

 トランスミッションではほかにも、奇数段もしくは偶数段しか作動できなくなる不具合も出ている。原因はふたつあり、ひとつ目はACM(アクチュエーターモジュール)内のシフトピストンとシフトフォークの嵌合部が摩耗によりスピンしてしまい、正常なギヤ位置を検出できなくなることで起こる。これは金属のコの字型対策キャップ(日産純正品、2010年式以降は装着済み)を取り付けることで完治させることができる。ふたつ目は油圧センサーの劣化(寿命)だ。これは新品交換で対応。ただ、最近は経年劣化による不定愁訴的なトラブルも報告されていてこれが怖い。

 また、ドライブギヤのCリングの形状が悪く、破損やギヤの脱落も発生。坂道で完全停止せずに、バックに入れるだけでギヤが抜けることがあるため、GR6(トランスミッション)の操作は確実に停止してから行うのが鉄則だ(初期モデルの車体番号5400番まで)。

 これを判断するにはとにかく試乗するしかない。さすがにこの部分が壊れたまま中古車販売店に並ぶことはないと思うが、念のため。不具合があれば助手席でも体感できるので、試乗はマストと言える(しかも複数台乗らないと判断できない)。こうした部品が交換されているかを確認する意味でも、やはり記録簿は必須。記録簿がない個体はGT-Rを知る人以外は手を出さないのが無難だろう。

最近はダッシュボードのセンターコンソール付近にクラックが入る報告も……

 これはトラブルではないが、初期型GR6は変速ショックが大きく、繫がりもあまりスムースではない。日産でもクラッチの繋がりを調整できるが、社外のTCM(ミッションコントロールユニット)のアップデートで2013年モデル用にバージョンアップしておけば、滑らかに繋がるのでオススメ。費用も10万円以下なのでぜひやっておきたい。

 走行面以外では、メーターのLEDランプが消えたり、AVユニットのスイッチ不良(音量が勝手に上がったり、ナビの操作ができなくなるなど)も経年劣化の事例として挙がっている。メーカー保証は5年10万kmなので、今後発生した場合は有償になるので必ずチェックしておきたい。

 また、最近発生しているのが、ダッシュボードのクラックだ。センターコンソールの左右に縦に細く割れるのですぐわかるはず。ちなみに前期型のダッシュボードは製造廃止になっているようで、在庫が無くなれば入手困難になることを覚えておきたい。そのほか、シフトノブやパワーウィンドウのパネルが傷んでいるクルマも増えた。毎日見る部分だけに確認しておきたい。

 エンジン本体は耐久性もあり、10万kmでも問題なさそうだが、補器類やゴムホースなどに経年劣化が出始めている。とくにラジエーターのアッパータンクやオイルクーラーのカシメ部分からの漏れが多い。15年落ちかつ、発熱量の多いエンジンだけに樹脂やゴム類は気にしておきたいところ。

 少数だがエアコンのコンプレッサー、電動ファンリレー&コントロールモジュールなどにも寿命などによる不具合が出ている。目視点検はもちろん、購入後はディーラーやショップなどで点検、診断はしておきたい。

安心して乗りたいのなら無理してでも高年式モデルを選ぶべし!

 700万円の予算でR35GT-Rを買う。4年前までなら2011年、2012年モデルもなんとか狙えたので、普通に乗るならある程度は心配することなく、消耗品の交換程度で乗り続けられたが、現在は初期モデルしか選べないので、前述したとおり履歴がはっきりしていても、覚悟が必要なのは確か。「不具合に怯えながら乗るのは嫌」というならば、無理しても高年式モデル(2014~2015年がオススメ)を買ったほうが幸せになることは間違いない。仮に前述した不具合を直したら、トータルで高年式が買えたということも十分ありえる。

 かつては「頑張れば何とか手が届く範囲の高性能スポーツカー」であったGT-R。もはや、中古車でさえ、良質車両を選ぼうとすると、どの世代も簡単に手が届かないモデルになってしまった。購入はもちろん、維持することも含めてオーナーの気概が試されている。

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