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【昭和の名車 120】410型ブルーバードは、「SS」を登場させてスポーツイメージを高めた

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【昭和の名車 120】410型ブルーバードは、「SS」を登場させてスポーツイメージを高めた

以前に連載した「昭和の名車」では、紹介しきれなかったクルマはまだ数多くある。そこで、1960年代以降の隠れた名車を順次紹介していこう。今回は「ダットサン ブルーバード 1200SS」だ。

ダットサン ブルーバード 1200SS(410型):昭和39年(1964年)3月発売
1960年(昭和35年)にセドリックを発売して波に乗る日産は、1Lクラスを強化するため310型ブルーバードの全面刷新を図る。走行性能に絶対の自信を持つ日産は、宿敵コロナとの差を確実にするため、新型のデザインをカロッツェリア・ピニンファリーナに依頼する。国産車の多くがアメリカを見ていた時代、塊感のある欧州調のデザインは極めて新鮮で、誰もが新型コンパクトセダンの成功を信じた。

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410型最大のポイントは、クラス初のモノコックボディ(当時はユニットコンストラクションと呼んだ)を採用したこと。これにより、先代より全長+80mm、ホイールベース+100mmの大型化を実施したにもかかわらず車重を+15kgに収める軽量化を実現。ボディ剛性アップや低重心化によりハンドリングも飛躍的に向上させている。

しかし、パワートレーンは先代1200デラックス(以下、DX)で採用されたE1型1.2L(55ps)エンジン+フルシンクロ3速コラムシフトを継承したので、走行性能は互角でも、61年に1500を追加したコロナの60psにカタログ値で劣る。そのイメージを一転させるため日産がとった手段が、E1型のチューニングだった。

まず圧縮比を8.2から9.0に高め、キャブレターをSUツインに変更。ハイリフトカムシャフトを組み、吸気系にバランスチューブ付きストレートインマニ、排気系に口径を拡大した4-2-1のデュアルエキゾーストを採用した。さらに、低抵抗エアクリーナーや抵抗付きイグニッションコイルで効率を高め、コンロッド&メインベアリングにF500クレバイトメタルを採用して連続高回転に対応するなど、モータースポーツ用ともいえるチューニングが施された。これにより最高出力は一気に65psに上がり、最高速度は1200DXの120km/hから145km/h(カタログ値)に向上している。

この強化型エンジンを積んだモデルは「SS」の名で登場。後のSSSに繋がる日産「S」シリーズ最初のモデルとなった。これが標準型の約5万円高で手に入ったのだから、SSは信じがたいコストパフォーマンスを備えていたといって良いだろう。トランスミッションは2~4速にシンクロが付く4速フロアシフトだが、オプションでハイクロスミッションが用意されていた。これは日産がSSでレース参戦を目指した証で、事実、1964年5月の第2回日本グランプリでは1001~1300ccクラスで16台中13台をブルーバードSSが占め、12位までを独占する圧勝劇を展開した。

モーターマガジン誌の実測テストでも、0→400mをベースの1200DXより1.1秒速い20.2秒で走り切ったほか、0→80km/h加速は11.8秒、0→100km/h加速も17.6秒の好タイムをマークして俊足ぶりを実証した。

一方でインパネは1200DXと同じだったため、スポーツと名づけたからには丸型のスピードメーターやタコメーターを装着して欲しいという声はあった。この願いは1965年のマイナーチェンジで新登場した1600SSSでかなうが、このときSSは1300ccに排気量アップしたものの相変わらず扇形速度計のままだったのは、ブルーバード「S」の主力が1600に移ったという日産の意思表示だったのかもしれない。

それでも1300SSは1966年のサファリラリーに参戦して5位入賞・クラス優勝を飾っている。これを題材に出版された「栄光の5000km」が後に、車両を510型に換えて映画化されたことは多くの人の記憶に残っていることだろう。



ダットサン ブルーバード 1200SS 主要諸元
●全長×全幅×全高:3995×1490×1415mm
●ホイールベース:2380mm
●重量:925kg
●エンジン型式・種類:E1型・直4 OHV
●排気量:1189cc
●最高出力:65ps/6000rpm
●最大トルク:9.0kgm/4400rpm
●トランスミッション:4速MT
●タイヤサイズ:5.60-13 4P
●価格:71万7000円

[ アルバム : ブルーバード 1200SS はオリジナルサイトでご覧ください ]

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