■一世代前でも十分に魅力的なクルマを振り返る
人気があるクルマの場合、発売されて数年が経過すると次世代のモデルにフルモデルチェンジされます。
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かつてフルモデルチェンジの周期は4年というのが一般的でしたが、近年は6年から8年、または10年以上というケースも珍しくありません。
そして、通常はフルモデルチェンジがおこなわれると、デザインが一新され、動力性能や燃費性能、安全性能などが向上し、「最新が最良」と評価されます。
しかし、新型が登場しても魅力が色あせていない旧型も存在します。そこで、一世代前でもイケてるモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
●スバル初代「レヴォーグ」
スバルは1989年に初代「レガシィ ツーリングワゴン」を発売し、日本の自動車市場でステーションワゴンブームを巻き起こし、続いて「インプレッサス ポーツワゴン」が加わり、高性能なスポーツワゴンラインナップを盤石なものとしました。
その後2014年に上記の2車は「レヴォーグ」に統合されましたが、スポーツワゴンのDNAは継承されました。
外観は前傾姿勢のシャープなウェッジシェイプで、低く伸びやかなフォルムによってスポーティさを強調していました。
搭載されたエンジンは2リッターと1.6リッターの水平対向4気筒で、全車ターボエンジンとされ、最高出力は1.6リッターが170馬力、2リッターは300馬力を誇りました。
また、トランスミッションは全車CVTで、2リッター車では高出力に対応した「スポーツリニアトロニック」を搭載し、8速マニュアルモード時はダイレクトかつスピーディな変速スピードを実現。
駆動方式は全車AWDを採用し、2リッター車は前45:後55の駆動トルク配分を基本として連続可変制御し、コーナリング時の回頭性の良さと、高速直進安定性を高度にバランスしていました。
そして、発売当初から安全運転支援システム「アイサイトver.3」が装備され、安心かつ安全なドライブをサポート。
なお、現行モデルの2代目は安全性能が飛躍的に向上していますが、上位グレードの「STI スポーツR」に搭載されている2.4リッターターボエンジンは最高出力275馬力と、今のところスペック的には初代を上回っていません。
●ホンダ3代目「フィット」
ホンダは2001年に、「ロゴ」の後継車として初代「フィット」を発売。すべて新設計されたフィットは、優れた経済性とシンプルで洗練されたスタイル、クラストップの室内空間を実現したことから大ヒットを記録しました。
その後、2007年にモデルチェンジされた2代目では、1.3リッターエンジンにアシスト用モーターを組み合わせた「フィットハイブリッド」が登場して話題となり、さらにスポーティグレードのRSが登場。
2013年にデビューした3代目でも、2代目に引き続いてハイブリッドとRSがラインナップしました。
なかでもRSは専用のフロントグリルにリアバンパー、テールゲートスポイラーなどを装備し、リアゲートの形状も専用のものが与えられました。
また、エンジンは最高出力132馬力の1.5リッター直列4気筒i-VTECを搭載し、トランスミッションはCVTに加え6速MTを設定。
シャシもRS専用に各部が補強されてボディ剛性の強化が図られ、ステアリングのベアリングも剛性アップして応答性を高めるなど、細部にわたってチューニングされており、ハンドリング性能を向上していました。
そして、2020年に4代目が登場するとMTの廃止とともに、スポーティグレードも消滅してしまいました。
●スズキ8代目「アルト」
スズキは1979年に、初代「アルト」が発売されました。装備は極力簡素化し、徹底したコスト削減をおこなうことで47万円からという驚異的な低価格を実現して大ヒットを記録。
その後代を重ね、1987年にはパワー競争の頂点に立つ「アルトワークス」が登場するなど、ベーシックなモデルだけでなく高性能軽自動車市場もけん引する存在となりました。
そして2014年に発売された8代目では、新たなプラットフォームの採用によりエンジンルームを最小化したことで、軽セダンではトップクラスの室内長を実現。
また、新プラットフォーム採用の恩恵は車重にも現れており、従来モデル比で60kg軽量化され、最軽量の「アルト F」グレードでは驚異的な610kgを達成しました。
さらに、2000年をもって一旦は消滅していたアルトワークスが2015年に復活したのも、8代目アルトの大きなトピックスでした。
現行モデルの9代目アルトは2021年12月に発売されましたが、最軽量の「A」グレード(2WD)で680kgあり、十分に軽いのですが、先代からは70kg増加し、シリーズ初のマイルドハイブリッドが加わったもののMT車とアルトワークスが廃止となってしまいました。
※ ※ ※
「最新が最良」というフレーズはポルシェ「911」を評するのに使われ、有名になりました。
確かに安全性能や環境性能については最新モデルの方が確実に優れているといえますが、車種によってはドライビングプレジャーという点で旧型の方が優れているケースもあり、あえて一世代前のモデルを選択するのもクルマを楽しむためのひとつの方法かもしれません。
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