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日産アリアに「猫耳」がついてる! なぜアンテナが2つ必要なのか?

掲載 22
日産アリアに「猫耳」がついてる! なぜアンテナが2つ必要なのか?

 この記事をまとめると

■日産アリアにはシャークフィンアンテナが2つついているグレードがある

「手放し運転」に「車外からのリモート駐車」! 無敵にみえる日産アリアの「あえてのバツ」と素直に「凄いところ」

■運転席側に設置されたアンテナは準天頂衛星「みちびき」からの情報を受信するためのもの

■準天頂衛星「みちびき」について詳しく解説する

 シャークフィンアンテナが2つ並んでいるクルマがある!

 クルマのアンテナというと、昔はボディから細い棒が伸びているものでしたが、10年ほど前から主流となってきたのがシャークフィンアンテナ。サメの背びれに似ていることからそう呼ばれている、ルーフ据付タイプのアンテナです。コンパクトでデザインや空力をあまり損なわず、高性能なため、一気に普及が進んだと言われています。ルーフの前のほうにあったり、後ろのほうにあったりとモデルによって位置はそれぞれですが、1台に1つ付いています。

 ところが先日、日産から登場した新世代EV、アリアを見てみると、グレードによってはなぜかシャークフィンアンテナが2つ!? ルーフの後方に並んでいるモデルがあるのです。1つより2つのほうが、より強力に電波を受信できそうな気はしますが、これはいったいどういうことなのでしょうか。

 じつはアリアにシャークフィンアンテナが2つあるモデルには、先進の運転支援システムである「プロパイロット2.0」が搭載されています。専用のダブルシャークフィンアンテナといって、運転席側に設置されたアンテナは、より精度の高い運転支援を実現するために必要な、準天頂衛星「みちびき」からの情報を受信するためにあるのです。これまで同様、GPSからの情報や車両側の360度センシングからの情報に組み合わせることで、cm単位で自車位置を把握したり、車両の動きを制御することが可能となっています。

 では準天頂衛星「みちびき」とは、どんなものなのでしょうか。私たちは今や、クルマのカーナビはもちろんスマートフォンなどでも簡単に位置情報を得ることができます。それは、昔の人が自分のいる位置を知るための手がかりとした星や灯台の灯りなどの代わりに、人工衛星が出す電波が目印となって、自分がいる場所や目的地を知ることができるのです。このように、測位情報を教えてくれる人工衛星を「測位衛星」と呼び、アメリカのGPSがよく知られていますね。「みちびき」もその測位衛生の一種。ただ「みちびき」がいる軌道は通常の衛星が位置する赤道の軌道を斜めに傾け、日本の真上を通るようにした準天頂軌道と呼ばれるものです。障害物の少ない、ほぼ真上から受信できることが特徴で、GPSが遮られてしまうような山間部や都心部の高層ビル街でも、安定した情報を得ることが可能となっています。

 レジェンドも「みちびき」なくしては実現しなかった

 とはいえ、軌道が斜めに傾いているので一機の人工衛星がずっと日本の真上に滞在するわけではなく、滞在できるのは7~9時間程度。そのため、複数機を時間差で入れ替えることによって、つねに一機が日本の真上に滞在できるようにしています。「みちびき」は2010年に初号機が打ち上げられ、2017年に2号機、3号機、4号機が打ち上げられました。そして2018年から、4機体制でのサービスが開始されています。

「みちびき」はGPSからの即位情報を補うことができるだけでなく、独自に「サブメータ級即位補強サービス」「センチメータ級即位補強サービス」という補強信号を出しており、GPSだけでは難しかった車線レベルでの運転支援も実現。ハンドルから手を離したままでも自動で車線変更してくれる技術なども、「みちびき」によってさらに正確性が増している技術のひとつです。

 そして何より、2021年3月に世界で初めてレベル3の自動運転技術を搭載して発売された量産車、ホンダ・レジェンドもこの「みちびき」なくしては実現しませんでした。米国自動車技術者協会が定める自動運転のレベルは0から5までの6段階あり、レベル2(ハンズオフ)までは、手足を離している状態でも安全確認などの監視はドライバーに任されていて、操縦の主体はあくまでドライバーと定義。それがレベル3からはドライバーが「アイズオフ」することが可能となるため、よそ見をすること許され、操縦の主体が「システム」に変わるのが最大の違いです。「みちびき」による精度の高い位置情報ともう1つ、道路の形状や障害物などが正確にデータ化された三次元地図がとくに重要な働きをすることによって、レベル3が実現しています。これからの時代には、高度な運転支援技術を搭載するクルマが増えてきますから、アリアのようにシャークアンテナが2つ備わるモデルも多くなるかもしれないですね。

 また「みちびき」はクルマ以外の分野でもさまざまな新しい活用例があります。たとえば子供や高齢者の見守りサービス。無人配達機による荷物などの配達や、人手不足に悩む農業の分野でも、精度の高さを活かした無人トラクターによる田畑の耕作など。災害時の素早い情報提供や安否確認などにも活用されていきます。「みちびき」は今後さらに、私たちの暮らしに大きく貢献してくれることは間違いないですね。

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