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出光興産がSSでEVの販売開始へ 150万円以下の超小型EV開発の新会社設立でEV市場に本格参入発表

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出光興産がSSでEVの販売開始へ 150万円以下の超小型EV開発の新会社設立でEV市場に本格参入発表

■出光が超小型EV市場に本格参入? トヨタとの覇権争い勃発か

 出光興産は、タジマモーターと超小型EVなどの次世代モビリティおよびサービスの開発をおこなう「株式会社出光タジマEV」を2021年4月に設立することを発表しました。

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 今回の新会社設立は、出光興産のSS(サービス・ステーション)ネットワークおよび素材開発技術と、タジマモーターの車両設計の技術を融合し、移動に関する潜在的ニーズに応える、超小型EVを核とした「まったく新しいカテゴリーのモビリティ」を提供することを目的としています。
 
 新会社は、タジマモーターの関連会社であるタジマEVに出光興産が出資し、商号を「株式会社出光タジマEV」へ変更のうえ、新たなスタートを切ります。

 出光タジマEVとして初の新型車両は、2021年10月に発表し、2022年の上市を予定しています。

 出光タジマEVは、超小型EVの開発・販売だけではなく、車載ソーラー、次世代バッテリーの採用、自動運転開発、グリーンスローモビリティ開発、新たなサブスクリプションやカーシェアモデルの展開、MaaSに関するデジタルプラットフォームの構築、リサイクルシステムの開発も進めていくとしています。

 新会社設立について、出光興産の代表取締役社長・木藤俊一氏は次のように説明しています。

「出光興産とタジマモーターは、公共交通機関が脆弱な地方部に着目し、実証を重ねて参りました。

 この実証を通じ、地方部に限らず、さまざまなエリアにおいて、異なる移動手段に対する多様なニーズがあることを確認しました。

 出光タジマEVは、岐阜県飛騨市・高山市、千葉県館山市・南房総市における2年間の実証実験から、高齢者層には免許返納に伴う移動のニーズが急増していることを確認。

 また、運転経験が浅い層は、日々の買い物や子供の送り迎えに自動車を利用することに不安があり、自転車や原付に代わる、雨風を凌げる安全で安心な移動手段に対するニーズがあることが分かりました。

 さらに、近隣営業をおこなう営業職層は、一日の移動距離が15km未満であり、また車両稼働率も20%以下であるため、軽自動車ほどの高い性能・機能は要らないと感じていることも明らかになりました。

 以上から、既存の移動手段ではニーズが満たされない層の存在に着目し、その需要規模は、年間100万台に上ると想定しました。

 これらのニーズに対し、手軽で小回りの利く、必要最小限の機能を備えたモビリティと、デジタル技術を活用した利用の仕組み、また法人と個人ユースを組み合わせた新たな利用モデル(ビジネス特許出願中)を提供することで、移動に関わるコストの低減と地域課題に対する有効な解決策を提供することが可能になると考えます。

 こうしたターゲット層に対し、新しいカテゴリーのモビリティを提供することにより、多様な移動に対するニーズに応えていきます。

 これにより年間100万台相当の新たな需要を創出することを目指します。

 また、2020年4月から新SSブランド『アポロステーション』を展開します。新しいアポロステーションでは地域のモビリティを支える『暮らし』と『移動』を支える拠点としても展開していきたいと考えております」

※ ※ ※

 新しいカテゴリーのモビリティの開発について、出光タジマEVでは2020年9月に国土交通省が発表した超小型モビリティの新規格に準拠した新たなカテゴリーの超小型EVを開発します。

 このEVは、EVならではのスペース効率の高さを最大限活用した4人乗りで、近距離移動に最適な車両です。

 既存の軽自動車よりもひと回り小さく小回りが利き、最高速度60km/h以下の低速で走行することから運転の不安を感じている高齢者層や運転に不慣れな層にも安心して利用出来るモデルとなります。

 開発中の超小型EVのボディサイズは、全長2495mm×全幅1295mm×全高1765mmの4人乗車仕様。バッテリー容量は10kWhで航続距離は120km予定、充電時間は100Vで8時間です。

 今後は、車内のパーツを用途毎に変更出来る仕様や、太陽光パネルを装着した自発発電仕様、さらに今後製品化される次世代バッテリーの搭載を計画しています。

 また、シェアリングや定額で利用可能なサブスクリプションや、変化する利用者のニーズに合わせたMaaSを開発し、この超小型EVと合わせて、全国6400か所の系列SSネットワークにて提供。

 発売価格やバッテリーに関して、出光タジマEVの代表者・田嶋伸博氏は次のように話します。

「価格に関しては150万円以下での提供を目指したいと思います。

 またバッテリーは電気自動車の要となるので、2020年10月までに可能な限り試したいと思っています。

 そのなかでも色々な国の色々なバッテリーを検討している。安全性とコスト面のバランスを見て決めたい。

 同時にリサイクル可能なバッテリーも注目しており、今回の超小型EVは低速度かつ近距離の使用がメインとなるため、普通車などのリユースのバッテリーの活用も考えています。

 また、将来的には次世代バッテリーの活用も視野に入れて検討していきます」

 さらに出光タジマEVは、今後の展開について次のように説明しています。

「系列SSで展開している電力販売と超小型EVを組み合わせた新たなサービスの開発、高齢者の運転状況を見守る仕組みの構築。

 個々の車両を蓄電池と見立てた分散型エネルギーシステムの構築、車両・バッテリーのリサイクルシステムなど、新たなモビリティサービスの開発に取り組んで参ります」

※ ※ ※

 超小型は2020年12月25日にトヨタが「C+pod」を法人向けに発売。2022年には一般向けの販売も予定しています。

 今後、今回の出光興産のような既存自動車メーカーとは異なる業種からの参画は、軽自動車に代わる新たなスモールモビリティとして超小型EV市場が拡大する大きな要因となりそうです。

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