見た目も性能も妥協しないCセグメントSUV
実用性、走行性能、乗り心地、デザインなどさまざまな観点から、特に優れたコンパクトSUV(主にCセグメント)を10台紹介する。
【画像】これ…走りもデザインも良い! 海外から高評価を得る日本のSUV【マツダCX-5と日産キャシュカイを写真で見る】 全25枚
コンパクトSUVは、背が高いため運転視界に優れ、小回りも効くので街中で運転しやすい。また、価格も比較的手頃なモデルが多く、近年はデザインや走りの魅力に関してもかなりレベルアップしている。大家族でない限り、ファミリーカーとしても十分に使える。
日本を含め、世界中で「トレンド」となっているコンパクトSUVだが、今回は走行性能やデザインなどが厳しく求められる欧州市場から、注目すべきモデルをピックアップした。筆者(英国人)の好みもかなり含まれている。
なお、もっと小型のBセグメントSUVについては別の機会に取り上げたい。
1. ボルボXC40
長所:豊富なエンジンラインナップ、インテリアの雰囲気、乗り心地とハンドリングの両立
短所:走行性能の特徴は少ない、広さは一部ライバル車に劣る
ボルボは、すでにラージクラスのXC90とミドルクラスのXC60で高い評価を得ている。2017年に登場したXC40は、同社初のコンパクトSUVであり、7年を経た今でもクラストップの完成度の高さを誇る魅力的なモデルだ。
XC40の内外装デザインは主に若いユーザーをターゲットとし、エクステリアの素朴さと、快適で使い勝手の良いインテリアが支持されている。実用性では他車に見劣りする一面もあるが、歴史ある北欧ブランドらしい、シンプルながらも高級感を備えたパッケージングが特徴となる。
パワートレインは、これまでPHEVやマイルドハイブリッドが導入されたほか、バッテリーEV仕様としてXC40リチャージT8もある。なお、バッテリーEV仕様は今年に入ってから「EX40」へと名称が変わった。日本向けにもまもなくアナウンスがなされるだろう。
走行性能としては、ライバルを追いかけるような「刺激的」なものではなく、落ち着いていて洗練された印象を受ける。快適性を重んじる柔和なキャラクターは、見た目の雰囲気とよくマッチしている。日々の喧騒から抜け出し、乗員の疲れを癒すことにかけては、これほど優れたコンパクトSUVはないだろう。
2. マツダCX-5
長所:運転しやすい、優れたインテリア、長距離でも快適
短所:直進性能は必ずしも十分とは言えない、静粛性に欠ける場面もある
ボルボXC40と同様に、マツダCX-5も発売からかなり年数が経ち(2017年発売)、現行コンパクトSUVクラスの中では「シニア」と呼べるだろう。しかし、洗練されたデザインは衰えを感じさせることなく、フレッシュな印象を保っており、走行性能や燃費もクラストップレベルである。
CX-5のインテリアは堅実かつスタイリッシュで美しく、ユーザビリティについては他の自動車メーカーも見習うべきである。居住空間とトランクも十分広い。発売以降、小さな改良を積み重ね、デザインと走りを磨き続けてきた。特に、ハンドリングはコンパクトSUVクラスとしてはずば抜けて良い。
日本車メーカーのモデルとしては珍しく、中速域での力強さと低燃費を両立した2.2L 4気筒ディーゼルエンジンが設定され、欧州市場でもよく選ばれている。2.0L 4気筒ガソリンエンジンは比較的スムーズだが、軽快感に欠ける。2.5L 4気筒ターボガソリンエンジンも、経済性で見劣りしてしまう。
欧州で設定されているマニュアル・トランスミッション(MT)は楽しいが、残念ながらオートマチック・トランスミッション(AT)は融けた雪のようにダイレクト感が薄い。
CX-5は、楽しさ、経済性、実用性がうまく組み合わされているため、多才なクルマを求めるなら検討する価値がある。
3. ヒョンデ・ツーソン
長所:非常に経済的、印象的なデザイン、大人っぽいインテリア
短所:ATの鈍さ、ドライビング・ダイナミクスの乏しさ
ヒョンデが販売するツーソン(Tucson)は、現行型で第4世代に数えられる。スタイリング的には地味な先代モデルと一線を画しており、インテリアの質感も高い。
ヒョンデは、特に欧州市場で「高級感」を重視したブランディングを行い、ドイツの高級車ブランドに追いつき、追い抜くべく牙を磨いてきた。その成果がツーソンに現れている。
使いやすさを優先したハンドリングバランスにより、走行性能はかなり無難なものに仕上がっているが、ワインディングロードを走り抜けるのは十分楽しめる。1.6Lのハイブリッドは力強さと低燃費を実現しているが、トランスミッションの働きが少し鈍い。
販売の後押しとなっているのが、充実した標準装備と保証だ。この2点もヒョンデの強みである。
ツーソンは洗練されたコンパクトSUVとして注目を集めている。欧州では近々、インテリアの改良が行われる予定だ。ユニークさは若干失われるものの、使い勝手の良さは維持されるはずだ。
4. キア・スポーテージ
長所:大胆なデザイン、すっきりとしたインテリア、幅広いエンジンラインナップ
短所:ハイブリッド・パワートレインはやや粗い感触、乗り心地とハンドリングのバランス良くない
これまで欧米で低価格の「バジェットカー」ブランドとして受け入れられてきたキアが、第5世代のスポーテージ(Sportage)で大胆かつ挑戦的なデザインを採用したことには驚かされた。奇抜なスタイルだが、大ヒットを飛ばしていることからもわかるように、消費者からの反応はおおむね好意的なものだ。
見た目はかなりアグレッシブだが、その中身は大人っぽく成熟したパッケージとなっている。使い勝手の良さなどは、これまでと変わらない。居住空間もそれなりに広く、平均的な家族には十分だ。また、マイルドハイブリッド付きのガソリンやディーゼル、PHEVまで、幅広いパワートレインも特徴である。
韓国車ブランドらしく標準装備や保証も充実している。
走行性能としては、玉石混交だ。ハンドリングは比較的安定している方だが、プッシュしても動きが鈍く、路面状況が悪いとすぐに落ち着きを失う。乗り心地もそれなりに洗練されているが、ライバル車と比べると見劣りし、小さな段差でも乗員にショックが伝わる。弊誌の試乗では、小径の17インチホイールを選ぶと、乗り心地が少しだけ改善されることがわかった(それでも大差はない)。
総合的に見て、スポーテージはスマートで、装備の整った優秀なファミリーカーだが、少しでも「高揚感」を求めるなら他車を検討すべきだ。
5. シトロエンC5エアクロス
長所:快適、室内が広い、コストパフォーマンスが高い
短所:不便なマルチメディア・システム、貧弱なマニュアル・トランスミッション
最新型のシトロエンC5エアクロスは、おなじみの1.2L 3気筒エンジンに電気モーターと7速DCTを組み合わせた、経済的でありながら力強いパワートレインを搭載している。
「スポーティ」なクルマに飽きた人なら、C5エアクロスがおすすめだ。柔らかく包み込まれるようなシートとしなやかなサスペンションの相乗効果により、とてもリラックスできるクルマに仕上がっている。居住空間もゆったりしていて広く、お買い得感を感じられる。
ただし、車載のマルチメディア・システムはかなり「ポンコツ」で使いづらい。街中では乗り心地が悪く感じられる場面もある。欧州で設定されているMTは曖昧なフィーリングだ。PHEV仕様は最高出力224ps(165kW)を謳うが、期待されるほどパワフルではなく、物足りなさを感じる人もいるだろう。
6. 日産キャシュカイ
長所:好感の持てるインテリア、あらゆるシーンで快適、使いやすいインフォテインメント
短所:MTは面白いがCVTは退屈
欧州市場における日産の主力モデルの1つであるキャシュカイ。初代モデルは「デュアリス」という名で日本でも販売されていたコンパクトSUVで、現行型は第3世代に数えられる。特に英国で根強い人気を誇り、販売台数ランキング・トップ10の常連だ。
現行型はマイルドハイブリッド付きの1.3Lガソリンエンジンと、シリーズハイブリッドの「eパワー(e-Power)」が設定されている。いずれも刺激的なものではなく、少し息切れ感のあるパワートレインではあるが、注目すべきポイントは他にある。
キャシュカイに試乗した弊誌記者は「家族向けに非常によく考えられた設計で、装備も充実しており、購入や運転にかかる費用もわずか」と述べている。普段使いできる実用車として妥協はない。
MTではなく2ペダルが必要なら、CVT付きのマイルドハイブリッドではなくeパワーを選びたい。
驚くような新要素はないが、日産がユーザーのことをよく理解していることがひしひしと伝わってくる。ノン・プレミアムブランドのクルマが、キャシュカイに勝つのは難しい。
7. メルセデス・ベンツ GLA
長所:PHEV仕様の電気航続距離が長い、運転がしやすい、直感的な操作性
短所:印象が薄い、高速道路ではうるさい
初代GLAは、最低地上高を上げたSUV風のAクラスという内容だったが、第2世代はかなりSUVらしく進化した。メルセデス・ベンツの中では同じプラットフォームで7人乗りのGLBもあるため、ライバルと比較してもややコンパクトに仕上がっている。
パワートレインはガソリン、ディーゼル、PHEVから選択でき、EQAというバッテリーEVもある。ただし、バッテリーEVとしての完成度はまだ完全ではないので、弊誌はエンジン車をおすすめしたい。
最近の改良によりマイルドハイブリッドが導入されたほか、PHEVのGLA 300eでは電気のみの航続距離が延長された。いずれも効率性は向上している。
基本的には、かなり硬めのスポーティなサスペンション・セットアップを採用しているが、ハンドリングは良い。しかし、GLA 300eはサスペンションが柔らかくなり、乗り心地も少し良くなる。ただし、高速道路ではいずれも静粛性に欠ける。インテリアはAクラスでお馴染みのもので、BMW X1ほどのハイテク装備はないものの、使い勝手に優れている。
8. アウディQ3
長所:PHEV仕様はお買い得感がある、上級モデルの風合いも感じられる
短所:期待されるほど洗練されていない、インテリアの質感
第2世代となるアウディQ3は、コンパクトSUVクラスの中でも屈指の強さを誇り、ガソリン、ディーゼル、PHEVと幅広いパワートレインが用意されている。クーペスタイルのQ3スポーツバックも選べるが、居住空間を優先するならスタンダードなボディを選ぶ方が良い。
総合力が高く、優れたドライバビリティと十分な広さを備えている。中でも、PHEV仕様はコストパフォーマンスが高い。しかし、乗り心地の洗練度は不十分で、ホイールのインチサイズを大きくしすぎないように注意してほしい。インテリアはやや素っ気なく、もう少し質感を高めてほしいところだ。
9. BMW X1
長所:高い質感、PHEV仕様の電気航続距離、広い居住空間。
短所:トランスミッションとステアリングが「BMW」の基準に達していない、ユーザーインターフェースが貧弱
我々人間と同じように、BMW X1も年月を重ねるごとに大型化している。実際、2022年にデビューした最新の第3世代は、ワンクラス上の初代X3とほとんど差がなくなってしまった。しかし、人や荷物を多く載せるファミリーカーとしては、ある程度のサイズアップは朗報と言える。
X1は、2シリーズ・アクティブツアラーと同じUKLプラットフォームを採用し、マイルドハイブリッド付きのガソリンやディーゼル、PHEV、さらには航続距離430km(WLTP)を謳うバッテリーEVのiX1まで、さまざまなパワートレインが用意されている。
どの仕様も走行安定性が高いが、BMWのスローガンである「駆けぬける歓び」を体現するものではない。グリップとボディコントロールはしっかりしているが、ステアリングフィールに乏しく、クルマとの一体感が薄い。そして、このハンドリングの言い訳にできるほど、乗り心地も良くない。
車載のマルチメディア・システムは慣れるのに時間がかかる。BMWはダイヤルコントロール「iドライブを廃止し、機能の多くをタッチスクリーンに集約した。使いやすい設計であれば、タッチ中心のレイアウトでも問題ない。しかし、残念ながら使い勝手は良いものではない。
10. DS 7
長所:上質なインテリア、優れたハンドリング、個性的
短所:乗り心地が悪い、PHEVはスピード感や快適さが感じられない
DSはまだ馴染みが薄く、分かりにくいブランドかもしれない。フランス大統領の専用車にもなっているDS 7は、シトロエンC5エアクロスの豪華版だと思う人もいるだろう。巡航時の静粛性は高く、インテリアには上質なレザーが張られている。また、パワフルなPHEV(最高出力360ps)も用意されている。
その一方で、サスペンションのセッティングはどちらかというと「スポーティSUV」に近く、かといって卓越したドライビングができるわけではない。少々使いづらいマルチメディア・システムもシトロエンと同じだ。
それでも運転する楽しさはあり、何より他車とは違う個性的な雰囲気が漂っている。最もバランスが取れているのはDS 7 225ハイブリッドだが、高速道路を走る機会が多いのであれば、約25km/lの低燃費を誇るDS 7 BlueHDI 130(1.5L ディーゼル)をお勧めする。
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