車いすが必要なお子さんがいるなら安心して長く乗り続けられる新車
車いすを利用している人を乗せる福祉車両には、その人の状況によって助手席やミニバンの2列目が回転または昇降するタイプやスロープで車いすに乗ったまま乗車できるタイプがある。特殊なクルマのようだが、じつは中古車市場の流通もあり、新車以外の購入車として選択肢に加えることができる。そこで福祉車両を購入するとき、新車にするか中古車にするか、「日本福祉車輌協会」の上田副理事長に聞いてみた。
レジャーから福祉車まで使えるN-BOX「スロープ仕様」5つの魅力
「新車にするか中古車にするかは、長く乗る必要があるのか? ご自宅のバリアフリー化などまだまだ予算が必要なのか? など色々な要件が重なり合うのでひと言では決められません。ただ、表現は難しいですが、そのクルマ(福祉車両)をどのくらいの期間使用するかは考えるべきでしょう。そこが新車にするか、中古車にするか、その判断ポイントになると思います。もちろん、新車で気持ちよく使いたいというお気持ちがあるなら迷うことはありません」と上田氏は語る。
例えば車いすが必要なお子さんがいるご家族は、新車を購入したほうが安心して長く乗ることができるというわけだ。
そこで気になるのが中古車の価格だ。車いすを乗せられるスロープタイプや助手席が回転&昇降する福祉車両は、普通のクルマに比べて特殊だ。つまり、中古市場の価格は低くなりそうに思える。
「福祉車両の中古車は、かなり安かった時代もあります。しかし、近年は需要に対して供給が少なく価格は高くなっています。車種にもよりますが、人気の高い5ナンバーミニバンなどは、通常のクルマより高値で販売されています。需要が増えたのは、やはり高齢化が大きいでしょう。また、世の中が車いすなど障がいを持つ人を受け入れるようになって、そういう方が外出しやすくなったこともあります」と上田氏。
実際、ネットなどで中古の福祉車両を検索してみると、台数こそ少ないが存在する。そこで、同車種・同条件(年式/走行距離)で検索をしてみた。すると最も価格の高いのは、福祉車両だったのだ。上田氏によると、下取り価格も高くなっているそうだ。福祉車両は新車価格が高いこともあるが、それでも需要が供給を上回っているので中古車相場は高めを推移しているとのこと。
「福祉車は新車か中古車か」という点で振り返ると、先代トヨタ・ノア/ヴォクシー・福祉車両の新車当時の価格は約300万円。先代モデルの5年落ちの中古車価格は150万~200万円。下取り価格は、中古車価格の20万~50万円安というところだから、新車からの価格落ちはざっくりと150万円となる。
一方、中古車を購入したとして約5年使用したとき(10年落ち)の査定額は50万円くらい。中古車の場合、底値というのがあるので、完全に「0円」になることは少ない。そうなると価格落ちは100万円くらいなので、新車で購入するよりオトクだ。だが、消耗品や故障のリスクなどを考えると、その差はグッと縮まるだろう。
「福祉車両は、この10年で大きく進化しています。例えばスロープを付けるだけなく、ルーフをワンボックスカーのハイルーフのようにして頭上スペースが広くしているクルマもあります。自動車メーカーもそういう配慮をするようになっています」と上田氏。
ただ、福祉車両あまり長い期間使用しないというケースなら、元値の安い中古車を購入して、他の費用(家のバリアフリー化など)に予算を回すという考え方もあるだろう。
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