カスタム元年にミニバンブームがシンクロ
1995年11月22日に施行された「改正道路運送車両法」。サスペンションやエアロパーツ、マフラーなどカスタムパーツの軽微な変更に際し、構造変更が不要となった。そんな「カスタム元年」となった95年と時を同じくしてミニバンブームが到来。初代ステップワゴンは96年の発売から1年弱で登録台数が14万6000台を超える大ヒットを記録。ミニバンが街にあふれるようになると、「人とは違うルックスにしたい」という差別化ニーズが高まり、さまざまなデザインのエアロパーツが百花繚乱のごとく登場。ミニバンやワゴンのドレスアップが大流行したのだ。
カスタムの自由度を飛躍的に高めた規制緩和とシンクロしたミニバンブーム。吊るしのままだと腰高でイマイチさえないが、エアロとインチアップしたタイヤ&ホイール、ローダウンの3点セットを組むとガラッと雰囲気が変わる。ドレスアップの格好の題材となった。ここでは、なかでもひと際個性的だった名(迷!?)車を紹介する。
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[1997]
IMPUL LARGO
腰高ミニバンがスポーティに変身
「日本一速い男」と称される星野一義氏率いるホシノインパルが、モータースポーツともっとも縁遠いミニバンカスタムに参入。純正エアロ装着車が大ヒットしたラルゴとセレナは流行のアメリカンスタイルで仕立てられ、ビレットグリルとメッキホイールがそれを物語る。ECUやサスペンションも漏らさず設定するあたりがインパルらしい。
[1997]
STONE ESTIMA LUCIDA
風を切り裂くトヨタの天才卵
エンジンをフロントシート下に搭載するキャブオーバー型が流行だった時代に、世界初のアンダーフロアミッドシップレイアウトを採用したエスティマシリーズ。低重心かつ空力のよさを生かしたチューニングも盛んで、最高速チャレンジでミニバン最速の240km/hを記録。エアロも空力や冷却性能を意識したデザインが人気だった。
[1997]
L.A.CUSTOM S-MS
恋愛仕様はカスタムの申し子だった
オデッセイは高級だし、ステップワゴンは所帯じみている。そんな悩める若者に向けてホンダが放ったのが、「恋愛仕様」のキャッチコピーで96年に登場した、クリエイティブムーバー第4弾のS-MX。driver誌97年4-5号では、「恋愛仕様をぶっちぎれ!」と題し、S-MXカスタムを特集。97年のオートサロンはS-MX一色に染まった。
[2000]
WALD AVANT bB
カスタム前提のボクシースタイル
bBのターゲットは20代独身男性。プレスリリースには「他人とは違う自分の個性を強く主張できる存在感のあるコンパクトサイズのクルマで、好みに合わせてカスタマイズしやすいクルマとすること」と明記。確かに、シンプルなスクエアボディはヨーロピアンやアメリカンなど、どんなスタイルも許容する懐の深さを備えていた。
[2001]
FABULOUS ESTIMA
自己満足から「魅せる」カスタムに
エスティマはフルモデルチェンジを機にパワートレーンがアンダーフロアミッドシップからFF(前輪駆動)に変更されたが、特徴あるワンモーションフォルムは継承。当時は車高調整が容易なエアサスペンションが普及し始め、エアロが着地するほど極低車高に、ネガティブキャンバーを付けた大径タイヤ&ホイールの組み合わせが流行した。
[2001]
LUCKY☆STAR ESTIMA
ワンモーションフォルムは今でも新鮮
パワートレーンは変わったものの、エスティマのアイデンティティであるワンモーションフォルムは不変。クセのあるカタチゆえにカスタムの素材としては難易度が高そうだが、意外にも定番のヨーロピアンやVIP、ラグジュアリー、写真のアメリカンまであらゆるスタイルが似合った。19年前のモデルだが、今でも十分カッコいい。
[2002]
BLACK MAFIA ODYSSEY
ファミリーカーがエアロと車高で化ける
ファミリー向けミニバンがエアロと車高、ホイールのカスタムだけで大胆にイメージを変えられることの好例が、ギャルソンの「ブラックマフィア」。ネーミングからも想像できるように、”究極のアウトロースタイル”を表現。アメリカンとVIPを融合した独特なフォルムは唯一無二で、極低車高と相まって他を寄せ付けないオーラを放つ。
[2002]
American Racing STEP WGN
ハイルーフの架装でミニバンをもっと快適に
今のミニバンにはない装備がシートの回転機構。ステップワゴンはアレンジが多彩で、走行中でも使える2&3列目の対座モードや全長3mのベッドモードなど、家族サービスや車中泊にはうってつけ。写真の「ステップワゴンハイルーフ」は独自のハイルーフを仮想した豪華内装仕様。今の車中泊モデルのハシリだ。
〈文=湯目由明〉
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