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売れているのに地味すぎる? パッソ&ブーンはなぜパッとしないのか

掲載 更新 45
売れているのに地味すぎる? パッソ&ブーンはなぜパッとしないのか

 軽自動車より大きく、ヤリスやフィットよりひとまわり小さい登録車のエントリーカー! トヨタ パッソ/ダイハツ ブーンは、人気の割に陰の薄い存在だ。

 しかし、昨年パッソは販売台数ランキングで22位の4万980台、ブーンもベスト50に近い8616台と、2台を合計すると月4000台以上と結構売れている。

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 当記事ではパッソ&ブーンが売れている割にパッとしない理由を考察してみた。

文:永田恵一、写真:トヨタ、ダイハツ、ホンダ

【画像ギャラリー】パッソ/ブーンの歴代車をみる

パッソ&ブーンの歴史を振り返る

 現行型で3代目モデルとなるパッソ&ブーンを簡単に紹介すると、初代モデルはダイハツのシャレード、トヨタでもデュエットの車名で販売されたストーリアを引き継ぐダイハツ主導で開発されたリッターカーとして2004年に登場。

 初代モデルのパワートレーンは現行型も同じものを使う1リッター3気筒+4速ATと1.3リッター4気筒+4速ATがメインで、プラットホームは軽自動車の拡大版だ。

初代ブーン

 初代パッソ&ブーンのコンセプトは「使いやすい、運転しやすいコンパクトカー」というもので、これは現行型まで一貫している。

 初代パッソには1.3リッター4気筒エンジンにMTを組み合わせた、ちょっとスポーティな「TRD Mスポーツ」、初代ブーンにはストーリアにもあった競技ベースの「X4」(競技のレギュレーションに合せた936ccの4気筒ターボ+4WD、クルマ自体は改造前提のホントのベース車)が2006年に追加されたこともあり、クルマ好きや自動車メディアにも若干は注目されるモデルだった。

 しかし2010年登場の2代目モデル以降スポーツモデルは完全になくなり、プラットホームも現行モデルまで三世代変わらず、二代目モデルで4速ATがCVTになるなどの最低限のアップデートだけを盛り込むくらいで、空気のような存在になりながら現在に至る。

パッソ特別仕様車 MODA“Charm”(2020年4月7日発売)

パッソ&ブーンはどのくらい売れている?

 現行モデルになった2016年以降で統計が見つかった2台の販売台数は以下の通りである。

パッソとブーンの販売台数比較(販売台数ランキング上位50位まで掲載分)

 トヨタにはハイエースやプロボックスのように「普段意識することは少ないけど、よく見ると驚くほど売れている」というクルマがあるが、パッソ&ブーンもハイエースやプロボックスとは意味合いは違うものの、販売は堅調だ。

パッソ2020年販売台数

売れている割になぜパッとしないのか?

 答えは簡単で、パッとするところがないクルマだからだ。現代のクルマだけにこだわりなく使うのであれば大きな問題はないが、こだわりがあったり、パッソ&ブーンの最大のライバルとなる軽自動車と比べたら、アラが目立つ。

現行型ブーン

具体的には

・高速道路や峠道ではフラフラすることも少なくない足回り

・自動ブレーキの性能は日本車最低水準かつ運転支援システムもゼロではないけど乏しく、進化が著しい軽自動車とは話にならない

・インテリアをはじめ、全体的にクオリティが低い

 といったことが挙げられる。要するに魅力が薄いのである。それだけに「この内容でこれだけ売れている」ことの方がずっと驚異というか不思議なのだ。

売れているのはなぜなのか?

 その理由も考えればなくはない。

(1)特に地方には明確な理由なく「軽自動車はイヤだ」という人が一定数おり、そういった層が買う

(2)実際そういうケースがどのくらいあるのか、快適なのかは別にして、軽自動車は乗車定員4人なのに対しパッソ&ブーンは乗車定員5人

(3)(1)、(2)を考えれば、本当のところはともかくとしてホンダN-WGNのベーシックグレードは129万8000円なのに対し、パッソで自動ブレーキが着く最安のX”S”は126万5000円と安いといえば安い。

2019年フルモデルチェンジした新型N-WGN

 しかし129万8000円のN-WGNは停止まで対応する先行者追従型のアダプティブクルーズコントロール、車線の中央をキープしようとするLKAS、日本車トップクラスに自動ブレーキなどから構成されるホンダセンシングが付き、クルマの質感はパッソ&ブーンを圧倒する。

 その上軽自動車の維持費の安さや処分するときのリセールバリューの高さもあり、総合すると長い目で見てパッソ&ブーンが本当に安く付くのかには大きな疑問はある。

(4)パッソ&ブーンの直接的なライバル車はそれぞれ1.2リッターの日産マーチと三菱ミラージュだ。

2020年4月にマイナーチェンジした三菱ミラージュ

 2台は1リッターのパッソ&ブーンに対し自動車税が1クラス上なだけでなく、自動ブレーキの設定すらないマーチ、価格が143万3200円からのミラージュに比べればパッソ&ブーンはマシといえる。さらに日産と三菱はブランドイメージも低迷中だ。

(5)レンタカー用にそれなりに売れている可能性も考えられる。

 つまりパッソ&ブーンは決してハイレベルではないリッターカー同士の争いでは優勢で、特にパッソはそこに文句のないトヨタのブランドイメージとトヨタの販売力が加われば、一定数は売れるのはスッキリしないとしても納得はできる。

まとめ

 パッソ&ブーンはもしかするとトヨタで販売されている限り、ルーティーンのモデルチェンジを行っていれば、この程度は売れ続けるクルマなのかもしれない。

 しかしそれも情けない話であり、先々はパッソ&ブーンが軽自動車に完全にマーケットを奪われるということもないとは言えないと思う。

 幸い現在トヨタは絶好調、ダイハツも新しいDNGAテクノロジーの展開が始まったところとタイミングはいいだけに、次期モデルでは自動ブレーキをはじめとした基本性能の向上やスポーツモデルの設定など、日本車の性能を底上げするような魅力あるリッターカーになって欲しい。

 そうなれば日本だけでなく、新興国向けの国民車的存在になるなどパッソ&ブーンが新しい道を歩むチャンスも生まれるのではないだろうか。

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みんなのコメント

45件
  • 見た目、パッとしないものは、
     
    長く愛される。新しさも古さも目立たない。

    流行りの見た目は廃れも早い。


  • バカ売れもパッとする必要も無い。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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