現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > スポーツカーも“ぶつからないクルマ”へ──新型スバルBRZ試乗記

ここから本文です

スポーツカーも“ぶつからないクルマ”へ──新型スバルBRZ試乗記

掲載 12
スポーツカーも“ぶつからないクルマ”へ──新型スバルBRZ試乗記

一部改良を受けたスバル「BRZ」は、MTモデルの運転支援装備が大幅にアップデートされた! 小川フミオがリポートする。

MT車ならではの制御課題

誰にも受け入れられることを目指す!──新型スズキ スイフト詳報

スバルといえば、楽しめるクルマづくりで知られる。いっぽうステレオカメラを使った運転支援システム「アイサイト」と呼ぶ、看板技術ゆえスバル車を選ぶひとも少なくない。

どっちも欲しいひとのために、2023年9月22日、スポーツクーペ「BRZ」(と、トヨタ「86」)のマニュアル変速機モデルに、ついにアイサイトが標準装備された。

現行BRZおよび86の発表は、2021年4月だから、ようやく、と喜ぶひとも少なくないのでは。ここではBRZを中心にアイサイトの説明をしよう。

スバルが開発を担当したアイサイトは、すでにご存知の人が多いと思うけれど、歩行者や自転車や車両との衝突回避を手助けしてくれるシステム。

最新の「バージョン3」において、その効果は「追突事故発生率0.06%」と、スバルではしている。すごい! と、あらためて感心したのは、今回のアイサイト搭載MTモデルで、衝突回避テストを体験したとき。

先行車に見立てたバリアに向かって、20km/hで、ブレーキペダルを踏まずに突っ込むテストだ。

「クラッチペダルのことは気にしないでください」と、同乗してくれたスバルの開発者に言われたとおり、運転した私が意識したのは、20km/hまで速度を上げることと、そのあとアクセルペダルに載せた足の力を抜くこと。

よく言われるのだけれど、追突のとき、アクセルペダルを踏み続けているドライバーは少ないそうだ。だいたい「あっ!」と、気づいてブレーキペダルを踏むなど減速するが、間に合わないで追突するという。

はたして、私は、アクセルペダルからほぼ足を離したまではいいが、ブレーキングしないまま、バリアへと突っ込んだ。すると、目の前いっぱいにバリアが拡がっていき、ついに「やばい!」と、思った瞬間、ガンッとブレーキがかかった。バリアとの間隔は約1m。これは設定通りという。

BRZは操縦する楽しさを前面に押し出したモデルだけれど、マニュアル変速機搭載車と同時に発表されたオートマチックモデルには、当初からアイサイトが設定されていた。

「オートマチック車で効果がしっかり検証出来たので、次はマニュアル車で、という順番です」

開発を担当したスバルのADAS(自動運転)開発部の大郷道夫は、会場でそう説明してくれた。

「マニュアル車の場合、アイサイトで急停止すると「エンストしたらどうする?」とか「停止時、自動的に車両がブレーキ保持をしたほうがいいか? するとしたら何秒が適当か?」といった課題がありました」

くわえて、衝突せずに停止したのはいいが、そのあと、自動で作動したブレーキをどのぐらい保持するのか、細かく時間も検討したとのこと。はたして、マニュアル車なので車両が動き出して接触、などという二次事故を防ぐために、一定時間、ブレーキ圧は保持される。車両側がブレーキ圧を保持している状態が続いている間、警告音が鳴っている。ドライバーはそれに気づいて、(あらためて)ブレーキペダルを踏めばよい。

いっぽう、「安全性ばかりを優先した開発ではなかった」と、スバル商品開発本部の小林正明プロジェクトジェネラルマネージャーは説明する。

「運転を楽しんでいただくスポーツカーですから、ドライバーはなるべく自然なフィールでもって運転していただきたいという思いが第一にありました。レーンチェンジとかステアリングホイール操作にはシステムが介入しないようにしています」

BRZについては、同時に「STI Sport」というスポーツグレードが追加された。魅力的なクルマなので、最後に紹介しておこう。

STIチューニングによる専用サスペンション(新採用ダンパーのダンパーを含む)により応答性の高いハンドリングを目指した仕様だ。ゴールド色のブレーキキャリパーはブレンボ製。

この足まわりは硬いだけでなく、しなやかさがセリングポイントだけあって、かなり良い。

さらに内外装も専用装備が充実。ドラミラーとルーフアンテナをブラックにしたことをはじめ、高輝度のダークメタリックの18インチ径アルミホイール装着。エアロパッケージやパフォーマンスマフラーやBBSホイールなどをオプションで注文出来る。

BRZは(86とともに)、きっと、ドライブの楽しさは継続維持されて、かつ、いざというときの安全性の高いスポーツクーペになったのだ。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)

こんな記事も読まれています

完璧なシーズンでも届かない、王者の背中。ノリス「たとえミスがなかったとしてもタイトルを手にできたかどうか……」
完璧なシーズンでも届かない、王者の背中。ノリス「たとえミスがなかったとしてもタイトルを手にできたかどうか……」
motorsport.com 日本版
苦手な「前向き駐車」なぜコンビニで推奨されるのか? 「もちろんやってる」「出る時が怖い…」賛否あり!? バック駐車じゃない理由への反響は?
苦手な「前向き駐車」なぜコンビニで推奨されるのか? 「もちろんやってる」「出る時が怖い…」賛否あり!? バック駐車じゃない理由への反響は?
くるまのニュース
今でも現役! いろんなバイクに採用されています。「SOHC」とは?【バイク用語辞典】
今でも現役! いろんなバイクに採用されています。「SOHC」とは?【バイク用語辞典】
バイクのニュース
ダイハツ『タフト』安全性能向上で仕様変更、138万6000円から
ダイハツ『タフト』安全性能向上で仕様変更、138万6000円から
レスポンス
BMW 2シリーズクーペ【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
BMW 2シリーズクーペ【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
レクサスの末っ子LBXに、次世代モダンインテリア空間を表現したElegantが新登場
レクサスの末っ子LBXに、次世代モダンインテリア空間を表現したElegantが新登場
カー・アンド・ドライバー
荷台が“伸びる”ダイハツ「斬新軽トラ」登場! “画期的”発想の「超ロングボディ仕様」がスゴい! まさかの「実車化」果たした衝撃のモデルでWRCをサポート
荷台が“伸びる”ダイハツ「斬新軽トラ」登場! “画期的”発想の「超ロングボディ仕様」がスゴい! まさかの「実車化」果たした衝撃のモデルでWRCをサポート
くるまのニュース
新車で買える!? トヨタ「シエンタ“SUV”」がスゴイ! 5人乗り仕様もある「小型SUVミニバン」が台湾で人気すぎるワケとは
新車で買える!? トヨタ「シエンタ“SUV”」がスゴイ! 5人乗り仕様もある「小型SUVミニバン」が台湾で人気すぎるワケとは
くるまのニュース
「トイレに行きたいのですが…駐めちゃダメ?」 高速にある「謎のバス停」 SNSでは「一般車が進入していた」の声も どんなルールなの?
「トイレに行きたいのですが…駐めちゃダメ?」 高速にある「謎のバス停」 SNSでは「一般車が進入していた」の声も どんなルールなの?
くるまのニュース
運賃交渉すれば“村八分”にされる? 荷主を過剰に気遣う中小運送の社長たち、本当に守るべきは誰なのか?
運賃交渉すれば“村八分”にされる? 荷主を過剰に気遣う中小運送の社長たち、本当に守るべきは誰なのか?
Merkmal
ホンダ「ADV160」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
ホンダ「ADV160」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
webオートバイ
いやこれは凄いわ……[EV]の歴史に残る一台が韓国から出ている件
いやこれは凄いわ……[EV]の歴史に残る一台が韓国から出ている件
ベストカーWeb
軽自動車ってのが凄すぎる…! 世界に誇れる自動車と言えば[スズキ ジムニー]でしょ! 
軽自動車ってのが凄すぎる…! 世界に誇れる自動車と言えば[スズキ ジムニー]でしょ! 
ベストカーWeb
レッドブル&HRC密着:突貫工事でリヤウイングを修正。マシン性能を出し切っての予選5番手にフェルスタッペンも満足
レッドブル&HRC密着:突貫工事でリヤウイングを修正。マシン性能を出し切っての予選5番手にフェルスタッペンも満足
AUTOSPORT web
ポールのラッセル「壁に接触、望みが消えたかと思った」マシンの速さについては「理由が分からない」/F1第22戦
ポールのラッセル「壁に接触、望みが消えたかと思った」マシンの速さについては「理由が分からない」/F1第22戦
AUTOSPORT web
次期デリカD5はこうなってほしい!! 唯一無二の価値を持つSUVミニバンへの期待
次期デリカD5はこうなってほしい!! 唯一無二の価値を持つSUVミニバンへの期待
ベストカーWeb
フェルスタッペン予選5番手「ベガス用リヤウイングを作らないという方針がハンデに」タイトルには有利な位置を確保
フェルスタッペン予選5番手「ベガス用リヤウイングを作らないという方針がハンデに」タイトルには有利な位置を確保
AUTOSPORT web
佐藤万璃音、2025年もユナイテッド・オートスポーツからWEC世界耐久選手権にフル参戦
佐藤万璃音、2025年もユナイテッド・オートスポーツからWEC世界耐久選手権にフル参戦
AUTOSPORT web

みんなのコメント

12件
  • j_n********
    経済的に買えないのでグランツーリスモで乗っていますが、下手なのでぶつけてばかりいます。
  • 欲しいのですが、人生最最後に10年共にするチャンスがあるかどうか?と思ってます。50過ぎのオッさんですので定年時...
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

332.2381.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

75.0550.0万円

中古車を検索
BRZの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

332.2381.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

75.0550.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村