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6速MTが強める独自性 トヨタ・スープラ 3.0 MTへ試乗 シャシーもチューニング

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6速MTが強める独自性 トヨタ・スープラ 3.0 MTへ試乗 シャシーもチューニング

6速MTと同時にシャシーもチューニング

残念な事実だが、英国に住む筆者はトヨタGRカローラを正規に購入できない。ホットハッチへの理解が他国より深いこの国で、GRヤリスが与えた大きな影響を考えれば、なんとも悩ましい事実だ。

【画像】6速MT版追加 トヨタ・スープラ 競合のクーペと写真で比較 新型フェアレディZも 全143枚

しかし、トヨタは英国を見捨てたわけではない。ガズーレーシングが手掛けたスープラに6速MT版を追加し、導入してくれるという。ただし、5代目は心底魅了されるほどのFRスポーツカーではなかった。MTが与える変化はいかほどだろう。

またトヨタは同時に、スープラのシャシーにも手を加えている。2022年版ではアンチロールバーを引き締め、ダンパーの減衰力を向上。パワーステアリングの設定も改めたという。

その目的は、スープラを一層ダイレクトで魅力的なスポーツカーに仕立てるため。操縦性を磨くことで、ポルシェ718ケイマンとの関係性を一層ややこしくしよう、という考えだ。

アルミホイールは19インチの鍛造品。2脚のシートも軽量化され、8速ATのスープラと比較して約40kgも軽量化されている。

ちなみに英国版のスープラ・プロでは、レザーで覆われたパワーシートにJBL社製の12スピーカー・サウンドシステムなどが搭載され、20kg重くなる。贅沢な装備は軽くない。

2.0L 4気筒エンジンを積むスープラでは、MTを選べない。トヨタGR86がその代わりということかもしれないが、限定販売の英国では既に完売状態にある。

小さななフェラーリ550マラネロのよう

今回は、一般道で6速MTのスープラを試乗させていただいた。その最大の魅力は、6気筒エンジンを搭載した2シーターのクーペで、ドライバー自ら直接ギアを選べるというところにある。

価格は5万3495ポンド(約882万円)と、このクラスではお手頃な側にある。FRモデルとして絞ると、英国のこの価格帯にはスープラ以外に選択肢はない。それだけで、気持ちが動くドライバーは少なくないだろう。

適度にタイトなコクピットに、低めのドライビングポジション。電子制御LSDの直前に座っているような感覚。コンパクトなフェラーリ550マラネロのような、そんな雰囲気を楽しむことができる。

シフトレバーの動きは軽くメカニカルで、ATのパドルを引くこととは比べ物にならない楽しさがある。クラッチペダルはストロークが長めだが、テンポよく早めにシフトアップしていけば、太いトルクバンドを活用できる。

レッドラインまで回転数を引っ張ってのシフトアップも、充分に滑らか。BMW由来の直列6気筒ユニットは、重いクランクシャフトの慣性が小さくないものの、回転数を調整しながらのシフトダウンも難しくない。

ヒール&トウに不慣れなら、自動的に回転数を合わせてくれるレブマッチ機能も使える。市街地でも運転しやすいクーペだ。

ドライバーとの一体感が向上した操縦性

燃費は少々惜しい。8速ATよりギアの少ない6速MTは、高速道路でのクルージング時に高めの回転数が必要となる。一方で郊外の道では、気がつくとシフトアップしているような、最新のAT並みに効率的にギアを選ぶことは難しい。

燃料タンクが小さいことも、ガソリンを燃やしたという気持ちを助長させる。カタログ値では11.4km/Lがうたわれる。

2022年モデルに加えられた改良でわかりやすい変化が、アクセルペダルの操作に対し、シャシーがより反応するようになったこと。コーナリング中にペダルを徐々に緩めていくと、フロントを内側に巻き込みながらラインを絞れる。

改良前のスープラでも同様な挙動は楽しめた。だが、ここまで明確な変化は得られなかった。

ステアリングのレスポンスも磨かれている。2019年モデルでは、ステアリングホイールを切ってからフロントタイヤが反応するまでに、ごく僅かな遅れがあった。

しかし最新版では、姿勢制御が向上したことで、よりダイレクトで高速にフロントが反応。ドライバーとの一体感も高まっている。操る自信にもつながり、2シーターの高性能クーペとして歓迎できる変化といえる。

一方で、スープラ本来が備える穏やかなアンダーステア傾向は変わっていない。路面が乱れたカーブで、リアタイヤの落ち着きが若干失われる挙動も、改善されていない。

ダンパーはハードとソフトの2モードから選べるが、ソフトではそれが明らか。ハードでも、完全には抑えきれていない様子だった。

一層強まったスープラの独自性

確かにスープラは当初より良くなった。だが、718ケイマンを凌駕するには至っていない。感心するほど落ち着いた身のこなしや、鮮明なステアリング・フィールが、ポルシェを有利にしていることは従来どおりだ。

スープラも、ワインディングを流れるように走ることはできる。だが、718ケイマンほどシリアスなスポーツカーではなく、グランドツアラー寄りの性格にある。

とはいえ、本来の快適な乗り心地も変わらない。3.0L直列6気筒エンジンは軽快に吹け上がり、パワフルでありながら現実環境で扱いやすい。

日常的に乗れる小柄なグランドツアラーをお探しのドライバーにとって、トヨタ・スープラの訴求力は6速MTの獲得でさらに増している。唯一の独自性は、一層強められたといっていい。

トヨタ・スープラ 3.0 MT(英国仕様)のスペック

英国価格:5万3495ポンド(約882万円)
全長:4379mm
全幅:1854mm
全高:1292mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.6秒
燃費:11.4km/L
CO2排出量:198g/km
乾燥重量:1457kg
パワートレイン:直列6気筒2998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:339ps/5000-6500rpm
最大トルク:50.9kg-m/1600-4500rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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VAGUE

みんなのコメント

44件
  • トヨタ車ってほんとデザイン悪い
    なんでかっこ悪いのばかりなんでしょう
  • トヨタ信者だけだろ喜んでるのはw
    乗ってるヤツらの殆どがトヨタ→トヨタ
    レクサスにしてもトヨタの高額車はピラミッド型の図式が販売の拠り所
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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