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小さなスズキは「軽・好・楽!」 新型スイフトへ英国試乗 操縦性と快適性はクラス上位

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小さなスズキは「軽・好・楽!」 新型スイフトへ英国試乗 操縦性と快適性はクラス上位

ハーテクト・アーキテクチャは4代目の進化版

新型スズキ・スイフトの発表会で、興味深い予想が示された。英国では、過去3年間に25万人がスイフト・クラスの小型車を購入したが、他メーカーのモデルは減少傾向にあり、同等のクルマへの乗り換えが難しくなるという内容だ。

【画像】操縦性と快適性はクラス上位 新型スズキ・スイフト 競合クラスのハッチバックと比較 全151枚

確かに、フォード・フィエスタも日産マイクラ(マーチ)も生産を終えた。このカテゴリーでは、28%も選択肢が狭まっている。それでも新しいスイフトは、グレートブリテン島にもやってきた。

5代目へ生まれ変わっても、スイフトは従来どおり。小型・軽量で価格はお手頃。装備は充実し、燃費は良好。英国では、2グレード展開が予定されており、MTとCVTが選べる。標準は前輪駆動だが、四輪駆動も用意される。

「スイフトが属する、Bセグメントは重要な市場です。弊社のユーザーは、コンパクトカーを求めています」。スズキUKのディレクター、デール・ワイアット氏は説明する。それでは、詳しく見ていこう。

まったく新しいとスズキは主張するものの、5代目が基礎骨格とするハーテクト・アーキテクチャは、基本的に4代目の進化版。マイルド・ハイブリッドを採用した、自然吸気の1.2L 3気筒ガソリンエンジンが横向きで積まれる。

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式で、リアがトーションビーム式。ブレーキはベンチレーテッド・ディスクにドラムと、従来的な内容にある。

ボディサイズは、全長3860mm、全幅1735mm、全高1495mmと、4代目と大きくは違わない。筆者としてうれしい数字が、前輪駆動の車重が1.0tを切ることだ。

強化された防音処理 余裕のある車内空間

5代目の特徴となるのが、強化された防音処理。サスペンション周辺からの振動やノイズを抑えるため、アンダーボディに接着剤を利用し、Aピラー部分には防音プレートを追加。フロアとダッシュボードには、厚めの制振シートを採用したという。

また、カーペットも重いものが敷かれた。エンジンマウントには、フルードが充填されている。それでも、ベースグレードの車重は949kgに抑えられた。

インテリアには、そのぶんの軽量化がうかがえる。造形自体は魅力的ながら、素材は傷の付きやすそうな硬いプラスティックが目立つ。

とはいえ、ドアにはソフトパッドが貼られ、エアコンのスイッチはブラシ仕上げで、触れる部分への配慮も忘れてはいない。人間工学的にも良好で、ライト類はステアリングコラムの左側、ワイパーなどは右側と、明確に割り振られている。

エアコンには、従来的なスイッチが残る。タッチモニターは用意されているが、車線維持支援システムは、ダッシュボード上のボタンで簡単にオフにできる。

制限速度支援機能は、ステアリングホイール上のスイッチや、トリップコンピュータのレバーでオフにできる。ただし、これは停車時しか切り替えられない。

車内は広々としており、前席側は頭上空間にも余裕がある。フロントガラスは前方に遠い。後席側も、前後・上下にゆとりを感じる。大人4名が長時間過ごせる空間は備わる。定員は5名だ。

荷室容量は265L。床面は開口部より下にあり、その下側にはスペアタイヤを積める空間がある。

適度に活発な1.2L 3気筒 変速が楽しい5速MT

確認はこのくらいにして、発進してみよう。1.2Lエンジンは、Z12E型と呼ばれる3気筒で、電圧12Vのスターター・ジェネレーター(ISG)が実装される。最高出力は82ps、最大トルクは11.4kg-m。4気筒だった4代目から1ps落ち、0.5kg-m太くなった。

0-100km/h加速は12.5秒で、最高速度は168km/h。速いハッチバックではないものの、適度に活発で、英国の交通の流れへ余裕で合わせることはできる。

アクセルペダルへの反応は感度が良く、特徴的なビートとともに、線形的に力が増していく。5700rpmまで引っ張る必要性は感じさせない。

5速MTは、滑らかにシフトレバーが動き、重み付けも丁度イイ。ストロークが短いわけではないが、変速が楽しい。CVTは試乗していないが、4代目の印象を踏まえると、MTを推したいところだ。

スズキの技術者は、乗り心地と操縦性の改良で、ベンチマークにしたモデルを公言している。ボディロールは、フォルクスワーゲン・ポロ水準へ抑えたとか。ステアリングの反応は、フォード・フィエスタ水準へ高めたそうだ。

正直なところ、4代目スイフトの身のこなしがポロより鈍いと感じたことはなかった。だが確かに、その進化ぶりは明瞭といえた。

ステアリングのレシオや重み付けは望ましく、反応はリニアでポジティブ。今回は高速道路まで走れていないが、直進時は安定してもいる。

連続するカーブを小気味よく縫える

車重が軽いおかげで、姿勢制御を引き締めるため、過度にサスペンションを硬くする必要はない。旋回時の傾きを抑えつつ、低めの速度域でも落ち着きは良好。連続するカーブを小気味よく縫っていける。

試乗車が履いていたタイヤは16インチ。扁平率は55と薄すぎず、サイドウォールもある程度の衝撃を吸収してくれる。ノイズレベルは、このクラスの上位モデルほど静かではないが、良く抑えられていた。

フィエスタ級に、操縦性と快適性を高次元で両立したとはいえない。だが、クラストップの水準へさらに一歩迫ったことは間違いない。

英国のトリムグレードは、モーションとウルトラという2段階。前者にも、バックカメラとパーキングセンサー、アダプティブ・クルーズコントロール、アルミホイール、キーレスエントリー、スマートフォンとのミラーリング機能など、殆どの装備が備わる。

四輪駆動のメカニズムは、スズキ・イグニスと同等とのこと。最低地上高は25mm高くなる。

確かに、欧州では選択肢が狭まるコンパクトカー・クラスではあるが、まだ出来の良いクルマは少なくない。その1台、スイフトはさらに能力を高めることへ成功した。運転が楽しく、シンプルで実用的。英国価格も充分お手頃といえる。

新車でフィエスタを購入できない今、乗り心地と操縦性との組み合わせでは、相当な上位に仕上がっている。適度に活発なエンジンと、気持ちイイ5速MT、適度な小ささが融合し、かなり好ましく楽しめるスズキだ。

◯:軽くて小さい 充実した装備 妥当な価格
△:傷の付きやすそうな内装素材

スズキ・スイフト 1.2ウルトラ(欧州仕様)のスペック

スズキ・スイフト 1.2ウルトラ(英国仕様)のスペック

英国価格:1万9799ポンド(約374万円)
全長:3860mm
全幅:1735mm
全高:1495mm
最高速度:168km/h
0-100km/h加速:12.5秒
燃費:22.7km/L
CO2排出量:99g/km
車両重量:945kg
パワートレイン:直列3気筒1197cc 自然吸気+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:82ps
最大トルク:11.4kg-m
ギアボックス:5速マニュアル(前輪駆動)

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みんなのコメント

1件
  • なおき
    へー、商品力と評価上げて、英国に殴り込みって感じか。ワンオクファンとしては前もCM採用されてたから、日本車として応援したいですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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