前後独立駆動モーターによるハイレスポンスで正確な四輪駆動力制御が時代を変える
日産が発表した新しい4輪制御技術が「e-4ORCE」です。「e」は、100%電気自動車の電動駆動を示しもので、「4ORCE(フォース)」は、物理的なパワーである「FORCE」と四輪駆動の「4」を掛けた造語。つまり新しい電動四輪駆動テクノロジーを示しています。
日産の四輪駆動技術といえば、古くは1990年代のビスカスカップリングをセンターデフに使った「ATTESA(アテーサ)」が思い出されます。その後スカイラインGT-Rに「ATTESA E-TS」と呼ばれる電子制御トルクスプリット四輪駆動システムが採用され、ブランドイメージを高めました。「ATTESA E-TS」は現行GT-Rにも採用されています。近年は「インテリジェント4x4システム」がクロスカントリー四駆やクロスオーバーSUVなどに採用され、電子制御により悪路走破性を高めることも証明しています。そうした過去の技術的地蓄積の延長線上に「e-4ORCE」はあるといいます。
現時点で、リーフをベースとしたテストカーに搭載されている「e-4ORCE」は前後独立したツインモーターを前提としたシステムです。一般論として、モーターによる前後駆動配分というのは、50:50を基本に、40:50や50:20といった風に駆動力をコントロールすることが基本となります。内燃機関とカップリングシステムを使ったトルクスプリット(駆動力配分)では、メカニカルロスを無視すると前後駆動力の合計は常に100になるわけですが、電気自動車の場合は前後それぞれのモーターによって前後の駆動力が決まってくるためです。
たとえば、この「e-4ORCE」テストカーが採用している駆動モーターは「EM57」といってリーフと同じものです。参考までにリーフe+の最高出力は160kW、最大トルクは340Nmとなっています。一方、「e-4ORCE」テストカーの前後輪をあわせたシステム出力は227kW、最大トルクは640Nmです。駆動トルクでいうと前後とも340Nmがマックスとなっていると考えられます。ですから、仮にフロントだけで駆動する制御となったときに発生できるシステムトルクは340Nmになるわけで、従来のトルクスプリット4WDでは100:0となるところが、50:0という風になってしまうのです。なお、テストカーでは最大トルクはモーター2基掛けに合わせて2倍となっていますが、最高出力は倍になっていません。これはEVのパワーについてはバッテリー性能によって決まる要素のほうが大きいためでしょう。
前後独立モーターによる電動4WDは全体値として発表されている、すべてのトルク(駆動力)を前後いずれかに集中させることはできないのが、従来型の4WDシステムとの違いになります。この点だけを見るとモーターを前後独立させるよりもワンモーターでセンターデフやカップリングなどを用いた4WDシステムのほうが有利に思えるかもしれませんが、繊細な駆動コントロールにおいては独立モーターのメリットが活きてきます。
日産の「e-4ORCE」では、その機能的なメリットの一例として『市街地走行における減速時などでは、通常のフロントモーターの回生ブレーキに加え、リヤモーターの回生ブレーキも併せて活用することで車体の姿勢変化を抑制し、乗員の前後方向の揺れを減少させます』と発表されていますが、電動モーターの制御は1/1000秒単位で行えるほど緻密なもので、実際市販されているリーフでもそのレベルで快適な走りにつながる制御が実装されています。「e-4ORCE」には、電子制御の多板クラッチなどによる制御とは段違いのきめ細やかな挙動が期待できるというわけです。
日産が1980年代に市販した「アテーサE-TS」は、それまでの四輪駆動が持っていた“曲がらない”というイメージを覆し、4WDこそスポーツドライビングに必須なものとして市場に認識をさせました。それが、スーパースポーツの多くが4WDを採用する時代につながっています。新たに発表した「e-4ORCE」の前後独立モーターによる駆動制御にも、10年後に「ここが原点だった」といえるテクノロジーになるポテンシャルを感じます。スポーツカーでもSUVでも、もちろんラグジュアリーカーにおいても「e-4ORCE」テクノロジーが、日産車の走りを一新する未来はもうすぐやって来るのです。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
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みんなのコメント
その瞬間々々の前後左右の車重配分に応じたトルク配分を瞬時に供給できれば、常には合算出力を使えなくてもそれで十分だと思う。