2023年7月8日(現地時間)、アウディAGはNSU創立150周年を記念して、ネッカーズルム工場の12人の若き研修生が製作した電気自動車「EP4」を公開した。NSUの歴史的名車「プリンツ4」(1971年製)をベースに、アウディe-tron、Q7 TFSI e quattro のコンポーネントを使って電動化、「新時代のプリンツ4」を作り上げた。
若き研修生が自由な発想で「新時代のプリンツ4」を作り上げるプロジェクト
1873年にニット編み機製造会社としてスタートしたNSUは、ネッカーズ川とウルム川が合流する街「ネッカーズルム」を象徴するメーカー。後に2輪、4輪事業に進出、1969年にアウトウニオンの傘下に入り、アウディNSUアウトウニオン、そして現在のアウディAGを作り上げる重要な役割を果たしてきた。現在はアウディの中でスポーツカー部門を主に担当、日本ではロータリーエンジンの開発メーカーとしてよく知られている。ちなみにNSUとは、ネッカーズルムの略称コードでもある。
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NSUプリンツ4は、1961年から1973 年まで 生産された歴史的名車。空冷2気筒598ccのSOHCエンジンをリアに搭載、4輪独立サスペンションが備わった小型2ドアセダンは、その動力性能とハンドリングの良さで人気を博し、サーキットでも活躍した。
今回公開された「EP4」は、1971年製のプリンツ4をベースに、ネッカーズルム工場の12人の若き研修生が自由な発想で「新時代のプリンツ4」を作り上げるというプロジェクトから生まれた。その作品が電気自動車であったことから「EP4」と名付けられたが、「EP4」の「E」は電気駆動、「P4」はNSU プリンツ4(Prinz 4)を意味するという。
このプロジェクトは今年1月にスタート。1971年製のプリンツ4は、車体にいくつかの錆びた箇所があり、まず最初にこれらの部分を修理。ボディと塗装の研修生がシャシと外板に取り組む一方で、未来の自動車整備士はパワートレーン、バッテリー、サスペンションの開発に取りかかった。
NSU プリンツの後部には 30ps (22 kW) の 2 気筒ガソリン エンジンが搭載されていたが、EP4では この場所に240ps (176 kW) の電気モーターが搭載されている。 これは アウディe-tronのもので、プラグインハイブリッド モデルである Q7 TFSI e クワトロ で使われているバッテリーが電気モーターに電力を供給する。
このバッテリーはフロントボンネットの下に置かれ、バンパー下部のエアインテークから冷却空気を吸い込み、フロントフードの大きな開口部から熱を逃がす。 テールゲートは冷却効果を向上させるデザインで、リアにパワーユニットを搭載していることを主張。歴史的なレーシングカー「 NSU プリンツ 1000」 を彷彿とさせる。
アウディA1のシャシをベースに、ワイドボディ化
研修生たちはボディの錆を取り除き、アウディカラーのスズカグレーとブリリアントブラックでボディを塗装、 車両側面に150周年を記念する「150」の文字を施した。
しかしそれだけではなく、パフォーマンスを必要なレベルに向上させるには、シャシと車体に大規模な変更を加える必要があった。 そこでアウディ A1 のシャシ (ブレーキと車軸を含む) をベースに、車幅を大胆に拡大し、広げられたフェンダーの下には最新のパフォーマンス タイヤを装着している。
このプロジェクトでは、さまざまな技術や素材を自由に使って作業する機会が与えられたが、ボディパーツの製作には3D プリンティングやカーボンファイバー技術も使われている。
なおインテリアは典型的なレーシングカースタイルで、シグナルイエローのロールケージ、「レカロ・ポディウム」バケットシートが装備されている。
アウディAGの取締役ザビエル・ロス氏は「このユニークなプロジェクトに感銘を受けました。 素晴らしい努力と多大な創造性により、研修生は素晴らしい車を作り上げました。若手スタッフが自分の任務に応じて成長し、チームとして開発が大きく飛躍したのを見るのは素晴らしいことです」とコメント。 さらに「このようなプロジェクトは、若い才能のおかげで我々に強い未来があることを示している」と付け加えた。
NSUの車両は歴史を作り、今もアウディの一員として自動車愛好家にインスピレーションを与え続けている。そして今回公開された「 EP4」 は、歴史的モデルの復活と電気ドライブトレーンにより、今後の電気化に向けてネッカーズルム工場への期待をかきたてる。
[ アルバム : アウディ NSU EP4 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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