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【新世代スポーツ研究】日産アリアが提示する、かつてない「走りの新地平」に感動

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【新世代スポーツ研究】日産アリアが提示する、かつてない「走りの新地平」に感動

BEV最大の魅力は、自由な制御がもたらすドライブフィールにある!

 BEVの「昂り感」は独特だ。一気に立ち上がる電気モーターのトルク、床下の重いバッテリーがもたらすこれまでにない低重心フィール、圧倒的な静粛性、さまざまな最新アプリケーション、そしてかさばる内燃機関パワートレーンがないことによる新鮮なデザイン……。どれもが新時代到来を実感させる。

【クルマの通知表】日産の世界戦略クロスオーバーBEV、アリアの完成度を確認。魅力は十分。問題は現在の生産体制か!?

 だが、BEVの真の魅力はそれだけにとどまらない。否、むしろそんな「らしさ」を超越したまったく新しい地平、すなわち電動パワートレーンの物理的&制御的な自由度を活用した、これまで味わった経験がないドライブフィールこそが価値だろう。冒頭で紹介した5つの魅力は、BEVならば「誰が作っても当然そうなる」というべき特性である。

 日産は、日本における量産BEVの先駆者。アリアは、そのフラッグシップモデルである。発売前には大いに盛り上がっていた。だが、市販後はすっかり鳴りをひそめている。2WDのB6がメディア試乗会に供された際、多くのジャーナリストはその乗り心地に眉をひそめたという。だが、もちろんそれが原因ではない。一連の半導体不足が、メーカーをして「盛り上げづらい」状況を引き起こしている。

 事実、今回、昂るスポーツネスを有した最新BEVとして真っ先に脳裏に浮かんだアリアのB9e-4ORCEは、未だオーダーさえできない状況だ。このグレードこそアリアの真骨頂だというのに……。

 e-4ORCEは前後に同じ出力性能の電気モーターを配備した4WDで、両モーターの出力配分をきめ細やかに制御する技術を通じて、クルマの動的キャラクターを連続的に自在に変化させている。前述した「ドライブフィールの新たな地平」の典型だといっていい。
 実際に乗ると、全域にわたって「新しさ」を実感する。デザイン性(とくにインテリア)を含め、つねにフレッシュさを感じるクルマは、現時点ではやはり、「楽しい」という評価になる。

 2WDと同様に街中(60km/hくらいまで)でのライドフィールは硬質だ。ちょっとした「ソロバン感覚」である。それでも2WDに比べるとリア側の跳ねがマイルドな分、「硬めだね」と軽くいなせる程度の乗り心地だ。それより加速のスムーズさがうれしい。出足の鋭さばかりが注目されるBEV界にあって、気持ちよくスムーズにかつ流れをリードできるだけの速さで加速する。ドライバーを心地よく刺激し、しかも圧倒的な完成度を感じさせる走り味……この調律は、クルマ作りでは初心者のBEV専門ブランドには難しいだろう。

 高速道路での安定感も素晴らしい。1000kmほど乗ったが、疲れしらず。そして何よりワインディングロードでの走りが、まるでスポーツカーだった。踏めば踏むほどにコーナーの内へ内へと切り込んでいく。何度も思わずおお~ッ!と叫んでしまう。アリアを峠道に持ち込んで楽しむなんて、多くのユーザーにとって例外的な話だろう。だがその走りは圧巻。まったく新しい昂るドライブフィールを持ったクルマであることは間違いない。

日産アリア主要諸元

グレード=B6(2WD)
価格=539万円
全長×全幅×全高=4595×1850×1655mm
ホイールベース=2775mm
トレッド=フロント:1585/リア:1590mm
車重=1920kg
モーター型式=交流同期電動機(AM67)
モーター最高出力=160kW(218ps)/5950~13000rpm
モーター最大トルク=300Nm(30.6kgm)/0~4392rpm
一充電走行距離(WLTCモード)km=470km
駆動用バッテリーモーター=リチウムイオン電池
駆動用バッテリー総電力量=66kWh
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=235/55R19+アルミ
駆動方式=2WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.4m

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