現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > スペーシアが5月の新車販売でトップに! N-BOXの首位陥落の理由は「ダイハツの不正問題」と「WR-Vの好調」にあり

ここから本文です

スペーシアが5月の新車販売でトップに! N-BOXの首位陥落の理由は「ダイハツの不正問題」と「WR-Vの好調」にあり

掲載 65
スペーシアが5月の新車販売でトップに! N-BOXの首位陥落の理由は「ダイハツの不正問題」と「WR-Vの好調」にあり

 この記事をまとめると

■2024年5月単月の車名別新車販売台数でホンダN-BOXが首位から陥落した

新車販売に不正問題はさほど影響なし! ダイハツも復活してこの先6月から9月までは「新車がお買い得」な時期が続く!!

■N-BOXに代わって首位となったのは同時期にフルモデルチェンジしたスズキ・スペーシア

■乗用車ではトヨタの認証検査不正の影響が少ないシエンタの躍進に期待がかかる

 新型N-BOXが販売台数の首位から陥落

 自販連(日本自動車販売協会連合会)と全軽自協(全国軽自動車協会連合会)から、2024年5月単月の車名(通称名)別新車販売台数が発表されると業界内がざわついた。新車販売ナンバー1の常連であったホンダN-BOXが首位陥落となったのである。

 とはいっても、2023年の各単月の販売統計を見ると、6月と7月はN-BOXがトップを逃している。ただしこれは先代、しかもモデル末期での話。現行N-BOXとしては初の首位陥落となっている。前述した2023年6月と7月は先代モデル末期で値引き条件もよく、好条件下でまさにセール状態のなかトップを逃しているのだが、これは供給上の問題や新型デビュー直前ということで、一部需要が現行型に流れていることも影響したとされている。

 その後、先代型ファイナルセールともいえる9月(現行モデルの正式発売は10月6日)には2万台超を販売し、先代モデルは有終の美を飾っている。そして、2023年10月は9月以上となる約2.3万台を販売している。これは現行モデルだけではなく先代在庫車もまだまだ新車として販売されていた結果と判断できる。11月も2万台超、12月は2万台弱を販売しているが、これは新型としてデビューした現行モデルの本格供給が始まったことを表しているといっていいだろう。

 しかし年が明け2024年になると雲行きが怪しくなってきた。販売台数自体はけっして見劣りの目立つものではないのだが、前年同期比でプラスにならないどころかマイナス幅が結構目立つようになっていた。新型車としてもてはやされる「新型車特需」のようなものは、発売後3カ月ほどしか続かないともいわれているが、その後の落ち込みは際立って見えた。

 2024年2月はスズキ・スペーシアに、そして2024年2月は登録車のトヨタ・ヤリスに僅差まで迫られながらもトップを死守していたが、ついに2024年5月、スズキ・スペーシアにトップの座を譲ることとなった。その差はわずか578台であった。スペーシアはN-BOXとほぼ時を同じくしてフルモデルチェンジを行っている。

 しかも、N-BOXが2024年に入ってから4月まで前年同期比で100%を超えられない月が続いているのに対し、スペーシアは、ときには前年同期比で150%を超える勢いでモデルチェンジ以降前年同期比100%超えを続けている。ダイハツが認証不正問題で生産及び出荷停止となり、ダイハツの軽自動車を購入検討していたユーザーをスズキが囲い込みに成功できたという部分があるものの、N-BOXとスペーシアはモデルチェンジ以降で明暗がわかれているといってもいいだろう。

 2024年5月単月は前年同期比で100%超えしたにもかかわらずN-BOXがトップを逃した背景には、いずれもホンダのなかで帰結するものが大きく影響しているのではないかと考えている。

 軽自動車における新車販売では、ディーラー名義などで行う「自社届け出」による台数の上積みが広範に行われている。ボディ寸法やエンジンなど規格が厳密な軽自動車では、性能面でライバルメーカーに差をつけるのは難しく、見た目の違いだけでどの軽自動車を買うかの判断をする人も多い。そのなかで「軽自動車ブランド」や「軽自動車のなかで」そして「新車販売」などのフレーズで「販売ナンバー1」というフレーズはかなり有効な販売ツールとなる。

 そのため、販売先もないのに未届け出の新車にディーラー名義などでナンバープレートだけつけて新車販売台数の上積みを行う「自社届け出」が頻繁におこなわれている。ダイハツが生産及び出荷停止をしているなかでも、自社届け出車両が届け出済未使用軽中古車として中古車市場に大量に流通していたので、「新車でダイハツの軽自動車が買えないのなら」と中古車にお客が流れたことも目立ち、新車販売においては、スズキぐらいしかダイハツ軽自動車を新車として買えない人の受け皿として目立った囲い込みはできなかったのである。

 6月以降はトヨタ・シエンタの販売状況に注目

 現状では届け出済み未使用軽中古車はダイハツの軽自動車が圧倒的に多いように見える。そのなかでスズキの軽自動車は全般的に見ても流通台数は少なめとなっている。対してホンダ、とくにN-BOXは先代型だけではなく現行型も目立って届け出済み未使用軽中古車が展示場に並んでいる。

 状況としては正規の新車販売として波に乗り切れない分を自社届け出で販売台数の上積みを図ろうとしても、すでに届け出済み未使用軽中古車が多く流通している状況では、なかなか思うように自社届け出ができず、販売台数が伸び悩んでいるように見える。届け出済み未使用軽中古車の流通台数が多くなれば、N-BOXの再販価値の低下傾向を招くことにもなる。N-BOXは新車販売において、軽自動車のなかでも抜群に再販価値がいいのも人気のひとつなので、それが揺らぐことは可能な限り避ける必要があったことも見てとれる。

 もうひとつの理由はWR-Vの好調な販売状況である。軽自動車も含めた販売統計(含軽統計)では、WR-Vは2024年5月単月にて3063台を販売して30位に入っている。そして、登録車だけの統計では19位に入っている。WR-Vは発売1カ月時点で累計1万3000台を受注しているのだ。販売計画は月に3000台なので、フル体制で供給していることになるのだが、まだまだ多くのバックオーダーを抱えていることになる。

 廉価グレードのXでは支払い総額で250万円以内に収めることも可能となり、N-BOXカスタムより安く購入することも可能となっている。そもそもN-BOXは「絶対に軽自動車が欲しい」という人ばかりではないので、「それなら」とWR-Vを選ぶ動きも目立っているとも聞いている。さらに、WR-Vは他銘柄(他メーカー)ユーザーからの乗り換えよりも、ホンダ車からの乗り換えも多く、これもN-BOX販売の伸び悩みを助長しているようだ。

 もちろん、N-BOXの届け出済み未使用軽中古車が多くなれば、新車購入ではなくそちらへ流れることも新車販売へは影響してくるだろう。

 ある広範な地域をカバーするホンダカーズ店では、N-BOXの在庫を500台抱えているとバナー広告を掲示していた。夏商戦を経て事業年度締め上半期末となる6月から9月までは積極的に新車を販売しなければならない時期となっている。このままではN-BOXの届け出済み未使用軽中古車はさらに多くなる可能性が十分高いといえよう。

 N-BOXやホンダ系の動き以外で気になるのはヤリスシリーズの行方である。登録車販売トップ常連のヤリスシリーズ内で存在感を見せるのが「ヤリスクロス」だ。しかし、先ごろ発覚した型式指定取得おける認証試験取得に関する問題で、ヤリスクロスは本稿執筆段階では生産及び出荷、新規受注停止が続いている。生産などの再開がいつになるのかにもよるのだが、再開まで長期化すれば、中古車市場での流通在庫などもほぼ存在しないので、ヤリスとしての新車販売台数が急減する時期がしばらく続くことも予想できる。

 カローラ・アクシオ&フィールダーも生産及び出荷停止、新規受注停止となっているので、カローラシリーズの販売台数に影響を与えるだろう。4月の統計でみるとカローラシリーズにおけるアクシオ&フィーダーの比率は約13%となっているが、これが影響して、登録車販売トップ争いから距離を置くことにもなりかねない。となると、登録車トップ争いの主役になりそうなのがトヨタ・シエンタといえるだろう。

 改良を行ったばかりであるし、近々ライバルのホンダ・フリードも新型が登場するので、相乗効果で販売活動も活発になりそうだ。本稿執筆時点に発注すれば2024年8月にも納車可能というトヨタ車のなかで最速級ともいえる順調な納期であることも手伝って、登録車販売トップの有望株ともいえるだろう。2024年5月でも登録車のみで3位に入っていることからも期待はできる。

 トヨタ・ノア&ヴォクシーは、現状では年末もしくは年明け予定の改良を控えて新規受注停止となっており、バックオーダーを消化している状況にあるが、供給体制の改善、つまり納期が短くなってきているとのこと。

 秋以降の生産余剰次第の話にはなるが、改良前モデルの新規発注が一時的に再開となるかもしれないという話もあるので、改良後の値上げ(現状ではやむを得ないともいえるのだが)を気にする人は、ディーラーと親密なコンタクトを取っておいたほうがいいだろう。

こんな記事も読まれています

新車販売に不正問題はさほど影響なし! ダイハツも復活してこの先6月から9月までは「新車がお買い得」な時期が続く!!
新車販売に不正問題はさほど影響なし! ダイハツも復活してこの先6月から9月までは「新車がお買い得」な時期が続く!!
WEB CARTOP
[N-BOX]が[スペーシア]に負けるなんて…絶対王者 N-BOXに何が起こったのか!?!?!?
[N-BOX]が[スペーシア]に負けるなんて…絶対王者 N-BOXに何が起こったのか!?!?!?
ベストカーWeb
現行型カローラセダンの査定額が急落との噂で調査を開始! 鍵は海外の中古車市場で超絶人気の「プレミオ&アリオン」の後継となれるかどうか
現行型カローラセダンの査定額が急落との噂で調査を開始! 鍵は海外の中古車市場で超絶人気の「プレミオ&アリオン」の後継となれるかどうか
WEB CARTOP
ハッチバックのヤリスを圧倒! 改良されたヤリスクロスに乗ったらバカ売れも当然と思える中身だった
ハッチバックのヤリスを圧倒! 改良されたヤリスクロスに乗ったらバカ売れも当然と思える中身だった
WEB CARTOP
[フリード・シエンタ]結局どっちがいいの!?!? 真の実力が高いのはどっち!?
[フリード・シエンタ]結局どっちがいいの!?!? 真の実力が高いのはどっち!?
ベストカーWeb
「これで、売れなくなったらどうしよう……」 新型フリード登場で困っているのは、実はホンダの……【ディーラー生情報】
「これで、売れなくなったらどうしよう……」 新型フリード登場で困っているのは、実はホンダの……【ディーラー生情報】
月刊自家用車WEB
むしろファンには天国だった!? かつて聞かれた「マツダ地獄」とは一体何だったのか?
むしろファンには天国だった!? かつて聞かれた「マツダ地獄」とは一体何だったのか?
WEB CARTOP
[N-BOX]もっと窮地に!? 新型ムーヴ秋発売!? バカ売れ必至のデキ
[N-BOX]もっと窮地に!? 新型ムーヴ秋発売!? バカ売れ必至のデキ
ベストカーWeb
5月の全乗用車ランキング:NーBOXを破り、2年ぶりにスズキ・スペーシアが首位!(24年5月の全乗用車 国内販売登録ランキングTOP20とブランド別販売台数 )
5月の全乗用車ランキング:NーBOXを破り、2年ぶりにスズキ・スペーシアが首位!(24年5月の全乗用車 国内販売登録ランキングTOP20とブランド別販売台数 )
カー・アンド・ドライバー
究極の悩み!! 150万出すなら新車と高級中古どっち!? 新車なら軽、中古ならベンツもイケる!!
究極の悩み!! 150万出すなら新車と高級中古どっち!? 新車なら軽、中古ならベンツもイケる!!
ベストカーWeb
ミニバンやSUVの形は「クルマの原点」! ゆえにセダン人気が復活することはないが存在価値はある
ミニバンやSUVの形は「クルマの原点」! ゆえにセダン人気が復活することはないが存在価値はある
WEB CARTOP
トヨタ高級車「新型クラウン」なぜ“4車種”も存在? しかも「SUVタイプ」が3車種!? 過去のイメージ覆す「革新と挑戦」の理由とは
トヨタ高級車「新型クラウン」なぜ“4車種”も存在? しかも「SUVタイプ」が3車種!? 過去のイメージ覆す「革新と挑戦」の理由とは
くるまのニュース
X氏の値引き大作戦 カローラクロスから31.4万円引き!
X氏の値引き大作戦 カローラクロスから31.4万円引き!
グーネット
新車の[ランクル250]が180万円も安く!! コスパ最強の[廉価グレード]は納期まで早くて最高じゃん!
新車の[ランクル250]が180万円も安く!! コスパ最強の[廉価グレード]は納期まで早くて最高じゃん!
ベストカーWeb
クルマとバイクではちょっと異なる、“モデルチェンジ”の周期とかその意味合いとか
クルマとバイクではちょっと異なる、“モデルチェンジ”の周期とかその意味合いとか
WEBヤングマシン
日本でピックアップ熱が高まってるしメーカーさんここはひとつ導入どうですか? いすゞD-Maxにホンダ・リッジラインにマツダBT-50……海外は日本メーカーの魅力的なトラックだらけだった
日本でピックアップ熱が高まってるしメーカーさんここはひとつ導入どうですか? いすゞD-Maxにホンダ・リッジラインにマツダBT-50……海外は日本メーカーの魅力的なトラックだらけだった
WEB CARTOP
就労時間も安定! 自宅訪問もほぼなし! 働きやすくなった「新車販売現場」でも女性セールススタッフが少数なワケ
就労時間も安定! 自宅訪問もほぼなし! 働きやすくなった「新車販売現場」でも女性セールススタッフが少数なワケ
WEB CARTOP
軽には軽の流儀がある! 「軽デコトラ」をイケてる名車にするための三大奥義
軽には軽の流儀がある! 「軽デコトラ」をイケてる名車にするための三大奥義
WEB CARTOP

みんなのコメント

65件
  • poc********
    N-BOXはせっかく先代の完成度が高かったのに、目に見える部分はコストカットでほとんどチープになったからでしょ。いくら走りが良くなったって言っても車に興味無い人からしたら走りなんて気にしないだろうし、見た目優先だろうからそりゃ売上落ちるよ。
  • Jgav8mi
    そうは思はないです
    スペーシアを選んだ人が多いって事です

    また、フレアワゴンはカウントされてませんので
    販売数はかなり大差がついてます
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

164.9188.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

12.8299.0万円

中古車を検索
N-BOXの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

164.9188.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

12.8299.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村