新型コロナウイルスの感染拡大は、世界的に大きな影響を与え、ニューノーマルという言葉を生み出した。自動車業界もこれに含まれるが、特に販売の最前線である自動車ディーラーでは、お客さんの購入方法に変化が起きているという。
今回は、自動車販売のニューノーマル時代を解説する。
アルファード以外にもある!! 残価設定ローンで買うのがお得なクルマは?
文/小林敦志 写真/ベストカー編集部
【画像ギャラリー】ローンの方法も多彩!! なんとサブスクも登場!! クルマ購入のニューノーマル
■新車の買い方もニューノーマル時代
ウィズコロナ、アフターコロナの今、新車の買い方もニューノーマル時代を迎えようとしている(Pormezz@AdobeStock)
2020年春からの新型コロナウイルス感染症の拡大以降、新車販売については4月~5月は初めての緊急事態宣言発出による全国的な外出自粛などにより極端に販売台数が落ち込んだ。しかし、6月以降いままで新車販売は乗用車の小売りに限れば、まさに絶好調といってい状況が続いている。
そして、“ニューノーマル時代”などともいわれるコロナ禍のいま、“新車の買い方”もニューノーマル時代を迎えようとしている。
まず販売現場で話を聞くと、もともと現金一括払いというものが定番であったのだが、残価設定ローンの利用がディーラーによっては、全体の5割に迫るところまであるほど、増えたとのこと。
利用する理由は個々で事情が異なるだろうが、全般的な傾向としては、非常事態ともいっていい現状下では、まとまった現金は手元に置いておきたいとのことで、現金一括払いが十分可能なのに、あえてローンを組むひとも目立ってきているとのことである。
■残価設定ローンでリセールバリューを意識
アルファードの大ヒットも、リセールバリューの良さが関係しているという話もある
残価設定ローンの利用が増えたことで、新車購入の際に“リセールバリュー”を意識して購入車種選びをする人も目立っているとのこと。リセールバリューがより良いモデルほど、支払い最終回分に据え置く、3年後や5年後の当該購入車両の残価相当額が多くなるのがその背景にあるようだ。
「より上級グレード、より上級モデルを選ばれるお客様が目立ってきました。当然車両価格がアップしますので、残価率をベースに算出する残価相当額が多くなるということらしいです。アルファードが空前の大ヒットとなっておりますが、そのような購買傾向も大きく影響しているのではないでしょうか」
とは、現場のセールスマン。
残価設定ローンの普及自体は販売サイドとしては歓迎すべきことなのだが(提携信販会社からバックマージンがもらえる)、一部購入客の“残価設定ローン慣れ”には眉をひそめている。
前述したアルファードだが、支払い総額ベースでは、600万円オーバーも当たり前となるのだが、そのほとんどがローン、しかもフルローンで購入するというのである。
現状では、5年後の残価率でも50%弱とかなり条件が良いので、月々の支払いは格下のノア系の月々払いに数千円足すほどで買えるといったケースも多いと聞く。
しかし、据え置く残価相当額が多いということは、それだけ残債がいつまでも多めに残ることとなり、不測の事態などが発生したりした時のリスクが高いともいえる。
また、“借り換え”も多発傾向にあるとのこと。借り換えとは、残債のある下取り予定車を下取り査定額で残債整理を行なおうとしても、査定額では残債全額をフォローすることができず、処理しきれなかった分を新車購入ために新たに組むローンの割賦元金に加算して返済を続けるというもの。
仮に新車購入のためのローンにおいて、200万円を割賦元金とした際、下取り車の残債のうち50万円が処理しきれなかったとすると、その50万円を200万円の割賦元金に加え、元金を250万円にして返済していくと言うものである。
現場のセールスマンは、「われわれはあくまで、提携している信販会社のローンの利用をお勧めしているだけです。返済トラブルが発生しても、信販会社とお客様との問題なので、あまり気にしないようにしています」とのことであった。
ちなみに、アメリカでは借り換えが当たり前のように行われているともされており、そのためリセールバリューが良いから(日本車自体を心底気に入っているわけではないケース多い)日本車の人気が高いとされている。
■現金払い派向けのローンもある!?
矛盾しているようだが、現金払い派向けのローンというのもある(Paylessimages@AdobeStock)
ローン利用者が増えたといっても、依然として現金一括払いでの購入も根強い。そのような“現金払い派”に向けたローンが、“全2回払いローン”。日系ブランドではトヨタやホンダなどで用意されている。
原則残価設定ローンとなるのだが、3年後の残価相当額を支払最終回となる2回目に返済するとし、割賦元金の残金と手数料を初回に払うというもの。現金での精算はもちろん可能であるが、当該車両の返却や同一メーカー車への乗り換えでの精算も可能となっている。
この現金以外の精算方法が用意されることが大きなメリットとなる。
例えば、新車購入のために300万円を用意していたとする。そこで300万円を割賦元金として全2回ローンを組むと、2回目分となる残価相当額分については、現金で精算せずに車両返却や同メーカー車への乗り換え、つまり“代物弁済”のような形が取れるのである。
そして支払わずに済んだ浮いた現金を貯金したり、別の買い物に使うことができるのである。
「もちろん、下取り車があれば下取り査定額でさらに現金負担が減ります。販売する側の私どもとしては浮いた分でグレードや購入車種のアップをしていただいたり、次の新車に乗り換える時の予算の一部としていただけるとありがたいです」(前出セールスマン)。
こちらの利用もコロナ禍になってからは利用が目立っているとのことである。
■言葉のインパクトで勝負!? 購入後一年間金利ゼロとは
ディーラーごとのキャンペーンにも工夫が凝らされている(OceanProd@AdobeStock)
日産系ディーラーではここのところ、年度末決算セールなどの“増販期”において、“購入後一年間金利負担実質0キャンペーン”を展開することがある(4月29日成約分から復活している)。対象車種は売れ筋モデルなどに限られるのだが、まずは新車購入に際し一般的な残価設定ローンを組むことになる。
そして、その上で初回支払い月から1年間の“金利相当額”がキャッシュバックされるので、“実質一年間金利負担0“になるのである。
直近の2020事業年度末決算セールでは、2020年12月17日から2021年1月31日まで、一部対象車の成約で適用された。スカイラインで約24万円、セレナあたりで約12万円がキャッシュバックされていた。
なかなかわかりにくいキャンペーンなのだが、販売現場で話を聞くと、「通常金利である4.9%が3.5%ほどに金利が下がったと考えていたければわかりやすい」と説明してくれた。
“金利引き下げセール”とするよりは、“実質金利0”としたほうがインパクトはあるので、このようなキャンペーンになったのではないかと説明してくれた。
新車販売先進国でもあるアメリカでは、各ディーラーが“0%ローン実施中”とうたうのは当たり前なのだが、個人のあらゆる返済履歴が与信対象になる。
しかもその結果により、個人によって、同じモデルの購入を検討していても金利や融資額が変わることもあり、まず金利ゼロで新車を購入することはできないとされている。
「あくまで“人寄せパンダ”として用意されています。金利ゼロは無理でも“審査を少し緩めています”というのを暗示しているといってもいいでしょう。さらにエスカレートすると、“不良債務者大歓迎”などと露骨なメッセージの横断幕を掲げるディーラーもあります」とは事情通。
日本国内において、販売現場で勧める“ディーラーローン”では、審査を通れば、誰でも同じ金利で、希望した割賦元金はそのままOKとなるのが当たり前。そのため、アメリカのように、“金利0%”を掲げるとすべての融資が金利0%になってしまうのである。
日産のこのキャンペーンあたりが、0%金利キャンペーンではギリギリの展開といっていいだろう。
■購入自体がもう古い!? 真のニューノーマルは“クルマのサブスク”
“買い方”からは外れるが、トヨタが展開するクルマのサブスクリプション『KINTO』はニューノーマル時代の新車の乗り方といえる
“新車の買い方”からは外れるが、トヨタが展開する“KINTO”は“ニューノーマル時代の新車の乗り方”といえるだろう。
“サブスクリプション”などとPRしているが、わかりやすくいえば“個人向けカーリース”となる。日本では長い間企業でさえ、クルマ以外事務用品などでもリースを嫌い、買い取りにこだわる傾向が目立っていた。
当然クルマの個人所有であっても、ユーザーの抵抗が目立っただけでなく、審査も厳しかったのでリースでクルマに乗るというのは、法人がメインとなっていた。
アメリカでは個人リースはかなり普及しており、テレビコマーシャルでも月額リース料金の割安さを強調するものが多く、リセールバリューの良い日本車はリースでも人気が高い。
「リース車両でフリーウエイにて事故を起こし不動車になったので待っていたら、積載車で同じ新車が現場に届いた」といった話を聞いたことがある。
KINTOは従来のカーリースをベースに、より個人で利用しやすいものにしてある。そしてメインターゲットは若者となっている。
クルマ離れが目立つとされる若者であるが、価格の高い新車を購入することへの抵抗だけでなく、むしろ新規加入での任意保険料の高さなど、維持費負担の重さもネックになっているといってもいいだろう。
その点個人向けカーリースであるKINTOでは、任意保険料だけでなく契約期間の車検も含むメンテナンス料金、税金などすべてがコミコミとなっているのである。
KINTOでの取り扱い車種は多岐にわたる
「新車購入ということにして、別途任意保険に新規加入したり、メンテナンスコストの負担をするよりは圧倒的にKINTOのほうが割安イメージはあります」とは、某トヨタ系ディーラーセールスマン。
極力“ものを持ちたがらない”といういまどきの若者のライフスタイルにも個人向けカーリースは新車の乗り方としてスマートに映るものと考えKINTOが用意されたようだ。
KINTOがスタートした当初、販売現場では周知が進まないこともあり抵抗を示す声も聞かれたが、いまでは理解を示すセールスマンも目立ってきた。
「私は若者よりも、ご高齢なお客様へおすすめすることが多いですね」とは前出のトヨタ系ディーラーセールスマン。
一般的なカーリースでは、中途解約に際しては“中途解約金”が発生し、KINTOでも中途解約金が発生するのが原則なのだが、例外として個人で契約していて、海外転勤や免許返納などが理由による中途解約では、中途解約金がいらないのである(海外転勤、免許返納が理由の場合は3年契約のみ)。
また、あまり縁起のいい話ではないのだが、KINTO契約中に契約者が亡くなった時にも中途解約金がかからない。実は、所有名義人が亡くなったあとの、亡くなった人名義の所有車の処分は、以前よりは簡略化されているのだが、相続手続きが必要になるので実に煩雑で面倒なものとなる。
積極的にメリットしては声高に言えないのだが、カーリースとなるKINTOでは煩雑な手続きは不要となる。
前出トヨタ系ディーラーセールスマンに、「カーリースであるKINTOでは販売実績にならないのでは?」と聞いたところ、「株式会社KINTOへ車両販売したことになりますので、きちんと実績カウントされます」とのことであった。
新車販売では、“トヨタ一強”がより鮮明化している。トヨタ系以外のディーラーでは、「ローン金利を下げる(トヨタ系は全般的に高め)しか対抗策はない」と、半分諦めムードが漂っているが、ニューノーマルの時代に対応した、新しい新車の買い方などの積極的な提案がトヨタ一強を崩すことにつながるものと考えている。
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