ホンダの新型SUVは、北米でHR-V、中国・欧州ではZR-Vとして、情報が公開されている。ついに日本でも、2022年内に導入予定であることが公式に発表された。CR-Vのフェードアウトが決定しているなか、新型モデルが激戦区であるSUV市場で戦えるものになっているのか、注目を集めている。
ZR-Vの国内販売における公式な詳細情報は明らかとなっていないが、海外仕様で判明している内容や筆者が行ったホンダディーラーへの取材で判明した最新情報を伝えていこう。
ヴェゼルの兄貴分 新型ZR-Vの今年中の日本発売を予告! 全幅1800mm! ホンダ新型ZR-Vの今わかっていることすべて
文/木村俊之
写真/ホンダ
■シビックベースの新型SUV「ZR-V」
2022年冬に国内発売予定の新型ZR-Vは、11代目シビックをベースに開発される。『異彩解放』というグラウンドコンセプトで、「お客様・クルマ・開発者の個性」を凝縮させた新たなSUVづくりに挑戦する1台だ。
5月19日に公開された「ZR-V」の特設サイトでは、開発チームへのインタビューが掲載され、その特徴があげられている。
ヴェゼルはフィットベースだがZR-Vはシビックベースだという。日本市場においてはCR-Vの後釜か
ZR-Vの最大の特徴は、セダンライクな運転姿勢や快適性を求めている点だ。運転姿勢は、セダンがそのまま高くなったスタイルだという。さらにインテリアでは、「グラマラス&エレガント」をキーワードに掲げ、開発陣の強いこだわりを感じられる。
「お気に入りの洋服を繰り返し着る感覚で、クルマに乗って欲しい」と、素材選びだけでなく、素材に合うステッチやカラーを厳選し、まるで洋服を仕立てるようにして色気や知性を演出したそうだ。
エクステリアでは、一目で流麗さを感じるプロポーションになるよう、1つの球体を意識した塊感のあるボディに仕上げられた。艶感のある色気とスポーティーさを融合させた、グラマラスなエクステリアデザインにも注目したい。
■気になるスペックは? 全幅1800mmにこだわる
細かなスペックについては、まだ正式に発表されていないが、中国版ZR-Vのスペックが中国工業情報化部のウェブサイトに掲載されている。
中国版ZR-Vの車体サイズは全長4568mm×全幅1840mm×全高1621mmとなる模様だ。国内仕様も、ヴェゼル(全長4330mm×全幅1790mm×全高1580mm)とCR-V(全長4605mm×全幅1855mm×全高1680mm)の中間に位置すると考えれば、同程度のサイズ感で登場するだろう。
CR-V撤退後、ホンダSUVラインナップの柱として期待される。
さらにディーラーへの取材を進めると、国内仕様のボディサイズが見えてきた。国内仕様のボディサイズは、全長4580mm×全幅1800mm×全高1630mmになるようだ。全長と全幅はベースとなるシビック(全長4550mm×全幅1800mm×全高1415mm)に極めて近く、CR-Vとヴェゼルの中間サイズで扱いやすいようにも思える。
撤退するCR-Vよりひと回り小さくシビックと同程度。国内市場を意識してのことか
海外仕様より40mm狭くなった全幅1800mmには、強いこだわりがあるようだ。確かに、筆者も全幅1800mmを超えた途端に、クルマが大きく感じることがある。狭い小道や駐車スペースでは、4cmの車幅の差が数字以上に大きく感じられるだろう。
全幅をヴェゼルに限りなく近くすることによって、「ヴェゼルでは室内の広さが物足りない」というユーザーに対し、強く訴求できる可能性は高い。
クラス下となるヴェゼルと差別化した商品展開が期待できる!? ホンダ車同士で共食いするような状況を回避できるか
ZR-Vはセダンライクなクルマを追い求めたホンダらしい1台だ。かつて、一世風靡したセダン感覚で乗れるミニバン「オデッセイ」のように、新しいSUV時代を牽引する存在になることを期待したい。
■グレードは3種類 その特徴とは
ZR-Vのエクステリアは、ハニカムグリルパターンを合わせたハニカム形状のグリルに、シャープなヘッドライト、コの字型のフロントバンパーベゼルが特徴的だ。
中国版ではグレードが3種類存在する。エントリーグレードでは17インチアルミホイールに5スポークデザインを採用、サイドアンダーミラーが搭載されていないので、外観はスタイリッシュな印象だ。
上位グレードには、18インチホイールが装着され、デュアル5スポークデザインへとグレードアップしている。さらにマフラーカッターが装着され、後ろ姿もスポーティーな印象になった。
最上位グレードの装備は、18インチホイール(ブラック+切削)が装着され足元はさらにスタリッシュに仕上がっている。バンパー下部などは艶のあるブラック塗装がなされ、ボディ全体が引き締まり、洗練された印象だ。
こちらは中国版の上位機種。質感も高いが値段も高い?
さらに上級モデルだけ、ヘッドライトのデザインが少し異なっている。これはアダクティブドライビングビームが搭載されている可能性が高い。パーキングセンサーや自動防眩ミラーなども追加されて、上級モデルは安全装備や快適性も充実している。
ヴェゼルの質感が高いだけに、上級モデルとなるZR-Vに求められる質感は、相応に高くなるだろう。ヴェゼルにはない装備を搭載することで、差別化を図りやすいとはいえ、いたずらに価格が上がりすぎるのも考え物だ。
価格面でも中間的な立ち位置となるのか、それともCR-Vの価格帯まで入り込むのか、ラインナップに残るヴェゼルとどう連携するかなど、注目ポイントは多い。
■新型ZR-Vのパワートレインはe:HEVもラインナップ!
中国で公表された3つのZR-Vはいずれも「240 TURBO」とエンブレムが装着されている。この数値は最大トルク240Nmであることの証だ。最大トルク240Nmは、国内の11代目シビックやCR-Vと同じ数値であることから、同型のエンジン(1.5Lターボ)を搭載しているものだと読み取れる。
ホンダは公式Twitterで、新型SUVにはe:HEVを設定することも明言しており、パワートレインはガソリンとe:HEVの2種類になるようだ。
ディーラー取材からは、ガソリンモデルでは1.5Lターボ、ハイブリットモデルは2Lのe:HEVになる可能性が高いという声が随所で聞こえてきた。
まだまだ不明な部分は多いが、これまでホンダを牽引してきたシビックがベースであれば心配は無いだろう。新型SUVは、ヴェゼルともCR-Vとも異なった、ホンダらしい走りが体感できるに違いない。
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