MQB evoプラットフォーム採用でさらに広くなった室内
仏ニースで行なわれたフォルクスワーゲン新型「ティグアン」国際試乗会は、新型「パサート」国際試乗会との同時開催でした。
【画像】日本ではいつ登場!? 期待のVW新型「パサート」を写真で見る(30枚)
つまり、1日で2モデルの新型車に乗れるという、なんとも効率的なイベントだったのです。
これはフォルクスワーゲンにとっても異例のことだったとか。その理由について、同社のスポークスパーソンは「パサートとティグアンでは、共通の技術が多く使われているため」と説明しました。
たしかに、パサートで使われている技術の多くは、すでにティグアンで紹介されたものです。
たとえばプラットフォームの「MQB evo」は、パサートのホイールベースを50mm延長するために導入されたといっても過言ではありません。
この結果、新型パサートは後席の足下スペースが50mm拡大。さらに全長を144mm伸ばすことで、ラゲッジスペースは先代を40リッターから140リッター上回る690~1920リッターを実現したといいます。
アダプティブ・シャシ・コントロール・システムのDCCがDCC Proに進化し、伸び側と縮み側の減衰力を個別に設定できる2バルブ式ダンパーを新採用したこともティグアンと同様。インフォテイメントシステムが最新型のMIB4に進化し、最大15インチのタッチディスプレイを搭載できるようになったこともティグアンと共通です。
そのほか、ミラーサイクル仕様の1.5リッター・ガソリンエンジンに48Vマイルドハイブリッドが組み合わされ、2リッター・ディーゼルエンジンとともに日本市場への導入が期待されていることもティグアンと変わりませんが、ひょっとするとパサートだけは1.5リッター・エンジンにプラグインハイブリッド(PHEV)・システムを組み合わせたパワートレインが日本にやってくるかもしれません。
この辺は、続報を楽しみに待ちたいところです。
PHEVモデルのスペックは、エンジン単体で150馬力と250Nmを発揮。ここに115馬力/330Nmのモーターを組み合わせることでシステム出力204馬力、システム・トルク350Nmを実現するというもの。
ちなみにバッテリー容量は19.7kWhで、最長120kmのEV走行が可能です(WLTPモード)。
なお、ドイツ連邦デジタル・交通省の調査によれば、ドイツ国内の乗用車による移動距離は1日あたり50km未満が95%で、100km未満が99%なので、PHEVモデルの場合、毎日バッテリーを充電すれば、ほぼすべてのユーザーがモーターの力だけで1日の走行距離をカバーできることになります。
デザインも大きく見直されました。
ヘッドライトやフロントグリルを薄く幅広くするのは流行のようなものですが、パサートも同じ手法を採り入れ、先代よりも格段に精悍な顔つきになりました。
ボディサイドでは前後のフェンダーをわずかながら外側に張り出すことで立体的な躍動感を表現。ここにシャープなキャラクターラインを添えた結果、高級感や精度感がさらに高まったように思います。
おかげで、たとえばメルセデスベンツ「Cクラス」やBMW「3シリーズ」が隣に並んでも肩身の狭い思いはしなくて済むような気がするのですが、いかがでしょうか。
インテリアでは15インチの大型タッチディスプレイがまず目を惹きます。しかも、シートやダッシュボードに使われている素材や作り込みは先代を確実にしのぐ上質さで、こちらも高級感が漂っています。
フォルクスワーゲン車らしいドッシリした走りのなかに軽快感がある
走らせてみても、そうした上質感が損なわれることはありません。
これは1.5リッター・ガソリンのMHEV仕様と2リッター・ディーゼルの両方に共通することですが、エンジン音やロードノイズはよく抑えられていて、車内の静粛性は良好。そうした静けさが、路面の状態や車速に大きく左右されないことも好ましいと感じました。
ノイズや振動のレベルは、もちろんガソリン・エンジンのほうがより低く抑えられていますが、ディーゼル・エンジンも回転数がごく低いときを除けばなかなかスムーズで快適です。
乗り心地はティグアンに似て、フォルクスワーゲンらしいドッシリ感のなかに、新世代の軽快さというか弾むような感触が認められるもの。
ただし、パサートはティグアンよりもより落ち着いた印象の乗り心地だったほか、たとえばコーナーの進入で減速、操舵を行なった際にも、クルマの挙動がすっと素早く落ち着くように感じられました。
この辺は、SUVのティグアンよりも大幅に全高が低く、結果として重心高が低く抑えられていることが関係しているはずです。
今回はプラグインハイブリッドのプロトタイプにも試乗できましたが、ガソリン・エンジンの滑らかさとディーゼル・エンジンの力強さを併せ持っているようで、とても魅力的でした。
心配なのは価格がどうなるかですが、バッテリー電力で走ればゼロエミッション走行が可能になることを含め、幅広い層にアピールするのではないでしょうか。
※ ※ ※
私は勝手に、電動化を急速に推し進めているフォルクスワーゲンがエンジン車やハイブリッド車をフルモデルチェンジすることはもうないのではないかと思い込んでいましたが、このパサートといいティグアンといい、電気自動車でなくてもまじめに、そして一生懸命に改良に取り組むその姿に、なんともいえない感銘を受けました。
私にとってフォルクスワーゲンは「まじめな自動車メーカー」と同義語です。これからも多くの人から愛され、信頼されるクルマを作り続けて欲しいものです。
Volkswagen Passat
eHybrid 150kW
・全長:4917mm
・全幅:1849mm
・全高:1497mm
・ホイールベース:2841mm
・エンジン形式:直列4気筒DOHC+モーター
・排気量:1498cc
・駆動方式:4WD
・変速機:6速DSG
・エンジン最高出力:150ps/5500rpm
・最大トルク:250Nm/1500rpm
・モーター最高出力:115ps
・モーター最大トルク:350Nm
・トータル最高出力:204ps
・リチウムイオンバッテリー容量:19.7kWh
・ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
・タイヤサイズ:215/55R17
・最高速度:230km/h
・0−100km/h加速:8.0秒
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みんなのコメント
やはり欧州車はすごい。圧倒的だ。
燃費とリセールバリューしか関心のない大半の日本人にはこの車の良さが理解できないのが、何とも哀れ。
高速直進安定性や、エンジンの質感、抜群の乗り心地、そして日本車の10年先を行くというインパネ・ナビ画面を含めたインフォテイメントシステムの先進性などなど。
欧州車、特にフォルクスワーゲンに学ぶ点が多々あることは、日本の自動車メーカーの大半が認めている。
なかなか埋まらない、欧州車と日本車の性能差。「欧州車崇拝」などと僻み妬みコメントを続ける自動車音痴にこそ、一度はステアリングを握ってみるべきだ。
そのあまりの精緻なら出来に驚くはずだ。
試乗だけなら、無料。しかも輸入車ディーラーに、たとえ安い国産ミニバンで乗り付けても、恥ずかしくはない。スタッフは丁寧に対応してくれるはずだ。
初めての購入でも国産車のデザインは受け入れられないし、軽く擦れば大破する作りは好きではない。
街乗りから高速まで疲れず、レカロシートの出番なし。ノーマルでも問題なし。
新型のコストダウン化が気になる。
電動やハイヴリットには興味なし。電磁波は怖いと思う