現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 約28万円で「4人」乗れる!? 全長3.1mの「“4ドア”コンパクト」! 斬新過ぎる「超“無駄なし”仕様」がスゴイ! MTもある「ナノ」ってどんなクルマ?

ここから本文です

約28万円で「4人」乗れる!? 全長3.1mの「“4ドア”コンパクト」! 斬新過ぎる「超“無駄なし”仕様」がスゴイ! MTもある「ナノ」ってどんなクルマ?

掲載 13
約28万円で「4人」乗れる!? 全長3.1mの「“4ドア”コンパクト」! 斬新過ぎる「超“無駄なし”仕様」がスゴイ! MTもある「ナノ」ってどんなクルマ?

■バイクに代わる、「誰でも買えるクルマ」を作れ!

 “価格が安い新車”と聞いてどのくらいの価格を想像するでしょうか。

【画像】超カッコイイ! ”約28万円”の新型「“4ドア”コンパクト」を画像で見る(88枚)

 参考までに、2024年7月現在の日本でもっとも安価なのは、スズキの軽トラック「キャリイ」の約75万円。乗用車ではダイハツの「ミライース」が約86万円で購入できます。複雑なパーツの集合体であるクルマは、どんなに装備を削っても、極端にリーズナブルな価格で販売するのは困難です。

 ところが2008年、インドの自動車メーカー「タタ(タタ・モーターズ)」は、10万ルピー(当時のレートで約28万円)の小型車「ナノ(Nano)」を発表。“世界で一番安いクルマ“として、大きな反響を呼びました。

 当時のインドではモータリゼーションが進み、2003年の自動車保有台数は約1000万台に達していましたが、人口1000人あたりでの台数で見ると約10台と低く、移動や輸送にはまだまだバイクが用いられていたのです。

 そんな中、当時のタタ・モーターズ会長 ラタン・タタ氏は、クルマが普及していないために、バイクに家族4人が乗って移動するのが当たり前のような光景を見て「多くの人の手に届く価格で、安心・安全に移動できるクルマを作りたい」と考え、「10万ルピーカー」を構想しました。

 当時インド国内最安値だったマルチ・スズキ「800」の価格は、スタンダードグレードでも約20万400ルピーだったため、「10万ルピーで販売できる乗用車は非現実的だ」とも言われていました。

 しかしナノは、全長3.1m、全幅1.5mという小さい車体により、車両価格の大部分を占める鋼材の材料費を削減。ワイパーは1本で、ベーシックモデルでは助手席側ドアミラーやエアコンも省かれています。

 給油口はボンネット内に置いて、給油キャップすら省略。ブレーキは4輪ともドラム式でした。パッと見るとハッチバックのように見えるスタイルですが、バックドアすらも持たないという徹底したコストダウンが図られていたのです。

 いっぽうで車高は1.6mもあり、卵のようなワンモーションフォルムと長めのホイールベースにより車内空間を確保。4名が乗車可能でした。また、マルチ800より約2割広いと言われていました。

 34psを発生する排気量623ccの2気筒エンジンは後部に搭載。4速マニュアルトランスミッションを組み合わせて、約600kgの車体を105km/hまで引っ張りました。燃費は20km/Lと発表されていました。

 このように衝撃的な価格と戦略で大々的に発表されたナノ。販売店には客が殺到し、予約サイトでの申し込みも20万件を記録。

 発表時には、ベーシックモデルでは構想通りの10万ルピーのプライスタグを掲げましたが、これは工場出荷価格のため、実際には輸送費や諸費用が加わって15万ルピーほど払う必要がありました。

 グレードは3種類あり、エアコンやフォグランプを装備した上位モデルの価格は約25万ルピーに達しました。とはいえ、ナノのユーザーの約半数がこちらを選んでおり、ナノの優位性である価格よりも上級感を求めたようです。

 販売開始は予定よりも半年ほど遅れてしまいましたが、その間に、原材料となる鋼材や石油製品の価格が上昇。ナノも値上げせざるを得ない状況となり、最安値で約11万ルピーに価格を変更することに。しかも、その後も値上げが続きました。

 さらに追い討ちをかけるように、数度に及ぶ車両火災が発生。安全性の低さや、外観が安っぽく見えることもユーザーから悪印象を持たれる要因となり、年産25万台(初年度10万台)という目標に対し2009年は約3万台、2010年・2011年は7万台しか売れず、目標台数を大幅に下回りました。

「ナノを買うお金があれば、より上質なエアコン付きの中古車が買える」という声もあったそうです。

 しかしタタもナノを諦めたわけではなく、天然ガス(CNG)を併用できる仕様や、スタイリッシュな上級グレード「ツイスト(Twist)」を追加するなどの地道な改良・販売を続けたこと、購入層に一定の評価が広まったことなどから、2012年頃には年間約7.5万台を販売。最多台数を記録しました。

 2015年には、内外装をブラッシュアップした「Gen X ナノ」に発展。基本的なデザインを保ちつつも、いかにも安価なクルマという雰囲気を脱却し、電動パワーステアリングやオートマチック、そしてついにハッチバックボディも採用。上位モデルにはBluetoothラジオを搭載するなど装備も充実。

 そのかわり価格は最廉価版で約20万ルピーに達し、もはや10万ルピーカーのコンセプトは失われていました。

 このように大幅改良を行ったGen X ナノですが、販売成績は伸びずに2018年に生産を終了。革命的とも言えるコンセプトの小型車ナノは、後継車を持たずに姿を消しました。

※ ※ ※

 2023年現在のインドにおける自動車販売台数(四輪のみ)は、約600万台をマークしています。

 そのためタタも、欧米・日本のクルマに負けないほどに優れたデザイン・性能を持つ小型車やSUVを多数ラインナップしており、ナノが登場した頃よりも大きくステップアップしました。

 インドをはじめとしたアジア圏の自動車社会の発展ぶりには、驚かされるばかりです。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

F1サンパウロGPスプリント速報|マクラーレンが1-2。フェルスタッペンは3位……角田裕毅15位
F1サンパウロGPスプリント速報|マクラーレンが1-2。フェルスタッペンは3位……角田裕毅15位
motorsport.com 日本版
プジョーがまたも最速。トヨタ、ポルシェは虎視眈々、50号車フェラーリは7周のみ/WECバーレーンFP3
プジョーがまたも最速。トヨタ、ポルシェは虎視眈々、50号車フェラーリは7周のみ/WECバーレーンFP3
AUTOSPORT web
予選ヒートからペナルティ続発の波乱。勝者失格により南米王者モンテネグロが金メダル獲得/FIA MSG
予選ヒートからペナルティ続発の波乱。勝者失格により南米王者モンテネグロが金メダル獲得/FIA MSG
AUTOSPORT web
S4改め、アウディS5 アバントへ試乗 3.0L V6ターボのHVで367ps! 新デザインテーマの車内
S4改め、アウディS5 アバントへ試乗 3.0L V6ターボのHVで367ps! 新デザインテーマの車内
AUTOCAR JAPAN
24歳で手に入れ31年…「ミニ モーク」から「ミニ マーコスGT」に乗り換えた理由は…「増車するならまたクラシックミニですね」
24歳で手に入れ31年…「ミニ モーク」から「ミニ マーコスGT」に乗り換えた理由は…「増車するならまたクラシックミニですね」
Auto Messe Web
アストンマーティン、F1サンパウロGPスプリントは2台揃ってピットスタート選択。決勝へ向けた準備時間に当てる
アストンマーティン、F1サンパウロGPスプリントは2台揃ってピットスタート選択。決勝へ向けた準備時間に当てる
motorsport.com 日本版
日産、欧州向け小型EV開発へ 10年以上ぶり「Aセグメント」参入 ルノー子会社と協業
日産、欧州向け小型EV開発へ 10年以上ぶり「Aセグメント」参入 ルノー子会社と協業
AUTOCAR JAPAN
自身を批判する一部の人間に腹を立てるフェルスタッペン「僕はただパフォーマンスを発揮し続けるだけ」と気に留めず
自身を批判する一部の人間に腹を立てるフェルスタッペン「僕はただパフォーマンスを発揮し続けるだけ」と気に留めず
AUTOSPORT web
初PPのapr LC500h、先輩・小高からの“愛のあるLINE”で新人・中村も気が引き締まった?「明日は普通に走ることが目標です(汗)」
初PPのapr LC500h、先輩・小高からの“愛のあるLINE”で新人・中村も気が引き締まった?「明日は普通に走ることが目標です(汗)」
motorsport.com 日本版
誰が高速道路を「逆走」しちゃうの? 矢印読めないの? 事故件数“危険レベル” 対策どうなってるのか
誰が高速道路を「逆走」しちゃうの? 矢印読めないの? 事故件数“危険レベル” 対策どうなってるのか
乗りものニュース
水平対向エンジン搭載! 新型「2ドア“クーペ”」公開! ド迫力ワイドボディ&ツインターボでめちゃ楽しそう! 900馬力超えの「P39 40SE」英国に登場
水平対向エンジン搭載! 新型「2ドア“クーペ”」公開! ド迫力ワイドボディ&ツインターボでめちゃ楽しそう! 900馬力超えの「P39 40SE」英国に登場
くるまのニュース
ハミルトン、セナの戴冠マシン『MP4/5B』でデモランへ「ここでドライブできるなんて思いもしなかった」
ハミルトン、セナの戴冠マシン『MP4/5B』でデモランへ「ここでドライブできるなんて思いもしなかった」
AUTOSPORT web
BMW、大型ハイパーネイキッド『M1000R』の最新モデルを公開。同時発表の『S1000R』は5馬力アップ
BMW、大型ハイパーネイキッド『M1000R』の最新モデルを公開。同時発表の『S1000R』は5馬力アップ
AUTOSPORT web
1960年代風の「レトロなスポーツカー」発売へ 500馬力V6に "リトラ" 採用! ベルトーネ新型「ランナバウト」公開
1960年代風の「レトロなスポーツカー」発売へ 500馬力V6に "リトラ" 採用! ベルトーネ新型「ランナバウト」公開
AUTOCAR JAPAN
ブガッティ「W16ミストラル」は巨大台風並みの強い風力を活用! オープンエアで最高速420キロの世界を楽しめるハイパーカーの空力はどうなっている?
ブガッティ「W16ミストラル」は巨大台風並みの強い風力を活用! オープンエアで最高速420キロの世界を楽しめるハイパーカーの空力はどうなっている?
Auto Messe Web
3年ぶりポールの64号車Modulo、ドライの決勝にも期待する声。「今年はテストの調子のままで来れている」とHRC
3年ぶりポールの64号車Modulo、ドライの決勝にも期待する声。「今年はテストの調子のままで来れている」とHRC
motorsport.com 日本版
F1コラム:標高2240メートルでの過酷なレース。高地のコンディションがドライバーとチームメンバーにもたらす困難
F1コラム:標高2240メートルでの過酷なレース。高地のコンディションがドライバーとチームメンバーにもたらす困難
AUTOSPORT web
新型『イプシロン・ラリー4』投入の名門ランチア、イタリア王者の賞典で2026年からのERC参戦を表明
新型『イプシロン・ラリー4』投入の名門ランチア、イタリア王者の賞典で2026年からのERC参戦を表明
AUTOSPORT web

みんなのコメント

13件
  • trx********
    まさか、とは思ってクリックしたが…
    今日の疲れがどっと出た



    日本の自動車業界と関連が無いじゃない!
  • ris********
    >参考までに、2024年7月現在の日本でもっとも安価なのは……

    2008年の車の記事に、2024年の車の価格を載せても、何の参考にもならないと思います。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

99.2144.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.1143.0万円

中古車を検索
ミライースの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

99.2144.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.1143.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村