2022年8月23日に登場したトヨタ 新型シエンタ。ノア/ヴォクシーが3ナンバー化されたことで、5ナンバーサイズミニバン貴重な存在となったとなったシエンタをフリードと徹底比較。格上モデルのノアと比較したらどうなの? という禁断バトルも注目だ!
※本稿は2022年10月のものです。各採点数は5点満点です
文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部 ほか、撮影/平野 学
初出:『ベストカー』2022年11月10日号
ついに実現 トヨタ新型シエンタVSホンダ フリード 5ナンバーサイズミニバン頂上決戦 ノアとも比較
【01】VSフリード 走り&乗り心地対決
今では貴重な存在となった5ナンバーサイズミニバンのトヨタ シエンタ(左)とホンダフリード。ただ、直近の一部改良が今年8月とはいえ2016年にフルモデルチェンジを果たしたフリードは分が悪いのは否めない
パワーユニットは、両車とも1.5Lのガソリンエンジンとハイブリッドを用意する。動力性能はシエンタに余裕がある。フリードに比べて設計が新しく、車両重量も約50kg軽いからだ。シエンタのガソリンエンジンは、少し高回転志向だが吹き上がりはいい。
ハイブリッドも、シエンタは実用回転域の駆動力に余裕を与えた。加速も滑らかだ。フリードのハイブリッドは、7速の有段ATを採用するから、加減速にダイレクト感が伴って速度調節もしやすい。
それでもパワーユニットはシエンタのほうが満足できる。ただしシエンタでは、3気筒エンジン特有の粗いノイズが時々聞こえる。走行中のノイズはフリードよりも小さいが、聞き慣れた4気筒とは音質が異なる。
走りに関しては、フルモデルチェンジでTNGAを採用したシエンタが一歩抜け出している印象だ
走行安定性は、プラットフォームの設計が新しいシエンタのほうが優れている。下り坂のカーブでも、後輪の接地性が高く、不安定な挙動に陥りにくい。ステアリングホイールを回し始めた時の反応も、シエンタは曖昧さを抑えて正確だ。
こちらはフリード。どちらのクルマも、ちょっと後席のコツコツ感はあるが、15インチタイヤを採用しているので路面への当たりはマイルドだ
乗り心地は、燃費とコストを重視した影響もあり、設計の新しいシエンタも40km/h以下では硬めに感じる。
車両重量の違いもあり、ハイブリッドは少し柔軟だ。タイヤサイズはシエンタ、フリードともに共通の15インチで、指定空気圧も同程度。
フリードも低速域を中心に、乗り心地が硬く感じる。
●走り&乗り心地採点
・シエンタ…ハンドリング5/静粛性3/乗り心地4
・フリード…ハンドリング3/静粛性3/乗り心地3
【02】VSフリード 室内空間&レイアウト対決
ファブリックを採用することで、質感を高め、リビングのような室内空間を演出したシエンタのインパネ
1列目のシートは両車とも大差はないが、2列目は異なる。
フリードは床と座面の間隔が足りない。膝が少し持ち上がって腰は落ち込む。その代わりフリードの2列目には、ベンチタイプに加えて、キャプテンシートと呼ばれるセパレートタイプも用意される。
セパレートタイプでは、中央が通路になって車内の移動もしやすい。3列目の乗員が2列目のスライドドアから乗り降りできる。シエンタはベンチシートのみだ。
3列目も異なる。身長170cmの大人が多人数で乗車した時、2列目の膝先空間を握りコブシ1つ分に調節すると、3列目の膝先空間は、シエンタでは握りコブシ半分に留まる。
フリードなら握りコブシ2つ分を確保できる。つまり足元空間はフリードが広いが、床と座面の間隔は、シエンタが約40mm上まわる。フリードは床と座面の間隔が足りず、膝が持ち上がりやすい。
3列目の広さならフリード、着座姿勢ではシエンタが勝る。3列目の居住性は一長一短だ。
フリードのインパネ。ウッド調のパネルを採用し、落ち着いた印象のインパネ。メーターはインパネ上部に配置される
スライドドア部分の乗降性はシエンタが優れている。スライドドアの開口部は、シエンタは高さが1200mmで開口幅は670mmだ。
フリードは1165mm・665mmだから若干狭い。路面から開口部の下端までの高さも、シエンタは330mmと低く、フリードは390mmだから少し高い。
荷室の床と路面の間隔は、3列シート仕様同士で比べると、シエンタは505mm、フリードは480mmと低い。自転車を積む時も、フリードなら前輪を大きく持ち上げる必要はない。
3列目の格納は、シエンタでは2列目の下に収めるから、格納されたシートが荷室に張り出さない。その代わり3列目を格納する時、2列目を持ち上げる必要がある。
その点でフリードの3列目は、左右に跳ね上げる方式だ。格納された3列目が荷室に張り出すが、格納操作は単純になる。収納設備は、フリードにも引き出し式インパネセンターテーブルなどが採用され、使い勝手を高めた。
●室内空間&レイアウト採点
・シエンタ…車内の広さ5/ユーティリティ3/3列目の居住性2
・フリード…車内の広さ5/ユーティリティ4/3列目の居住性2
【03】VSフリード 燃費性能&先進安全装備
シエンタは大幅な燃費性能向上を果たした。モデル末期のフリードには厳しい戦いだ
シエンタのWLTCモード燃費を3列シートを備えたZ(2WD)で見ると、ガソリンエンジンが18.3km/L、ハイブリッドは28.2km/Lだ。先代型のハイブリッドは22.8km/Lだったから、先代型から新型に乗り替えると、燃料代を約20%節約できる。
一方、フリードGのWLTCモード燃費は、ガソリンエンジンが17km/L、ハイブリッドは20.9km/Lだ。特に後者はシエンタとの差が大きい。シエンタは設計の新しさもあって燃費性能が優秀だ。
安全装備も進化の著しい技術で、設計の新しいシエンタが有利になる。
後方の並走車両を検知して知らせるブラインドスポットモニター、徐行時に衝突被害軽減ブレーキを作動させる前後両方向のパーキングサポートブレーキ、走行状態に応じて駆動力/ブレーキ/ステアリングを支援するプロアクティブドライビングアシストなどを採用。
シエンタの安全装備は先進的だ。
●燃費性能&先進安全装備採点
シエンタ…燃費性能5/安全性能5/コスパ4
フリード…燃費性能3/安全性能3/コスパ4
●トヨタ シエンタ(Zハイブリッド 7人乗り)主要諸元
・全長×全幅×全高:4260×1695×1695mm
・ホイールベース:2750mm
・エンジン:1490cc、直3DOHC
・最高出力:91ps/5500rpm
・最大トルク:12.2kgm/3800~4800rpm
・モーター最高出力:80ps
・モーター最大トルク:14.4kgm
・WLTCモード燃費:28.2km/L
・価格:291万円
●ホンダ フリード主要諸元(ハイブリッドG 7人乗り)
・全長×全幅×全高:4265×1695×1710mm
・ホイールベース:2740mm
・エンジン:1496cc、直4DOHC
・最高出力:110ps/6000rpm
・最大トルク:13.7kgm/5000rpm
・モーター最高出力:29.5ps
・モーター最大トルク:16.3kgm
・WLTCモード燃費:20.9km/L
・価格:265万5400円
【04】VSノア/ヴォクシー 人気3ナンバーサイズミニバンとはどう見るか!?
ボディサイズや車両重量を考えると健闘しているが、燃費性能はシエンタに軍配
シエンタは全長が4260mm、ノアは4695mmだから、車内の広さは大きく異なる。
身長170cmの大人が乗車した時、2列目に座る乗員の膝先空間を握りコブシ1つ分に調節すると、3列目の膝先空間はシエンタが握りコブシ半分だ。
ノアなら握りコブシ2つ半を確保できる。大人が多人数乗車できる許容時間も、シエンタは片道1時間程度だが、ノアなら長時間移動も可能だ。
ノアは3列目空間をつぶして、2列目をロングスライドさせると、足を伸ばして座ることができるスーパーリラックスモードなどを備えている
ノアは荷室も広い。シートアレンジも簡単で、3列目の背もたれを前側に倒し、レバーを引くと持ち上がり、サイドウインドウ側に押すとロックする。
スライドドア部分の乗降性は、床が50mmほど低いシエンタが優れている。
ノアのパワーユニットは、直列4気筒2Lのガソリンエンジンと1.8Lのハイブリッドだ。シエンタは直列3気筒1.5Lだから、少し粗いノイズが時々聞こえるが、動力性能に大差はない。
シエンタもハイブリッドは実用域の駆動力に余裕を感じる。
ノアのWLTCモード燃費は、標準ボディのGで見るとガソリンエンジンが15.1km/L、ハイブリッドは23.2km/Lだ。シエンタハイブリッドは28.2km/Lだが、ノアも健闘している。
ノアの3列目は跳ね上げ式を採用するが、飛び出ないように設計されているため、間口は1100mmと広い
走行安定性は、低重心でボディの軽いシエンタが優れている。最小回転半径は、シエンタが5m、ノアは5.5mだ。乗り心地は両車とも時速40km/h以下では硬めだが、ノアの16インチタイヤ装着車は少し柔軟だ。
2WDの価格は、シエンタハイブリッドZが291万円、装備の近いノアハイブリッドGは332万円だ。ノアはシエンタに比べて約40万円高い。この価格差は、ほかのミドルサイズ対コンパクトミニバンにも当てはまり、コスパは両車とも適正だ。
●対ノア 採点表
シエンタ…動力性能&安定性 3/乗り心地 3/居住性 4/ユーティリティ 4/燃費性能 5/コスパ 4
ノア…動力性能&安定性 3/乗り心地 4/居住性 5/ユーティリティ 5/燃費性能 4/コスパ 4
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以前、彼の言葉を信じてクルマを買ってひどく後悔したことがある。