新型トヨタ プリウスのパワートレーンは3タイプ。販売の中核となる新開発2Lエンジンと組み合わせたハイブリッド、他に1.8Lハイブリッド、そして3つめがPHEV。今回はEV走行距離を伸ばし、パワフルな走りにも応える最強スペックのPHEVに試乗した!!
※本稿は2023年5月のものです
文/鈴木直也、写真/ベストカー編集部、撮影/平野学
初出:『ベストカー』2023年6月10日号
先代からキャラ激変でスポーツカー級の最強スペック!! 新型プリウス買うならPHEVがベストなのか!?
■歴代プリウスナンバー2の感動!!
システム出力223psを発揮するPHEVは、アクセルを踏んだ瞬間のトルクレスポンスに優れるとともに、高速域でのパワーの伸びも2Lハイブリッドとはひと味違うパワフルさを味わえる
1997年にデビューした初代プリウス以来、ボクはすべてのプリウスに試乗してきた。
その間、何度か「WOW!」と驚くような感動を味わったが、今回のプリウスPHEVは歴代ナンバー2のWOW!案件(ナンバー1はもちろん初代ネ)。率直に言ってかなりの驚きがあった。
まず最初の驚きは、これまで“乗用車”の王道を歩んできたプリウスが、「こりゃもうスポーツカーでしょ?」というクルマに変身したこと。
今の時点でなら「電動化への橋渡しとしてハイブリッドの新たな可能性を拓く」とか後出しで言えるけど、開発が始まった2018年ころ、当時のプリウスは年間12万台くらい売れていた。まだまだイケる商品をここまで変えるのは容易じゃない。早い時点でその決断を下した見識には脱帽だ。
■燃費以外の強い価値を創出
キュッと絞った後ろ姿がキュート。先代型とは異なり、エクステリアはHEVと共通だ。重量増に対応するためか、ややサスペンションがハードで、操縦性もよりシャープな印象なのだ
もうひとつの驚きは、クルマのコアバリューを「燃費」から「走りと電動化」へシフトしたこと。
いや、もちろん新型プリウスは燃費性能も優秀ですよ。でも、燃費で選ぶなら選択肢はたくさんある。
プリウスならではの価値は、スポーツカー並みに低いヒップポイント、ほとんどロールを感じさせずコーナーを駆け抜けるハンドリング、そして電動感を強調したダイレクトな加速フィールなど。旧型からみるとあらゆる面で劇的にキャラ変している。
そして、今の社会情勢を考えると重要なのが、このプリウスPHEVの存在だ。
英仏両国がほぼ時を同じくして「2040年までに内燃機関禁止」を打ち出したのが2017年の7月。このニュースがプリウス開発に影響を与えなかったはずがない。内燃機関禁止勢力に対抗するうえで、PHEVのさらなる性能アップは最重要課題となったはずだ。
■走りも良く燃費も良い!!
ステアリングの上方から視線を送るタイプのメーターは、姿勢によって見えない部分が生じる
その結果として、プリウスPHEVは凄いクルマになっちゃった、とボクは見る。
システム出力223ps、EV航続距離105km(17インチタイヤ)、ゼロ100km/h=6.7秒など、ほぼすべてのスペックが予想以上。実際に乗っても「WOW!」の連続。CO2削減に興味がない人にも自信を持ってお薦めできる(笑)。
ボクがいちばん驚いたのは、旧型比54%アップの13.6kWhのバッテリーを、なんと後席座面下へ押し込だこと。低くスリークなスポーツカーパッケージでこれが可能なら、佐藤新社長の言う「PHEVでレンジ200kmを目指す」という発言もぜんぜん夢じゃない。
BEV勢にとって最強のライバル登場。今後の展開が面白くなってきたねぇ。
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