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これが造りたかったのね! 新型クラウンの「ベストバイ」 RSグレード試乗で体感した乗り味が強烈すぎた!

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これが造りたかったのね! 新型クラウンの「ベストバイ」 RSグレード試乗で体感した乗り味が強烈すぎた!

 自動車評論家 鈴木直也氏によるトヨタ新型クラウンクロスオーバー「2.4Lターボハイブリッド(RS/RSアドバンス)」試乗の様子をお届けする。

 これに先立つ2.5Lハイブリッド(G・Gアドバンス・X)の試乗では、トータルの走りとしてはモヤモヤした物足りなさが残ってしまったという直也氏。

これが造りたかったのね! 新型クラウンの「ベストバイ」 RSグレード試乗で体感した乗り味が強烈すぎた!

「RS」に搭載されるハイブリッドは、2.4Lターボエンジンにクラッチを介して6速ATを組み合わせ、82.9ps/29.8kgmのモーターとの協調制御で前輪を駆動。さらに後輪は80.2ps/17.2kgmの独立したモーターで駆動するという新システム。

 この「パラレルハイブリッド」はクラウンの走りをどのように進化させたのか?

●トヨタ 新型クラウンクロスオーバー「2.4Lターボハイブリッド」のPOINT
・新開発2.4Lターボ+モーターの『デュアルブーストハイブリッド』搭載
・6速ATを組み合わせたパラレルハイブリッドは、THSとは全く違ったシステム構成
・後輪は80.2ps/17.2kgmを発揮する独立したモーター(eAxle)で駆動する4WD
・AVSを組み合わせた緻密なサスペンション制御システム採用

※本稿は2022年11月のものです
文/鈴木直也、写真/TOYOTA、ベストカー編集部 ほか、撮影/奥隅圭之
初出:『ベストカー』2022年12月10日号

■2.5Lハイブリッドモデルの試乗ではモヤモヤした物足りなさが

 先月、手始めとしてまず2.5Lハイブリッドに試乗したクラウン。

 これまでにない斬新さを随所に感じたものの、トータルの走りとしては正直ちょっとモヤモヤした物足りなさが残った。

 その最たるものはパワートレーン。熟成を極めたTHSは走りと燃費のバランスでセグメント最高の逸品なのだが、さすがに新鮮味が薄い。

 デザインやコンセプトがこれだけ新しくなったんだから、パワートレーンにも「WOW!」が欲しい。それがボクの試乗後の感想だった。

 そういう意味で待ちかねたのが今回の2.4Lターボハイブリッド、トヨタ言うところの「デュアルブーストハイブリッド」の試乗だ。

クラウンクロスオーバー(2.4Lターボハイブリッド)。2.5Lハイブリッドに対し、価格は605万~640万円と高価な設定だが、システム出力349psの走りっぷりは新鮮な驚きがあった

■新開発のハイブリッドシステムを採用した2.4Lターボハイブリッド

 詳しいメカニズム解説をするにはスペースが足りないのでザッと説明すると、従来のTHSとはコンセプトが180度違うパフォーマンス型のハイブリッドシステム。

 パワフルな2.4Lターボ(272ps/46.9kgm)に、前後にクラッチを挟んでモーター(82.9ps/29.8kgm)を配置。その下流に6速ステップATが接続される。

 今度のクラウンは全モデル4WDだからリアには「eAxle」が装備されるが、こちらのモーター(80.2ps/17.2kgm)も2.5Lハイブリッドより4割以上強力だ。

やはり注目は新開発ハイブリッドシステム、2.4LターボエンジンのRSシリーズだ。左が直4、2.4LターボのRS

 というわけで、ワクワクしながらクラウンRSのスタートボタンをON。デジタルメーターにはタコメーターを表示できるモードがある。

 エンジン回転がモーター出力との関係で制御されるTHSにタコメーターはほとんど意味がないが、新しいデュアルブーストハイブリッドはエンジンが「主」でモーターが「従」。

 6ATのシフトにともない変化するエンジン回転数は表示する意味がある。

 アクセルをそろりと踏み込むと、発進はTHSと同様にモーター走行で始まる。早朝の住宅街や人の多い商店街など、静かに走りたい時はこれがありがたい。

 こういうマナーのよさは、THSと同様トヨタハイブリッドの美点と言っていい。

 それが様変わりするのは、アクセルをぐいっと踏み込んだ瞬間だ。

 目を覚ましたエンジンがフルブーストで前輪を駆動し、前後モーターもそれを全力でアシスト。

 瞬間的にはトータル800Nm(約80kgm)近いトルクが4輪に供給され、クラウンRSはたちまち豪快な加速を開始する。

 そのドライブフィールは従来のTHSとはまったく異なりダイレクト。6ATが2速、3速とシフトアップするたびに、息の長い加速感が持続する。

 逆に追い越し加速ではシフトダウンせず粘り、モーターアシストで力強く加速するのが新鮮な感覚だ。

インテリアの基本的なデザインはRSシリーズも変更点はないのだが、シート表皮はブラック&イエローブラウンの本革となるのがRSシリーズの特筆点

■4WDというよりFRっぽい? 歴代クラウン随一の「楽しめるハンドリング」に

 シャシーも強力なパワートレーンをガッチリ受け止めていい味を出している。

 2.5Lハイブリッドで感じた微少ストローク時のフルフル感は、AVSダンパーを奢ったクラウンRSではほぼ解消。感覚的にはサスのフリクションが大幅に低下したような印象がある。

 ワインディングロードでペースを上げてゆくと、操舵初期からしなやかに足が動き、しかも大きな入力はしたたかに受け止めてバネ上を暴れさせないことに感心する。

 さらにペースを上げてアクセルを開けると、リアモーターがしっかり後輪にトラクションをかけているのを体感する。

 これは4WDというよりFRっぽい操縦感覚で、タイトコーナーでは「ひょっとしてカウンターまで行くかな?」と思うほど、後輪が積極的に曲がりに関与している。

 もちろん、DRS(4輪操舵)とスタビリティコントロールが姿勢の乱れをチェックしているから、ドライバーの意図しない挙動に至ることはないが、アクティブにクルマを走らせている充実感はなかなかのモノ。

 ファン・トゥ・ドライブという意味では、歴代クラウン随一の楽しめるハンドリングだ。

初期受注では2.5ℓハイブリッドが約7割、RS系は約3割とのことだ。RSシリーズは本革シートやLEDヘッドライトなどが標準装備で価格は605万~640万円と高いが、2.4Lターボハイブリッドの走り、熟成されたシャシーなど、選ぶ価値は高い!

「ナルホド、これが造りたかったのね!」新型クラウン開発チームの真意を実感したクラウンRSの試乗でございました。

●トヨタ クラウンクロスオーバー(RS アドバンス)主要諸元
・価格:640万円
・WLTCモード燃費:15.7km/L
・全長:4930mm
・全幅:1840mm
・全高:1540mm
・ホイールベース:2850mm
・車両重量:1920kg
・最小回転半径:5.4m
・最低地上高:145mm
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ、2393cc
・最高出力:272ps/6000rpm
・最大トルク:46.9kgm/2000-3000rpm
・フロントモーター出力/トルク:82.9ps/29.8kgm
・リアモーター出力/トルク:80.2ps/17.2kgm
・システム出力:349ps
・サスペンション:ストラット/マルチリンク
・タイヤサイズ:225/45R21

【番外コラム】新型クラウン ココにも注目!

●乗降性のよさがクラウンクロスオーバーの魅力

 最低地上高145mmのクラウンクロスオーバーは前席の座面高が630mm、後席座面高が610mmと、一般的なセダンに対し20mm程度高いのが特徴的。

 乗車時に身をかがめることなくスッとお尻がシートに滑り込むので腰に負担がかからない。

 後席はラウンドしたルーフ後端がやや乗り降り時に気を遣うが、座ってしまえば頭上、膝前ともに広さに不満はない。

最低地上高が145mmと高いクロスオーバーだから、シート座面が高く、乗降性がいいのが嬉しい

●4輪操舵は全モデル標準装備

 後輪を操舵する「DRS」は新型クラウンクロスオーバー全モデルに標準装備。車庫入れなどの低速時は逆位相に動き、最小回転半径は5.4mと小さい。

 中速から高速にかけて、逆位相~同位相を状況に応じて適切に制御することでシャープな操舵レスポンスと高いスタビリティを両立させる。

 絶妙なのは、実際の試乗でもDRSの存在を意識させない自然な動きをしながら確実に効果を発揮していることだ。

低速域では後輪が前輪と逆に操舵され、小回りする

●後輪eAxleとの絶妙な協調制御でシームレスで滑らかな加速

 本文でも触れているように、RSの「デュアルブーストハイブリッド」は272ps/46.9kgmの2.4Lターボエンジンを軸に、6ATを介して82.9ps/29.8kgmのモーターを組み合わせた1モーター2クラッチシステムで前輪を駆動しながら、後輪を80.2ps/17.2kgmモーターで駆動する4WD。

 全開での発進加速を試してもほぼタイムラグを感じさせない小気味いいステップシフトが心地いい。

 一定速からの追い越し加速のような場面でも、モーターが強力にアシストするため、キックダウンのタイムラグを感じさせない滑らかなフィールが気持ちいい。ドライブ感覚としてはエンジン車なのだ。

2.4Lターボには6速ATが組み合わされる。後輪はモーター駆動

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みんなのコメント

36件
  • 結局 新型クラウンと言う名前の中途半端な何か。。

    と言うのが評価だと思います。
    あれだけ宣伝費掛けて、カーオブザイヤーにかすりもしなかったのは痛い
  • 『〇〇過ぎた!』
    とか言う使い古された言葉を使ってでも、どうにかトヨタヨイショで明日も生きていこうぜベストカー!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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