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500キロ走破後の圧倒的な快適性に感動!シトロエン C5エアクロスSUVのファーストタッチ

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500キロ走破後の圧倒的な快適性に感動!シトロエン C5エアクロスSUVのファーストタッチ

フランス車として知られるシトロエンに加わった「C5エアクロスSUV」。広報車の準備ができました、という案内が来たのはもう6月に入っていた頃でしょうか。二つ返事で「ぜひ、短い期間でもいいので乗せていただきたい!」という申し入れをシトロエン広報部にお返ししてしまいました。

長いことシトロエンの看板技術でもあったハイドロニューマチックサスペンションと、電子制御式の派生型技術であるハイドラクティブサスペンションのシリーズと決別し、それに代わる新たな技術を搭載しました、というのがこのクルマ最大のトピックでした。

クラシックカーの使い方はこれでよいのか。我々の考えに左右されるクルマの行方

これほどビッグネームである技術の後継、かなり威勢よく高らかに言わねばならない面もあるだろうから、もしかするとそれほどのことではないのではないか。いやいや、あのどこまでもひたすらに走っていきたくなる乗り心地を最新バージョンでどのように表現しているか、期待感を抜きにこのクルマに向き合うことはできないでしょう。

そんな、二つの相反する思いが、私の中で長いこともやもやとしておりましたので、控えめに言って楽しみなモデルでした。おそらくは1000キロほどシトロエン広報部が慣らし運転をするはず。さらに、借りたクルマのマイレージでミッレ・ミリアを満喫するかのように距離を積み上げたりはしないでしょうから、1600キロという距離で拝借したおろしたてのC5エアクロスSUV。一人目ではないにせよ、かなり早いタイミングで乗ることができたことは間違いなさそうです。

ということで、新時代のシトロエンのファーストインプレッションを書き留めておこうと思います。

「前衛のための前衛」は、そもそもシトロエンの文脈にはなかったはず

シトロエンというと、かなり奇抜で前衛的なクルマが多かったために「それこそがシトロエンの証」だと受け止める人は少なくありません。それからすれば、このクルマにはおよそ新奇で他を圧倒する、センセーショナルな雰囲気はアピアランスには感じません。でも、これを見てシトロエンらしくないか?と言われれば、そんなこともなかろう、というのが個人的な感想です。

シトロエン自体「クルマを前衛的に見せたいわけではないはずだ」と筆者は考えています。「シトロエン自体が正しい!こうあるべし!」と思い、形にしたことが、一般的なクルマの中で採用される手法とあまりにもかけ離れてしまうため、結果として前衛的、あるいは前衛のための前衛と映ってしまうのではないでしょうか。

それこそ、荒い表現をすれば、カクタス的であるし、そもそも「前衛のための前衛」はシトロエンにはあまりなかったのではないかというのが個人的に過去のクルマなども振り返っての感想です。むしろ、シトロエンなりに、単純かつ純粋に「こうあるべきだろう」「これが普通だろ」という当たり前なことを具現化した。それこそが、やや、世間一般の自動車像からすると、奇抜に見えたケースが多かっただけ。そんなのが実は実態なのではないか、と思っています。…という風な解釈で言えば、これもまた、至極真っ当なシトロエンだ、ということはできるのではないでしょうか。

シトロエンらしいか、それともそうでなないかよりも、独特の居心地の良さなどは、なるほどシトロエンだよなあ。プジョーやDSオートモビルズではなく、シトロエンだけがもっている、どこか人間中心な柔らかさ、マイルドさ、やさしさ。そういったいろいろの要素がジワリと感じられてきたものでした。一般化した、下野(げや)したシトロエンだと思ったのはナッパレザーの香りが鼻孔に届いてきたとき。ああ、皆が感じるプレミアムという世界観はこのクルマでも共通なのかしら。と思った次第です。

500キロ走破後の圧倒的な快適性に感動!長距離のインプレッションは改めて…

今回、市街地や高速道路など、3日間掛けて500キロほどシトロエン C5エアクロスSUVを走らせてみました。ひと言でいうなら「圧倒的な快適性に感動!」に尽きます。

ハイドロニューマチックの現代的解釈というプログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)というサスペンションが、件の最新鋭なシトロエンのサスペンションとしてこのクルマに採用されています。先だって乗せていただいたDS7クロスバック。模倣や形態模写的シトロエンの挙動という面では、あれもなかなかなものだったと思います。しかし、このPHCはあくまで「現代的解釈」。走りはじめると、滑るようなフラットライドでありながら、低速でもしっかり路面からのアタックに対して面取りが丁寧にされたようにマイルドな乗り心地を感じ取ることができました。

実は一度でもシトロエンに乗ったことのある人は知っていることかもしれませんが、あまり低速での、微細な入力に対して、大衆、量販ハイドロニューマチックサスペンションは追従しきれず、案外コツコツした乗り心地を呈することがあるものでした。その速度域ではバネサスのシトロエンの方がしっかり対応するということをいう人は少なくありません。

このPHC、速度が乗ってきたときの乗り心地はハイドロニューマチックサスペンションにも負けないフラットさがありますが、もっと芯もあってシャキッとしている印象もありました。しかしタウンスピードでもバネサスのシトロエンにも負けないしなやかさがあるのです。大きなホイールを履いていますが、それもものともしません。大概が華奢なタイヤを採用していた、往年のバネのシトロエン車のときから目覚ましい進化を遂げている。そんな風に言うことができるでしょう。

フラットさ、しなやかさに加えて、ロードノイズも静粛性は高かったのが印象的でした。

とにかくどこまでも走っていたくなる乗り心地、短期間の拝借なのが惜しまれる、というか、ついつい遠出してほかの仕事ができなくてもいけないので、短期間でよかったというべきか。そんなクルマなのです。

東京を起点にしたとして、どのくらい遠出したら気が済むだろうか、そんなことを少し考えてみました。するとたちまち脳裏に下りてきた地名は一ノ関(岩手県)と蒜山高原(鳥取県)でした。北の方であれば宮城県との県境から少し岩手県に入った町、一ノ関、西の方であれば、鳥取県の大山のふもとに広がる蒜山高原。その辺まで走らねば気が済まないだろうな。私の中ではそのくらいのスケール感のグランドツーリングカーと言えるでしょう。

ボディは絶対的には今どきの標準ではあるものの、かつてのクルマと比較するとかなり大柄に見えます。でも、どこまでも走っていたくなる、超高級車ではないけれど、上質感にあふれているという雰囲気からすると、シトロエンで言えばアミ6とかの再来?そんな感覚になるものでした。

とにかく、気兼ねなく使えてどこまでも快適。そんなC5エアクロスSUV。気に入る人はかなり多いのではないか。そんな気がします。あの足回りのPHCも相当にいい仕上がり。これは大いに期待していただいていいでしょうし、期待して試乗してみていただいていいものだと思います。そんな一台でした。ふれこみでは「魔法の絨毯」の乗り心地とのこと。しかしたぶん、魔法の絨毯より乗り心地良いのではないでしょうか。

あの頃のシトロエン的な見た目ではありません。しかし個人的には、そのころのいかなるシトロエンよりも、現代の感覚をもってして乗り心地がいいと思います。

プレミアムSUVを検討している方だけではなく、是非一度試乗されることをおススメしたいこのクルマ。相当いいように思いました。そして、繰り返しになりますが、どこまでも走っていたい。紛れもなくシトロエンなのであります!!

[ライター・画像/中込健太郎]

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