マツダは2シーター・スポーツカー「ロードスター」の販売開始30周年を記念した限定車を発表した。世界初お披露目の場所に選ばれたのは、2019年2月7日からおこなわれているシカゴオートショー(アメリカ)だ。なお、1989年に初代ロードスターが発表された場所も、今回とおなじシカゴオートショーだった。
30周年記念モデルは通常モデルとおなじく、オーソドックスなソフトトップにくわえ、電動格納式ハードトップルーフを持つ「RF」の2タイプから選べる。
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注目のボディカラーは、新開発の「レーシングオレンジ」である。夜明けをイメージしたというレーシングオレンジは、あえてメタリックカラーではなくソリッドカラーだ。「ソリッドカラーによって、ロードスターのスポーツカーとしての個性をピュアに表現した」と、広報資料には記載されている。
足まわりも個性的だ。RAYS社が限定車のために開発した、ダークガンメタリック塗装の鍛造アルミホイールを履いている。サイズは、日本向けのソフトトップ仕様は16インチ、RFは17インチだ。軽量・高剛性の専用ホイールによって、「バネ下荷重が軽減されている」と、マツダは説明する。
くわえて、ブレーキキャリパーもボディカラーとおなじオレンジだ。ブレーキは前後でメーカーが異なり、フロントがブレンボ社製、リアがニッシン社製である。
インテリアもオレンジを随所にあしらう。たとえば、マツダとレカロが共同で開発したシートのステッチとパイピングがオレンジのほか、ドアトリムやシフトレバーのステッチもオレンジだ。
「これから10年、20年先のロードスターへの期待をこめるとともに、新しい1日の始まりを予感させる朝焼けのようなオレンジの特別カラーを開発しました」と、ロードスターの開発主査兼チーフデザイナーを務める中山雅(まさし)氏が述べる。
続けて中山氏は、「とりわけスポーツカーではボディカラーとモデルイメージが密接に結びついているケースが多々あります。今回もロードスターとオレンジが違和感なく結びつくよう、意識しました。また、あえてソリッドカラーで陰影を出すことにトライしたのは、デザイナーとしてのチャレンジでもありました」とも述べる。
「結果はうまくいった」と、満足げな表情の中山氏である。レーシングオレンジは彩度の高さを追求したそうで、インタビューをした時点で実車を見ることはできなかったものの(1台しかない試作車は2018年12月、シカゴオートショー出品のため船積みされていた)、写真ではかなり魅力的に感じられる。「ボディ下を黒く塗ると、より薄く見えたりしますが、従来からあるデザイン手法ばかりに頼るのはやめました」。ソリッド・ペイントゆえにボディ面のカーブの抑揚に深みのあるやわらかな陰影が生じ、ニュアンスがゆたかになっている。マツダ・デザインらしいこだわりで、ファンはたまらなく嬉しく感じるはずだ。
今回はソフトトップ仕様とRF仕様合わせて世界限定3000台という。価格や販売方法は2019年春先に発表されるそうだ。「これまでも10周年記念モデル、20周年記念モデルと販売してきましたが、歴代でもっとも(今回が)スペシャルな内容ではないか?」と、中山氏は話す。
開発者自身が相当な自信を持って、熱の入った説明をおこなう30周年記念限定モデルだけに、いまから正式販売が楽しみだ。なおマツダは、ロードスター登場30周年を記念したイベントなどを検討中という。
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