わずか数分間で防錆塗装の品質を計測できる
クルマといえば、ボディなどの錆(サビ)を見かけることも多いだろう。サビは水や酸素と鉄が反応してできるもので、潮風によって運ばれてきたり、融雪剤が撒かれた道路を走行することなどで車両に付着する塩分によって発生が促進される。塗膜によってボディなどの鋼板に水や酸素が接触しないように、防錆塗装を行なっているが、この防錆塗装の品質が錆にくさを大きく左右するという。
【今さら聞けない】ガソリンがこぼれてボディに付くとどうなる?
自動車メーカーとしてはその錆の発生を抑えるための研究を日々行なっているわけだが、その塗膜の品質をチェックするために、その部品を実際に錆びさせて評価をしている。サビを発生させるための加速試験機で試験をしているが、そもそも試験期間は3カ月近くかかり、その試験機装置そのものが巨大なのに、試験機に入る部品の大きさは制限されているという。
この試験の時間を短縮し、どこでも試験できる方法を、ということで、広島大学と共同研究で出来上がった試験法が、この「耐食性迅速評価法」である。防錆塗膜に電圧を加えて「水と酸素」を強制的に浸透させ、その浸透のしやすさで「サビやすさ」を計測して評価ができるというものだ。実際にサビを発生させるわけではないため、非常に短時間での評価が可能となる。
会場では、この評価法を開発したマツダの技術研究所の浅田照朗さんが自らその評価法を実演。評価したい部品に電極を付け、塩水をセットし、電源を入れてどの程度の電力まで耐えられるかを確認するだけ。
試験機自体は持ち運びのできるものであり、促進腐食試験自体も数分間に短縮することができるため、車両防錆品質の育成や管理プロセスを大きく変えることになるという。
腐食防食学会技術賞の受賞理由は「影響要因が多岐にわたる自動車の防錆品質の短時間高精度の評価技術を開発したもので、数分間の短時間で製品の防錆品質のその場評価を可能とし、車両防錆品質の育成、管理プロセスの革新を実現した点など」となる。「自動車の防錆技術を革新する耐食性迅速評価法の開発とその実用化」の表彰式は、人とくるまのテクノロジー展の開催期間中である5月25日に東京・お台場で行なわれた。マツダの腐食防食学会技術賞受賞は今回が初となる。
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