中古の輸入車、過剰に心配する必要なし!
世間ではZ世代(Generation Z)と呼ばれているらしい若衆世代に向けての「初めてのマイカー選びガイダンス」である。
過日はZ世代(今現在18歳から28歳ぐらい)のみなさんに向けて総額50万円以下あるいは100万円以下、はたまた200万円以下で買える「ちょっといい感じな中古車」をご紹介した。
そこでは主に国産中古車を推奨したわけだが、なかには「いや、自分は輸入車に乗ってみたいのだ!」と考えているZ世代もいらっしゃるだろう。
大賛成である。
国産車が悪いというわけでは決してないのだが、なんだかんだで「デザイン」と「走行フィール」みたいなものは輸入車のほうが優れている場合がけっこう多い。そういった輸入車の美点をお若いうちから味わい、いわゆる感性を磨いておく作業は、後々の人生にいろいろと利いてくるからである。
しかし、いざ輸入車を買うとなったときの不安点は──特にそれが新車ではなく「中古の輸入車」であった場合の不安点は、「車両価格が高い」ということと「すぐにぶっ壊れそう」ということ、そして「壊れたときの修理代も高そう」という3点であるはずだ。
そのどれもがごもっともではあるが、さほど過剰に心配する必要はない。
まず「車両価格が高い」という点については、確かにイタリアのランボルギーニ車を買おうとすると、一番安い部類でも1000万円近くする。だが世の中には、もちろん100万円とか200万円ぐらいの中古輸入車もたくさんある。それらを買うように心がけるだけで、この問題は解決される。
そして「すぐにぶっ壊れそう」という点であるが、これは、20年ぐらい前の中古輸入車は確かにそうだったが、近頃売られている中古の輸入車は、決してその限りではない。もちろん、いまだに買ってすぐぶっ壊れるやつもなくはないのだが、最近の多くの中古輸入車は、探し方次第では「意外とぜんぜん大丈夫」な場合が多いものだ。
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中古輸入車の探し方
具体的にどう探せばいいのかというと、
なるべく真面目な販売店で買う。
整備履歴が充実している個体を狙う
なるべく作りがシンプルな車種を狙う
壊れたときに修理代が高くつく部分の状態を十分に確認してから買う
という感じだ。
1と2については、完璧にレクチャーしようとするとかなり長くなってしまうので、今回は大変申し訳ないが説明を割愛させていただく。また別の機会にご説明できるかもしれないので、そちらをお読みいただけたら幸いだ。
そして3と4は重複する部分もあるのだが、例えばの話、エアコンすら付いてないような超シンプル系MT車であれば、仮に壊れたとしても修理はカンタンであり、なおかつ大したお金もかからない。
しかし、最新のフルオートエアコンのほかに「電子制御サス」「トルクベクタリングシステム」「ヘッドアップディスプレイ」「ダイナミック・ナントカ・コントロールシステム」みたいなものが完備された車は快適である半面、それらがいざ壊れると、直すには莫大なコストと手間がかかったりもする。
ということで、購入時は「なるべくシンプルな作りの車種」を狙い、そのうえで、修理にけっこうな大金がかかる「エアコン」や「AT」あたりがぶっ壊れておらず、なおかつこの先も壊れなさそうな気配がただよっている個体を買うことを推奨したい。そうすれば、中古の輸入車といえども「買ったはいいがぶっ壊れまくってしまい、修理代で破産する」みたいな事態はおおむね回避できるはずなのだ。
では以上の提言をベースに、具体的なおすすめ車種を考えてみることにしよう。
「初めてのマイカー」として探したい中古輸入車【ベスト3】
その1|先々代BMW 3シリーズのMT車
価格相場:20万円~250万円
言わずと知れたドイツのBMW社が作っている中核モデル「3シリーズ」の、2005年から2011年にかけて販売された2世代前のモデル。これの6速MT車はお金も手間も大してかからない割に、めちゃめちゃいい思いができる可能性が高いナイスな選択肢である。
先々代BMW 3シリーズというクルマ自体の説明は割愛する。クルマ好き各位ならすでによくご存じであろうし、わからないことがあっても、検索すればすぐにおおむね解決する時代だからである。とにかく、ビシッとした走行フィールが堪能できるいい車だ。
これの中古車の約9割はAT車だ。ATが悪いというわけでは決してないのだが、ちょっと古い中古輸入車のオートマチックトランスミッションというのは「買って割とすぐにぶっ壊れる」という可能性を完全に否定することはできない。なおかつ、その際の修理代は(正確にはケース・バイ・ケースだが)50万円ぐらいかかってしまうことも多い。
しかし、この車種において1割ほど流通している6速MT車であれば「ややこしい壊れ方」はしない。仮に壊れたとしても(というかクラッチ板等の交換タイミングになったとしても)、その費用はATをオーバーホールするほどにはかからない。
そしてBMW 3シリーズというのは超メジャーな車種であるため、「いつ頃、どこそこの部品がぶっ壊れることが多い」的な知見が十分に集積されており、なおかつその修理に対応できる非正規ディーラーも多い。正規ディーラーに持っていくとけっこうなカネがかかることも多いが、腕利きの非正規系であれば、割と安めに直してくれる場合が多いのだ。
以上のような意味合いで、先々代BMW 3シリーズのMT車はおすすめなのである。支払総額で130万円前後を見ておけば、なかなか悪くない1台が見つかるだろう。
その2|初代ポルシェ ボクスターのMT車
価格相場:80万円~350万円
世界的なスポーツカーブランドである「ポルシェ」も、中古車であれば現実的な予算で購入できる。特に2シーターオープンスポーツである「ボクスター」の初代モデルであれば、総額180万円前後でけっこう悪くない1台が探せるものだ。
これもポルシェセンター(ポルシェの正規ディーラー)で直そうとすると部品代も工賃もかなり高いわけだが、「街の腕利き専門店」に依頼すれば、比較的安価なOEM部品なども使いながら「国産車よりはもちろん高いけど、決してバカ高いわけではない」ぐらいの予算感で対応してくれる。
この車に使われている「ティプトロニック」というATはやたら頑丈で、距離を走ってもなぜかほとんど壊れないため、初代ボクスターの場合はAT車でもいいのかもしれない。
だがせっかくなので(?)、エンジンが2.7L化された以降の6速MT車が良いのではないかと思う。総額180万円前後で、なかなか悪くない1台が見つかるだろう。
その3|シトロエン DS3のMT車
価格相場:20万円~170万円
総額130万円前後で探せる先々代BMW 3シリーズのMT車も、同180万円前後で探せる初代ポルシェ ボクスターのMT車も、どちらもおすすめである。しかしZ世代各位のなかには「もうちょっと安い、例えば総額100万円以下ぐらいのやつがいいんですけど……?」という方もいらっしゃるだろう。
もちろん、そういった声に対応可能な中古輸入車も数多く存在している。
その一例としては、フランスのシトロエンが作っていた「シトロエン DS3」という、ややスポーティでややプレミアムな5ドアハッチバックがあるだろう。
前衛的なデザインを得意とするシトロエンゆえ、DS3の内外装デザインもなかなかイカしている。「モダンアートのようだ!」と言ってしまうとやや大げさだが、それにちょっと近いニュアンスはある。
で、1.6Lの自然吸気エンジンを搭載していた4速ATのグレードも悪くないのだが、今となっては、「AL4」というそのATにはやや不安もある。そして中期型の「5速ETG」というトランスミッションは、走行時のギクシャク感がちょっと気になる。
しかし「スポーツシック」という、最高出力156psの1.6Lターボエンジンを搭載した6速MTのグレードであれば、中古AT車ならではの不安や不満を感じることなく、その活発な走りと前衛的な内外装デザインを堪能できるのだ。
中古車価格はピンキリだが、支払総額80万円前後のゾーンにて、なかなか悪くない1台が見つかるだろう。
なぜMT車をオススメするのか
筆者からおすすめしたい「はじめてのマイカーとしての中古輸入車」は、おおむね以上のとおりである。「推奨銘柄のすべてがMT車である」という点について、AT限定免許の保有割合が高いと聞くZ世代の各位は不満を覚えるのかもしれない。
そこについては「申し訳ございません」と思うわけだが、同時に「MT車を運転できるようになっちゃえばいいのに……」とも思う。
もはや「時代遅れ」と言っても過言ではないMT車だが、時代遅れであるからこそ、そこには「古典芸能」や「江戸時代から続く伝統技術」にも似た希少価値が生じている。
そういった希少価値を理解し、理解するだけでなく「その運転をすることもできる!」という希少人材になってみるのも、決して悪くない話であると思うからだ。
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みんなのコメント
取り合えず輸入車を楽しみたいなら「迷わず買えよ!」だな。
前ユーザーの使い方が問題なだけでメンテもロクにしてない車は国産も輸入車もカンケーなく不具合が出る。
そこで部品の価格で差が出ると言うのは大きな間違いで、輸入車でもドイツ車なら殆どの部品がOEMで安く出回っている。
寧ろ国産の旧車より細かい部品まで揃ってる。
その辺りも自分で出来るなら買っても損は無い。
激安の輸入車には理由があるんです。