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新型スカイラインは“運転しない歓び”もある!? プロパイロット 2.0体験試乗記

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新型スカイラインは“運転しない歓び”もある!? プロパイロット 2.0体験試乗記

いよいよ人生初の手放し運転だ。河口湖で開かれた試乗会で、日産「スカイラインGT Type SP」(ハイブリッド仕様)に搭載される「プロパイロット 2.0」を試す。

【主要諸元(GT Type SP ハイブリッド)】全長×全幅×全高:4810mm×1820mm×1440mm、ホイールベース:2850mm、車両重量:1840kg、乗車定員:5名、エンジン:3498ccV型6気筒DOHC(306ps/6800rpm、350Nm/5000rpm)+モーター(50kW/290Nm)、トランスミッション:7AT、駆動方式:FR、タイヤサイズ:245/40RF19、価格:604万8000円(OP含まず)。河口湖インターから中央道河口湖線の上り車線に入ると、メーターパネルに「ナビ連動制御中」と表示される。

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手放し運転を可能にする要素のひとつが高精度の3D地図データ。ナビに目的地を入力して出発、高速道路の本線に入ったところでハンズオフ(手放し)が可能になるのだ。

インパネはふたつの液晶パネルで構成される。ナビゲーション用の画面は上段。下段画面はエアコンや車両の各種設定を操作出来る。ハンドルのスポーク部分にある青いプロパイロットスイッチを押す。

まずは通常の追従型クルーズ・コントロールとおなじように、アクセルとブレーキを操作せずとも設定速度で走る。すると、すぐにインパネのハンドル型アイコンが緑から青に変わり、ハンズオフが可能であるのを知らせた。

ステアリング・ホイールはパドルシフト付き。プロパイロット 2.0関連のスウィッチのほか、オーディオ用のスウィッチもある。プロパイロット 2.0のメインスウィッチはブルーのイラスト部分。おそるおそるハンドルから手を放してみるが、ドライバーの疑心暗鬼とは裏腹に、スカイラインは車線の真ん中を粛々と走る。まったくブレない。

前方に緩やかなカーブがあらわれた。一瞬ハンドルを握りそうになったけれど、ガマンする。ちょっと怖いがこれも仕事だ。

ボディは全長×全幅×全高:4810mm×1820mm×1440mm。検知角度の異なるフロントの3眼カメラを含む7個のカメラ映像、5個のレーダー、12個のソナーによって道路の白線、標識、周辺車両を検知する。しかしスカイラインのハンドルさばきは熟練のドライバーのように無駄がなく、緩やかなコーナーをクールにクリアした。安堵と感心が入り混じったため息が出る。正直、こんなにスムーズだとは想像していなかった。

高精度3D地図データは、これからの自動運転のカギを握るもの。自動車メーカーと地図や測量の会社、そして電機メーカーの共同出資で立ち上げたダイナミックマップという企業がデータを作成する。データにはゼンリンによる最新情報がくわわっており、高速道路のコーナーのRや勾配を詳細に把握している。このデータによって、滑らかなハンドルさばきや、コーナー手前での安定したブレーキングが可能になるのだ。

ハンズ・オフ(手放し)状態でも驚くほどスムーズに進む。ただし、作動範囲は法定速度ゆえ、周囲の流れに乗れない場合もある。プロパイロット 2.0作動中の状況は、メーターパネル内のインフォメーション・ディスプレイに表示される。なお、他車の動きも表示される。日産の資料を見ると、東名高速や中央道、東北道など、主要な高速道路のほとんどを地図データはカバーしている。

ただし、トンネルに入るとハンドルのアイコンが青から緑に変わり、ハンドルを握れと指示される。GPSを受信できなくなると、自車の位置を見失ってしまうのだ。

プロパイロット 2.0はガソリン・エンジン+モーターのハイブリッド仕様のみ。ガソリンターボ・エンジン搭載モデルは設定されない。それなりに急なカーブも、見事なハンドルさばきで走行する。トンネルを出ると、再びハンズオフが可能となる。

それにしてもハンドルを握らず、アクセルもブレーキも操作せずに運転席に座っているのは不思議な気分だ。ただし、いつでもハンドルを握れる状態でいないといけないから、スマホに手を伸ばしたりしてはいけない。

また、ドライバーモニターが赤外線カメラの画像で、顔の向きや目の開閉状態を常にチェックしている。よそ見をしたり、居眠りをしたりしていると、注意を促される。それでも反応がないと、最終的には緊急停止するという。

インパネ上に設置された赤外線カメラが、ドライバーの視線を常にチェックする。視線を前方からそらすと、メーターパネル内のインフォメーション・ディスプレイに、危険である旨が表示される。視線を前方からそらし続けると、ハンドルをすぐに握るよう、インフォメーション・ディスプレイ内にイラストが表示される。車線変更もスムーズにアシスト前方に遅いクルマがあらわれた。するとメーターパネル内に、右車線へ誘導する矢印のアイコンがあらわれ、「右に車線変更します」と表示される。ハンドルのスポーク部分に位置する、矢印のアイコンのスイッチを押すと、車線変更の提案に同意したことになる。

ただし、車線変更はハンズオフ状態ではおこなわれず、ハンドルに手を添える必要がある。

車線変更のアシスト機能は、ステアリングに手を添える必要がある。それでも、ウィンカーを出すとハンドルは車線変更をアシストするから、手は軽く添えているだけだ。少なくとも、自分でハンドルを切っているという感覚は薄い。追い越しを終えると、同様のプロセスで元の車線に戻る。

高速道路の出口が近づいてきたところで、インパネに「分岐に向かいます」と表示され、追い越しのときと同じように、出口の車線に入る。

高速道路出口では、料金所の手前まで、ハンドル操作をアシストする。ここでもハンドルに手を添える必要はあるけれど、出口車線のキツいカーブの手前では、自動ブレーキが滑らかに作動して、適切な速度までスピードを落とした。あくまで手は添えているけれど、キツいカーブでのハンドルさばきも完璧で、なるほど、自動運転もそんなに遠くはないと思わされる。

料金所の手前ではインパネのハンドルのアイコンが赤くなり、ここから先は自分で運転することになる。

運転する歓びもある!折り返して、再び河口湖方面へ戻る。ハンズオフは、制限速度までの速度域で作動するので、スカイラインは80km/hで巡航する。平日午後の中央道河口湖線はガラガラで、みんな結構なペースで走っている。片側2車線の左側車線を走っていると、追い越しが必要となる場面はほとんどない。

日産はプロパイロット 2.0をあくまで「同一車線内でハンズオフできる仕組み」だと位置付け、自動運転ではないと主張する。でもトンネル以外はハンドルもアクセルもブレーキもクルマに任せているから、自動運転であると感じる。

インテリア・デザインは、マイナーチェンジ前とほぼおなじである。Boseのサウンド・システム(16スピーカー)はオプション。フロントシートは電動調整式。リアシートはセンターアームレストおよび専用エアコン吹き出し口付き。ハイブリッド・モデルのラゲッジルーム容量は385リッター。9インチのゴルフバッグを4個積める。おもしろいもので、「ハンドルを握らなくても走るんだ!」という興奮は意外と早く醒め、次第に手持ち無沙汰になってくる。ひとりで乗っているから会話もない。つい、スマートフォンに手が伸びそうになり、そのたびに思いとどまる。仕方がないのでラジオのボリュームを上げて気を紛らわせる。

すぐとなりを走るクルマから、フォトグラファーがサムアップし、撮影が終了したことを知らせる。ここからは自由だ!

アクセルペダルを踏み込むと3.5リッターV型6気筒エンジンがシャープに吹け上がる。ハンドルを切ると、スカイラインはしなやかに身を翻して追い越し車線に躍り出た。ここまで気付かなかったけれど、スカイラインはスポーツセダンとして実に魅力的だ。

搭載するハイブリッドユニットは3498ccV型6気筒DOHC(306ps/6800rpm、350Nm/5000rpm)+モーター(50kW/290Nm)。トランスミッションはマニュアルモード付き7AT。アクセル操作に対するレスポンスはいいし、乗り心地のよさと正確なハンドリングからは“いいモノ”感がビンビン伝わってくる。クルマと運転が好きなエンジニアが丁寧に煮詰めたことがわかる……、と、しみじみと味わっていたら、すぐに河口湖インターが見えてきた。試乗終了の時間だ。

もしかすると、渋滞時はプロパイロット 2.0をありがたいと感じるのかもしれない。この手の仕組みが進化すれば、身体の不自由な方やお年寄りが移動の自由を確保することにもつながるわけで、どんどん開発を進めるべきだ。

ただ、告白すれば、ハンズオフを体験しながらつくづく思ったのは、「俺って運転が好きなんだなぁ」ということだった。同時に、イタリアのエンスージアストが「運転を機械に任せるのなら、食事もセックスも機械にやらせればいい」と言っていたのも思い出した。

タイヤサイズは245/40RF19。メーターパネルはアナログタイプ。中央に配されたインフォメーション・ディスプレイに、プロパイロット 2.0の作動状況などが表示される。自動運転が正しい方向なのはよしとして、われわれクルマ好き、運転好きはどうすればいいのでしょうか。そんなモヤモヤとした気分は残るものの、楽ちんさを享受することと、操る楽しさを味わうこと、選択肢がふたつになったのを慶事だと受け止めるべきだろう。

次回は渋滞で乗ってみたい、なんて思うのも、生まれて初めてだ。プロパイロット 2.0は、意外なほど価値ある先進装備だった。

文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.)

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