2024年9月の販売台数を見ると、トヨタルーミー(ダイハツはトール)が1万405台と2位のシエンタ(1万33台)を抑え、久しぶりに1位となった。現行モデルは、2020年9月にマイチェンをした後期型であり、2016年デビューから8年目が経とうとしている。モデル末期にもかかわらずいまだ売れ続けているのはなぜなのか? 次期ルーミー&トールはどうなるのか迫ってみたい。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、CGイラスト(ベストカー編集部が製作したもの)
シエンタの牙城を崩し1位にカムバックした[トヨタルーミー]いまだ売れ続けている理由と次期型のデビューはいつ?
■シエンタを抑えて堂々1位となったルーミー
2024年10月末現在、受注停止中のルーミーだが12月には新法規に対応した一部改良モデルが発売予定。その発売と同時に受注が再開される見込み
2024年9月の新車販売台数ランキングでシエンタを抑えて1位に輝いたトヨタルーミー。ルーミーはダイハツトールと兄弟車の5人乗りコンパクトハイトワゴンである。
自販連の乗用車ブランド通称名別順位では、派生車を含んでおり、ヤリスの場合ヤリスクロス、ノートはノートオーラも含めてカウントされる。そのため自販連の2024年9月のブランド通称名別順位1位はヤリス(1万3047台)、2位カローラ(1万2822台)、3位ノート(1万831台)、ここにルーミーが4位(1万495台)にランクイン。
今回、それらの派生車を含まない単独車種のデータで並べ替えると、ルーミーが実質的な1位となった。兄弟車のトールは1176台、ちなみに最大のライバル、スズキソリオはルーミーの半分以下の4590台だった。
直近3カ月のデータを見ると6月はシエンタが8987台で1位、ルーミーが8117台で2位、7月はシエンタが1万1441台で1位、ルーミーは1万3台で2位、8月はシエンタ 9027台で1位、ルーミーは8058台で2位だった。
トヨタルーミー、ダイハツトールはダイハツが主導して開発が行われた
ルーミーの販売台数は、2020年が約12.2万台、2021年が約13.4万台、2022年が10.9万台、2023年が10.0万台と、毎年10万台超も売れている。まさにあまり目立たないが実はバカ売れしている大ヒット車なのである。
なぜこんなに売れてるのか? 両側スライドドアを備えた全長3.7mほどのルーミーは、最小回転半径4.6mという軽並みの最小回転半径で小回りもいい。そしてなんといっても4人乗りの軽に比べ、5人乗りという点も大きい。
ハッチバックのコンパクトカーよりも頭上空間が広く開放感があり、後席も子育て世代にちょうどいい空間で、使い勝手もいい。収納も多く、ウォークスルーが可能。フリードやセレナじゃなくても充分と感じた。また乗降性のいいフラットフロアは、高齢者の乗り降りに優しい。
気になる衝突安全性についても予防安全機能スマートアシストが全車標準装備、全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロールも搭載しており装備充実。
ルーミーには、助手席グローブボックス上のオープントレイや、センターコンソール下のセンタークラスターポケット、買い物フックなど、座席の周辺に収納スペースが豊富
価格についても売れ筋グレードのGグレード(2WD)で175万円とかなりお買い得に感じる。いっぽう、2列5人乗り、3列7人乗りをラインナップするシエンタは、ガソリン車の5人乗りが199万5200~299万6600円、ハイブリッドの5人乗りが239万~299万6600円と割高感があるため、200万円以下で買えるルーミーのほうが圧倒的にコスパに優れている。気軽に乗れて使い勝手が抜群でコスパがいい、というところが人気の理由だろう。
驚くほど広くてウォークスルーも可能なインテリア。収納も多く、後席に小さな子供を乗せる機会が多い子育て世代には、ベストなコンパクトカー
2024年10月末現在、ルーミーの受注停止が続いているが、2024年12月にはバックモニター義務化、側面衝突時の乗員保護、後面衝突時の乗員保護等に対応した、2024年11月から始まる国土交通省の新保安基準に対応した一部改良が行われる。その一部改良と同時に受注が再開される見込み。
■次期ルーミー&トールはいつ発売?
搭載されるパワーユニットは1.2L、直3+モーターになる可能性が高い。低燃費に期待(ベストカー編集部作成の予想CG)
では、次期ルーミー&トールはどうなるのか?
ダイハツ工業による認証不正を受け、開発や認証に関しては、今後はトヨタが責任を持ち、ダイハツはトヨタから受託して開発を行う体制へ変更となる。ダイハツが小型車開発を行うことはこれまで通りだが、具体的にどのように変わるのか、まだ不透明だ。
現行モデルのパワートレーンは、ダイハツ製の排気量1L、直3エンジンで、WLTCモード燃費はターボ版が16.8km/L、NA版が18.4km/L。ちなみにヤリスは1.5L、直3NAエンジンで21.3km/L、ロッキー/ライズが1.2L、直3、NAエンジンで20.7km/L、現行のロッキーe-スマートハイブリッドは28.0km/Lだから、新型トール&ルーミーに積むことになればそれ以上の燃費になることが期待される。
新型トール&ルーミーのハイブリッドシステムは、トヨタのシリーズパラレル式ハイブリッドではなく、ロッキー&ライズで採用されたシリーズハイブリッド、e-スマートハイブリッド搭載モデルのみとなる。エンジン排気量はロッキー&ライズと同じ1.2Lもしくは1Lのどちらかになるだろう。
新型トール&ルーミーの発売は、ダイハツの認証不正問題の再発防止策として発表された「開発スケジュールを従来比1.4倍とした標準日程を制定」や「法規認証室(試験グループ)の人員を2023年1月比7倍へ増員」ということもあり、急がずにしっかりとしたクルマ作りが行われるだろう。こうしたことを鑑み、早ければ2027年秋頃になると予想。新生ダイハツが作るルーミー&トールに期待して待ちたい。
【画像ギャラリー】なぜ登場から8年経ったモデル末期のルーミーがシエンタより売れてるのか?(5枚)
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酷評が多く盗まれる心配がなくて良かった。