■様々な想いが交差した100周年のル・マン24時間レース…どんなサプライズ発表があった?
2023年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)第4戦「第91回ル・マン24時間レース」がフランスで開催されました。
TOYOTA GAZOO Racing(TGR)はル・マン・24時間の100周年大会で、6連覇に向けて挑みましたが、果たして結果はどうだったのでしょうか。
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2023年6月10日から11日(日)に開催されたル・マン。
100周年という記念すべき節目を迎える今大会は、キャデラック、フェラーリ、プジョー、ポルシェといった最多となる16台のハイパーカーが競い合う中でのレースとなりました。
その中でTGRは、ル・マンで2018年から5連覇を達成しており、今大会での6連覇を目指して挑んだのです。
ル・マンでは、レースが開催される週は「ル・マンウィーク」と言え各場所で様々なコンテンツが用意されています。
今回は100周年大会ということもあり、TGRでもサプライズな発表&展示が相次ぎました。
最初は、日本で5月末に開催された「スーパー耐久 士24時間レース」で世界初公開となった「ミライスポーツ」のサプライズ展示です。
ボディカラーは「GRカローラ」などに使われる「マットスティール」を採用する他、フロントやサイドなどには黒×灰色の「MIRAI SPORT」や「FCEV」のステッカーを付与。
フロントにはスポーティなバンパーデザインを採用、これにより全長が前後で20mm拡大。さらにボンネットやトランクはカーボン素材に置き換わっています。
足元は、21インチホイールに「パイロットスポーツ S 5(245/40R21)」を装着する他、サスペンションなどもスポーティなものに変えることで車高を20mmダウンしています。
担当者について「今回のミライスポーツは、今後クラウンセダンが登場した際にキャラクターの違いを示すひとつの提案として製作しました。お客様の反響によって今後市販化出来るかが変わってきます」と説明していました。
また6月6日には「100周年大会Manufacturers’ Village」において、日本政府観光局、マツダと共に「Japan. Endless Discovery.」出展し、ル・マンへの感謝の意を込めたコンセプトカー「Prius 24h Le Mans Centennial GR Edition」を世界初公開。
これはWEC参戦車両「GR010 HYBRID」からインスパイアされた専用のホイールやエアロパーツなど以下のパーツを装着しています。
●専用エアロパーツによる空力改善、 トラクション向上(サイドスカート、カナード、 大型リヤウイング、リヤディフューザーなど)
●軽量カーボンボンネットフード
●ワイドトレッド化した足回り、 235/50R18インチタイヤに空力向上した専用ホイール
●マルチヘッドランプを追加し、夜間視認性向上
これらにより、優れた走行パフォーマンスを実現するこのコンセプトカーは、今後WEC第5戦「富士6時間耐久レース」の会場などでも展示される予定です。
6月9日には、サルト・サーキットで開催されたプレスカンファレンスで、先日公表された「水素カテゴリーへ燃料電池車両に加え水素エンジン車両の参戦を認める」ことを受け、将来の参戦を見据えた水素エンジン車両のコンセプトカー「GR H2 Racing Concept」が発表されました。
今回、初披露されたGR H2 Racing Conceptは、全長5100mm×全幅2050mmです(全高は未公表)。水素エンジンとハイブリッドシステムを組み合わせて走ることが可能です。
■そして…レース前から色々あったが…最後はみんなに「感動をありがとう」
そして、レースにおいては公式テスト前にハイパーカークラスの「BoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)」が行われたことが大きな話題となりました。
TGRやフェラーリなどは突然の車両重量が引き上げられたのです。
そして6月8日には本番直前の公式テストとトップ8のスターティンググリッドを決定するハイパーポールが行われました。
TGRの2台のGR010 HYBRIDは、それぞれ3番手、5番手グリッドから決勝レースのスタートを切ることになります。
TGRは、これまで5年連続でル・マンを制してきましたが今回は、キャデラック、フェラーリ、プジョー、ポルシェといった最多となる16台のハイパーカーが競い合う中でのレースとなりました。
6月10日には決勝レースがスタート。1周目からアクシデントが頻発、コースの一部が豪雨に見舞われるなど、序盤から荒れた展開となる中、レースの4分の1となる6時間を経過した時点で2台のGR010 HYBRIDは、8号車が着実な走行を続け6位。7号車は、チームメイトから数秒差の7位。
しかし7号車は、スタート8時間後の深夜0時を過ぎたところで不運なアクシデントとして、後続から追突され、修復不能なダメージを負ったため、リタイアを余儀なくされました。
残った8号車は、ル・マンで最後までトップ争いに生き残り、フェラーリとの一騎打ちを繰り広げます。
そして、24時間にわたる長い戦いの末、8号車は優勝したフェラーリ51号車と同一周回、かつ僅か1分21秒793差の2位でチェッカーを受けることとなりました。
ル・マンは残念な結果に終わりましたが、8号車はドライバーズタイトル争いで2位との差を25ポイントに拡大します。
マニュファクチャラーズタイトル争いでは、首位につけるTGRと2位フェラーリとの差は18ポイントに迫ることとなりました。
WEC2023シーズンは残り3戦。次戦はわずか4週間後の7月9日、イタリアのモンツァ6時間です。
※ ※ ※
今回、ル・マン24時間の100周年大会のチケットは即完売となっています。
そして、会場には32万5千人もの大観衆が見守る、最後の最後までドラマティックな展開のバトルが繰り広げられました。
世界中のモータースポーツファンが現地とオンライン中継で注目した100周年大会のル・マン24時間は、経済効果も相当なものだったようです。
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