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豊田章男会長の仲間づくりとエンジニアたちの挑戦に迫る!水素エンジンGRカローラに密着取材した動画が凄すぎた

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豊田章男会長の仲間づくりとエンジニアたちの挑戦に迫る!水素エンジンGRカローラに密着取材した動画が凄すぎた

 水素エンジンGRカローラの2025シーズンが5月30日にスーパー耐久第3戦富士24時間レースで始まる。2021年の初挑戦以来、多くの苦難のなか、一歩一歩課題を解決してきた水素エンジンGRカローラだが、2024シーズンの挑戦を追ったドキュメンタリー動画がトヨタイムズで公開されている。豊田章男会長のロングインタビューもあり、見どころ満載だ!!

文:水素エンジン特別取材班/写真:トヨタ

豊田章男会長の仲間づくりとエンジニアたちの挑戦に迫る!水素エンジンGRカローラに密着取材した動画が凄すぎた

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テストコースでは起こらなかったトラブルが起こるのがレース

未来のトビラが開くと信じて水素エンジンGRカローラは液体水素で挑戦した

 7年もの研究期間を経て2021年、気体水素でレースに参戦した水素エンジンGRカローラ。2023年は気体から液体水素に変えレースに挑んだ。そして2024年、それまで円筒形だった液体水素タンクを楕円形に変え、航続距離を1.5倍に伸ばす挑戦をした。

 水素エンジンプロジェクト統括の伊東直昭エンジニアは、「EV車が台頭する中、エンジンを残したかった。エンジンを作る技術、技術者、そういったものを後世に残したい」と、このプロジェクトを始めた想いを語ってくれた。

 なぜレースに参戦するのか? それは他車がいないテスト走行ではまったく違う現象がマシンに起こるからだ。単独で走るテストとほかのクルマと競うレースとでは車両にかかる負荷が全然違うと言う。

 実際、2024年のスーパー耐久では3つのレースで不具合が生じた。テストでは起こらなかったことだ。本編にもあるが、サーキットを走るレースという環境下ではテストコースでは想像もできなかった負荷がクルマにかかり、さまざまなトラブルが生まれる。

毎戦ごとにトラブルが襲う。それを克服することで、もっといいクルマづくりにつながる

 初戦の富士24時間レースではブレーキシステムの不具合が起きた。これはクルマにかかる負担が大きく、ABSの配線に想像もしていなかった負荷がかかり起こったものだ。

 続くオートポリスは水素ポンプを動かす発電機、オルタネーターに電気を送るワイヤーハーネスのケーブルが断線したためにトラブルが起こった。これもテストコースで行うテストでは起こり得ないトラブルで、限界領域まで攻め込むレースだからこそ、その現象が出たのだ。

 それを一つ一つ、レースという極限の環境の中で対処していくエンジニアやメカニックたち。その技術者たちが悩みながらも答えを見つけていく姿を描き出している。

 レースでのトラブル。それはエンジニアやメカニックにとっては厳しい現実を突き付けられている、ということだ。その日のために何十時間もテストを重ねて、念入りな準備を重ねてきたのに、予期せぬトラブルが発生する。心が打ちのめされる瞬間だ。

 しかし、壊れるということはもっといいクルマになるということでもある。水素エンジンプロジェクト統括の伊東さんは「壊れた部品を一つ一つ潰し込んでいくと、その部品は素晴らしい部品になっていく。それこそクルマのライフサイクルの中で一回も交換しなくてもいい部品になると、作り手もお客様も嬉しいじゃないですか。僕らが最終的に目指すところはそういうところなんです」と語る。

 だからこそ、エンジニア、メカニックは誰一人サーキットで諦めたりはしない。懸命に、コンマ1秒でも早くコースに戻すことだけを考える。そして、1秒でも長く、1mでも多く走ることが、未来のトビラが開くことだと信じて。

 最終戦の富士ではST-5(1500cc以下NAの車両クラス)のガソリン車に勝つために果敢に攻めた。カギとなったのが給水素だった。岩谷産業の給水素チームがこれまでのやり方から、いかに速く、そして多く入れるか、に挑んだ。水素エンジンでもガソリン車に勝てる、ということを証明するために。

 カーボンニュートラルといつか来る水素社会の到来を信じて懸命になっている技術者たちがいる。レースエンジニアの茶谷圭祐さん、車体開発チーフエンジニアの齋藤尚彦さん、液体水素エンジニアの山本亮介さん、給水素を担当する岩谷産業の玉谷亘さん、それぞれの持ち場で未来を信じて水素エンジンGRカローラをレースの現場で走らせている。

豊田章男会長が水素エンジンGRカローラでの挑戦の意味を語る

2024年のスーパー耐久富士24時間ではメーカーの垣根を越えて近藤真彦さんがドライバーに加わった

 その水素エンジンGRカローラに乗る豊田章男会長は、昨シーズンの終わり、ロングインタビューでこう語っている。

「水素=危険、水素=爆発のイメージが、自分が乗ることで水素=未来に少しずつ変わってきた。このプロジェクトには多くの会社が携わっている。青臭い言い方かもしれないが、会社が違い、目的も違う、そういった中でどうやって心を一つにしていくか、 それは現場だからこそ一つになれると思っている」

「ほかのトップにいて私にいないのが部下。ほかのトップにいなくて私にいるのが仲間。ルーキーレーシング、ガズーレーシング、凄腕技能養成部、会社の庶務のドライバー等々、彼らは私が上司だから付き合っているわけではない。いいクルマを作ろうということでは技が必要。技を持った人たちが集合すると大きく変わる。技を持った人たちはお互いをリスペクトする。そのリスペクトがいつしか仲間というものになっていく」。

困難を乗り越え、大歓声の中チェッカーを受ける。エンジニアやメカニックは喜びもつかの間、その場で課題解決に向け、取り組み始める

 さらに豊田章男会長は続ける。

「仲間だと皆役割で仕事をする。部下は肩書きで仕事をする。ルーキーレーシングは役割で仕事しているからエンジニアもメカニックも、豊田章男ではなく、ひとりのドライバーであるモリゾウとして向き合っている。大事にすることが同じだから共感できる」。

「だからこそありがとうと言い合える、互いに助け合い、共に学び合う。その家庭的でプロフェッショナルな関係性が仲間を生み、そして魂を込めたクルマ作りとなる。仲間は現場でしかできない。会社の同じ部署にいても仲間にはなれない。いい時も悪い時も一緒にやっているからこそ仲間になる。会社が違っても同じ現場に入ったら皆仲間。絶対にそう思う」

 豊田章男会長の言葉通り、そこに仲間がいるから、仲間と一緒だからこそ、新しい未来を切り開くことができる。このルーキーレーシング物語3部作を見て水素エンジンGRカローラの挑戦に関心を持ってもらえれば幸いだ。

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文:ベストカーWeb ベストカーWeb
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