伝説として始まり、革新へと至ったスーパーカーたち。1970年代の懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまで紹介していこう。今回は、ロータス ヨーロッパだ。
ロータス ヨーロッパ(LOTUS EUROPA:1966~1975)
1970年代後半の日本で起こったスーパーカーブームは、池沢さとし(現・池沢早人師)氏の連載マンガ「サーキットの狼」が火付け役であったことは間違いない。主人公である風吹裕矢の愛車として登場したのが、ロータス ヨーロッパだった。パフォーマンスや車格から考えると、「ロータス ヨーロッパはスーパーカーとは呼べない!」という意見も一部にはあるが、ブームのきっかけを作った1台として、日本では間違いなくスーパーカーと呼ばれるべきだろう。
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イギリスのスポーツカーメーカー、ロータス カーズがリーズナブルなミッドシップ スポーツカーとして、1966年に発表したのがヨーロッパだ。ロータスとしては、初めてエンジンをミッドシップ搭載した市販車でもある。ロータスのモデルは伝統的に現在まで「E」で始まる車名が付けられており(ロータス セヴンを除く)、車名の綴りは「Europe」ではなく「Europa」となる。これはギリシア神話の王女の名前とか、木星の第二衛星とかいわれているが、その由来ははっきりしない。
ヨーロッパは、ロータス カーズの軽量FRスポーツカーとして人気のあったエランのY字型バックボーンフレームを前後逆にして採用し、シートの後ろにエンジンを搭載するという合理的な構成となっている。パワーユニットは、登場時のS1と1968年にマイナーチェンジされたS2では、ルノー 16用の1.5L 直4 OHVエンジンと4速MTを流用して搭載した。最高出力は82psと非力ながら、FRP製のボディは665kgときわめて軽量のため走りは活発だった。
S1は窓も開かずシートスライドもしないスパルタンなモデルだったが、S2はパワーウインドーも備えた実用的なモデルとなった。それまで生産していたロータス セヴンの後を継ぐモデルとして企画され、軽量かつできる限り廉価であることを目標にして開発されたこともあって、ウイークエンドにモータースポーツを楽しむアマチュアのクラブマンレーサーからも支持される存在となった。
1971年には、ツインカム(TC)に進化する。その名が示すとおり、エンジンはフォード製のブロックに自社製のDOHCヘッドを組み合わせたものを搭載。1.6Lの排気量で最高出力は105psを発生した。1972年になると、SPL(スペシャル)が登場する。大径の吸気バルブを採用し、圧縮比をTCの9.5から10.5にアップして、126ps/15.6kgmのパワースペックとなった。トランスミッションもオプションで5速MTも選べるようになった。
ロータス ヨーロッパはハンドリングの良さと安価なことで人気を呼び、1975年までに9000台以上が生産されるヒット作となったが、快適装備や重くなったエンジンのために車重も増加してしまい、とくにDOHCヘッドで重心が高くなるなど、後期型ではコーナリングマシンとしての美点は薄らいでいた。ちなみに、スーパーカーブームによって日本で人気となったのは、1972年に登場したSPLだった。
ロータス ヨーロッパSPL 主要諸元
●全長×全幅×全高:4000×1640×1090mm
●ホイールベース:2335mm
●車両重量:710kg
●エンジン種類:直4 DOHC
●総排気量:1558cc
●最高出力:126ps/6500rpm
●最大トルク:15.6kgm/5500rpm
●燃料・タンク容量:有鉛ハイオク・57L
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●タイヤサイズ:前175/70HR13、後185/70HR13
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みんなのコメント
心を鷲づかみにされるのがスーパーカー。