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元祖和製高級SUVの魅力とは? レクサス RX試乗記

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元祖和製高級SUVの魅力とは? レクサス RX試乗記

レクサスがアメリカ合衆国で誕生して30周年を迎えた。旗艦「LS400」がレクサスの原点であり、1998年に投入された初代「RX」は、プレミアムSUVのパイオニアになった。

少なくともレクサスは「市場の潜在的要望に応えた」と、自負している。実際、それは「潜在的要望」で、当時、FWD(前輪駆動)セダンのプラットフォームをベースにしたオフロード4×4なんて、おなじトヨタの「RAV4」以外、地球上に存在していなかった。常識にないことをニッポン人はやってのけ、レクサスRXはセダンの快適性とSUVの機能性を融合したクロスオーバーとしてアメリカで大ヒットとなった。

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1998年に登場した初代「RX」。日本ではハリアー名で販売された。2005年、2代目RXではハイブリッドの「RX400h」を送り出し、ラグジュアリー市場にハイブリッド、すなわち環境に対する意識を持ち込んだ新ジャンルのクルマとして注目を集めた。

その後もRXはリモートタッチ式ナビゲーションや予防安全システム「レクサス・セイフティ・システム+」を装備するなど、市場のメイン・プレイヤーであり続けている。とはいえ、現行RXが発売となったのは2015年で、高級SUV市場の競争は激化している。レクサスとしては当然のことながら、つねに先頭に立ち続けたい。そのためにRXにマイナーチェンジが施され、8月末から発売となっている。

【主要諸元(RX450h “F SPORT”)】全長×全幅×全高:4890mm×1895mm×1710mm、ホイールベース:2790mm、車両重量:2060kg、乗車定員:5名、エンジン:3456ccV型6気筒DOHCターボ(262ps/6000rpm、335Nm/4600rpm)+モーター(123kW/335Nm)、トランスミッション:電気式無段変速機、駆動方式:FWD、タイヤサイズ:235/55R20、価格:747万円(OP含まず)。RXって、こんなによかったっけ?エクステリアでは前・後バンパーのデザインが変わった。ヘッドライトのすぐ下にあった丸型ドライビング・ランプがヘッドライト全体をコンパクトにしたような形状になってバンパーの下部に移された。

タイヤサイズは235/55R20。Fスポーツ専用のアルミホイールはダークプレミアムメタリック塗装。さらにスピンドル・グリルの両サイドのダクトが大型化された。これによって重心が低くなり、精悍さが増した印象を個人的には受ける。もっともこれは旧型と新型の画像を見ながら思ったことで、現場での印象は、そう変わらない。あのオリガミのような基本の造形はおなじなのだからして。

でも乗ってみて、「RXって、こんなによかったっけ?」と、驚いた。なにがいいって、操作に対する入力が素直で、タメなくスッと動く。キビキビというのではない。スムーズでエレガントな身のこなしというか、レクサスの全体のコンセプト、「すっきりと奥深い走り」をRXでも実現すべく、ボディ剛性を上げ、新たに採用したダンパーなどが効果を発揮しているのだろう。

駆動方式はFWD(前輪駆動)と電子制御式4WDが選べる。RX450hのパワーユニットは3456ccV型6気筒DOHCターボ(262ps/6000rpm、335Nm/4600rpm)+モーター(123kW/335Nm)。ハイブリッドのトランスミッションは電気式無段変速機。ガソリンモデルは6AT。ボディのスポット溶接の打点と接着剤の範囲を増やして基本骨格を堅牢にしてもいる。基礎がしっかりしているから、リアのスタビライザー径を太くしてロール剛性をアップしたり、ハブ・ベアリングの剛性を高めて車両の応答性を高めたり、といった細かいカイゼンに大きな意味が出てくる。

とりわけ最初に乗ったRX450h “F SPORT”は好印象だった。しなりや微振動を吸収するパフォーマンス・ダンパーがくわえられた結果、ハンドリング特性はよりシャープになっている。ロールを抑制する電動アクティブスタビライザーなんてデバイスも付いていて、どっちが効いているのか、いや、これらの総合によるのだろう、SUVという外観ながら、重心の低いセダンのようにスイスイ走る。

Fスポーツ専用のアルミパーツを各所に使ったインテリア。フロントシートはFスポーツ専用の本革スポーツタイプ(電動調整式)。パドル・シフト付きのステアリング・ホイールもFスポーツ専用デザイン。ヒーター機能も備わる。メーターパネルはFスポーツ専用デザイン。8インチTFT液晶内に速度計および回転計を集約する。インパネ上部のアナログクロックは標準。マークレビンソンのプレミアムサラウンドサウンドシステムは全グレードオプション。インフォテインメント用液晶パネルは、タッチパネル・タイプに変更された。“F SPORT”より若干ロールは大きいけれど、スイスイ走れるということでは、このあと試乗したRX450hLもおなじだ。

タイヤはどちらも235/55R20で、“F ”といえども、RXは快適性重視なのだ。してみると、RX“F”での驚きはむしろ内装で、専用の真っ赤なシートと、銀色に輝くアルミのABCペダルにある、と筆者は思う。試乗車のように、“F”専用のホワイト・カラーだと、赤がいっそうよく映える。

リアシートはリクラニング機構付き。リアシート専用のエアコン吹き出し口は標準。ヒーター機構はオプション。リアシートは充電用USBポート(2個)付き。ラゲッジルーム容量は553リッター。オプションのリアパワーシート装着車は、ラゲッジルーム内にリアバックレストの格納スウィッチ付き。3列シートを特徴とするRX450hLには新たに「セカンドキャプテンシート」がオプションで設定されている。

この種のクルマを選ぶ人にとって、乗車定員は7人から6人へとひとり減るけれど、左右独立でゆったり座れる2列目シートは魅力的なチョイスになるに違いない。

3列仕様のRX450hLのボディは全長×全幅×全高:5000mm×1895mm×1725mm。3列仕様の2列目シートはセカンドキャプテンシートも選べる。3列目シートは、ふたつのポジションから選べる。RX450hLのタイヤサイズは235/55R20。気になるエンジン音新しい仕掛けとして、「ブレードスキャン®︎アダプティブハイビームシステム(AHS)」なる、今後採用車種が増えるはずの世界初システムを採用してもいる。

夜間、ハイビームで走行していても、対向車が来ると、その対向車の光を感知して、自動的にハイビームを切り替えるのがAHSである。ブレードスキャンは、そのAHSの制御を細かくし、対向車にだけ光を当てない。仕組みは、LEDのヘッドランプ内に回転する鏡が仕込まれている。それにLEDの光を反射させて、正面を照らす。照らされる部分を仮に10等分したとして、10分の1ずつ光が鏡の回転でぐるぐる回る。そうすると、残像効果で全部が明るく見える。でもって対向車の光を感知すると、そこの部分だけ鏡の回転に同期して消灯する。そうすると、あーら、不思議、対向車に対してはライトが当たらないのに、ほかの10分の9の部分は明るい。

ようするに、手動でのロービームへの切り替えが不要で、対向車に遠慮することなくハイビームが使える。夜間のドライバーの疲労軽減にも役立つわけである。

RX450h(FWDモデル)のJC08モード燃費は18.8km/L。オートハイビームなどのスウィッチはメーターパネル横にある。通常グレードのメーターパネルは2眼タイプ。最後に、個人的な感想をひとつだけ。あのエンジン音はもうちょっとどうにかならないものか。快音を轟かせるレクサス「IS350」のように、とまでは言わない。レクサスなのに、まわすとボーボー、トヨタの4気筒みたいなサウンドが、控えめとはいえ、聞こえてくる。

3.5リッターV型6気筒+電気モーターの扱い方が間違っている、と指摘されれば、ごもっとも。いまどき、エンジンは起こさないように、そーっとドライブすべきである。アクセルは踏み込んではいけない。RX450hはそれで十分速い。

ないものをねだって、どうする。反省。あるものを見よう。とりわけ長所を。そう。カムリのように静かで快適で、カムリでは得られない、広々としたヘッドルームと使い勝手のよいワゴン・ボディ。最低地上高が高くて見晴らしがよく、4WDも選べる。内外装のクオリティも高い。

RXが、SUV市場で人気を集めるのも納得である。

文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)

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