トヨタ クラウン(セダン) 「クラウンならではの威厳を感じさせる4ドアセダン」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

一条 孝
一条 孝(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
4
走行性能
5
乗り心地
5
積載性
4
燃費
4
価格
3

クラウンならではの威厳を感じさせる4ドアセダン

2024.4.29

年式
2023年11月〜モデル
総評
16代目クラウンシリーズの中において、先代のパッケージングを受け継ぐのがクラウンセダン。FR系のプラットフォーム「GA-L」を採用する唯一の後輪駆動モデルだ。セダンはボディがもっとも大きく、全長は5mをオーバーし、ホイールベースについてもMIRAIより80mm長い3000mmもある。フォーマルなセダンを求めるユーザーにとってはクラウンクロスオーバーよりもセダンのほうがしっくりと来るのではなかろうか。
満足している点
新しさを感じさせながらフォーマルな装いを見せるスタイリングはトヨタのフラッグシップサルーンにふさわしい仕上がり。これまではMIRAIだけだった水素を用いた燃料電池がクラウンシリーズで選べるようになったのも、今後FCEVに乗ってみようと考えているユーザーにとっては朗報だろう。
不満な点
ボディサイズがクラウンシリーズでもっとも大きく、全長は5mをオーバーし、全幅も1890mmと先代クラウンよりもひとまわり大きい。スタイリングについてもMIRAIとさほど変わらないフォルムだったことも気になる。クラウンスポーツのようなスタイリングでFCEVが出せればMIRAIと棲み分けが出来るのだが……。
デザイン

4

縦基調パターンの大型台形グリルを採用するのがセダン。鋭さを感じさせるマスクでありながら落ち着きのあるフロントマスクが印象的。リヤは横一文字のリヤコンビランプが特徴的だ。先代のなだらかなクーペスタイルを受け継ぐものの、エクステリアデザインに歴代クラウンの面影はない。新生クラウンとして見ればこれはこれでありだとは思うが、日本の道路&駐車事情ではちょっと大きすぎるのでは?
走行性能

5

主力のクロスオーバーが前輪駆動ベースの「GA-K」プラットフォームを用いてるのに対し、セダンは後輪駆動の「GA-L」プラットフォーム。これはMIRAIがレクサスLSと共通であり、シリーズでは唯一のFRモデルとなる。ハイブリッドは新開発となる「マルチステージハイブリッド」を採用。2.5Lエンジンと2つのモーターを組み合わせ、システム最高出力は245馬力を実現。電気式CVTに4段ギヤの組み合わせでレスポンスにすぐれ、あらゆるシーンでスムーズかつストレスのない走りが確かめられる。もうひとつのFCEVは電気自動車と同レベルの滑らかさと静粛性を確保しており、ハイブリッドよりもさらに上質な乗り味を実現している。
乗り心地

5

サスペンションは4輪マルチリンク式で、全モデルに減衰力を可変するAVSが装着される。モードに応じて乗り味を変化させることが出来るが、ユニークなのは後席の乗り心地を重視した「リヤコンフォート」モードが備わっていること。リヤダンパーの減衰力を低めにすることで後席の乗り心地を向上させるというが、「ノーマル」や「エコ」でも十分に快適だ。後席はゆったりとした広さが確保されており、電動リクライニング機構や降車時のリクライニングサポート機能も装備されている。
積載性

4

トランクは独立タイプでハイブリッドは450L、FCEVが400Lの容量を確保。9.5インチのゴルフバッグはハイブリッドが3つ、FCEVは2つ積載可能。ハンズフリーパワートランクリッドは両モデルに標準装備となる。
燃費

4

2.5Lエンジンをベースとするマルチステージハイブリッド搭載モデルのWLTCモード燃費は18.0km/L。実用燃費としてはもう少し下がるものの、2トンを超える大型のサルーンとしては納得できるところ。FCEVは1回あたり約3分の水素充填で約820kmの走行が可能となっている。この数値は148km/kg時のもので、高速+一般道で試した際の数値は110km/kgだったことから、実際は走り方によって変わるものの500km前後といったところか。航続距離の長さと充填時間の短さではBEVを圧倒する。
価格

3

クラウンシリーズではもっとも高価なモデルとなり、FCEVは800万円をオーバーする。購入時は補助金が出るので実際はハイブリッド(730万円)よりも安価になるが、使用場所近くに水素充填スタンドがなければ不便。出掛ける機会が多く、後席に人を乗せる機会があるなら、ハイブリッドが無難な選択肢か。
一条 孝
一条 孝
自動車ジャーナリスト
自動車専門誌の編集&ライターとして活動後、自動車ジャーナリストとして専門誌やWeb、タブロイド紙などに寄稿。運転する楽しさを追求するとともに、環境性能やパッケージングにもこだわりを持つ。これまで保有した車の大半はFRレイアウトのマニュアル車。日本自動車ジャーナリスト協会会員
トヨタ クラウン(セダン) 新型・現行モデル

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