スズキ カプチーノ 「バブル景気で生まれた奇跡のスポーツカー」のユーザーレビュー

バブル景気で生まれた奇跡のスポーツカー

2021.3.17

総評

軽自動車という概念を超えたマイクロスポーツカー。出力的には小さいし、そのディメンジョンから来る非快適性は否定できないが、頑張らないと上手く走れないことが「乗りこなし感」を与えてくれる。運転がスポーツなんだと思わせてくれるので、走る楽しさを学ぶのに最適なクルマのの一つ。こういうプリミティブなクルマの魅力を知ることが少ない現代の若い人たちは可哀想に思えてしまう。（余計なお世話）

満足している点

運転を楽しむ目的ならこのクルマがあれば殆どのことが満たされる。安い維持費、安いパーツ、贅沢な基本設計、シンプルな構成、弄る余地がある良い意味で隙の多いクルマ。自分の手足のように感じられるサイズ感。この魅力を知ると、多くのユーザーは離れられない。離れてしまったとしても記憶は残り続ける。名車の一つとしてカウントして良いクルマ。

不満な点

強いて言えば、サービスが行き届かないことが多いスズキのディーラーが扱っている（た）、ということか。（ごめんなさい。地元の複数のスズキディーラーに対する個人の感想です。）

デザイン

5

ロングノーズ、ショートデッキという古典的なデザイン。シンプルなので様々なカスタマイズも受け入れられる素晴らしいデザイン。カプチーノという名前だが、イギリス車風の小生意気なデザインは男性でも女性でも良く似合う。

走行性能

5

一言で言って「軽さは正義」。峠の下りではどんな人でもかなり速いペースで走ることができ、タイトコーナーでは誰でも「無敵」感を感じられる。コーナーリング性能以外は限界値は高くないが、「これがショートホイールベースの挙動なんだ」等、自分の手足の感覚で捉えられるので、個人的には「人馬一体感」を越える「身体拡張感」が得られる程よい性能と言える。

乗り心地

4

正直、若くないとカプチーノでグランドツーリングは厳しい。無意識に挙動の微調整をしてしまうし、体感速度も普通車の2〜3割増。乗っている間は緊張感が高いので気が付かないが、高速道路でのロングドライブなどでは気が付かないうちに疲労感が蓄積するので、降りた途端、どっと疲れが出ることが多い。

積載性

2

同時代の同カテゴリーのビート、AZ-1と比べると、荷物は載せられる。オープンにしているとトランクが埋まってしまうので、トランクキャリアは必須。

燃費

2

街乗り12km/l、高速で18km/l、峠攻めまくりで7km/lくらい。庶民の味方のスポーツカー。

価格

5

新車価格は当時のユーノスロードスターより安い！って感じで新卒サラリーマンの味方？あるいは庶民の趣味のセカンドカーの夢が叶えられる価格。今の中古車市場ではピンキリで高いものは相変わらず100万オーバー。ただ、事故車の場合はすぐに歪が分かるので、（Aピラー下、ボンネットとフロントシールドの間あたり）変な事故車を高値で掴まされることは少ないと思われる。

故障経験

故障というより、持病として、多めのオイルにじみ、2,3速のシンクロの脆弱性、サイドブレーキの引きずり、クラッチリリースのグリス切れ、いろいろなところの錆びるネジ、等々あるが、ユーザーが安価に「弄る」ことで対処できるものが多く、基本的に「この部分の不満点をカスタマイズする」という正しい向き合い方ができるので、あまりネガティブな印象はない。逆に、メンテに無頓着な人には耐え難いことが多いと思われる。