2024年2月
■2024年2月
ポルシェジャパンは、フル電動スポーツカーの「タイカン」を大幅改良して、2024年2月7日に発売した。
今回の大幅改良では、広範囲にわたりアップグレード。ベーシックモデルのタイカンの0-100km/h加速は従来モデルより0.6秒速い4.8秒という。また、スポーツクロノパッケージの新しい「プッシュトゥパス」機能を使用すると、ボタンに触れるだけでモデルに応じて最大70kWのブーストを10秒間利用することが可能。加速の向上は主にシステム出力の増加によるもので、タイカンの出力は従来よりも60kW向上しており、タイカンターボSではさらに140kWのローンチコントロールが追加され、トップモデルのシステム出力は700kW(952PS)に増加している。ボディタイプとエンジンに応じて、航続距離は35%アップの175km増加して、最大678km(WLTP)と公表されている。
性能と効率の同時向上は、従来モデルの出力を最大80kW上回る新しいリアアクスルモーター、ソフトウェアを最適化した改良型パルスインバーター、より強力なバッテリー、サーマルマネジメントの改良、次世代ヒートポンプ、改良型回生および4WDストラテジーなど複数の要因による。高速から減速する際の最大回生性能は、従来モデルの290kWから400kWへと30%以上向上した。また、充電速度も向上し、パフォーマンスバッテリープラスの総容量は従来モデルの93kWhから105kWhに増加している。
足回りでは、エントリーモデルのタイカンにもアダプティブエアサスペンションとアルミニウム製ドアエントリーガードを標準装備。4WDモデルには、ホイールの荷重をバランスよく配分することで、路面とのほぼ完璧な接続性を実現したと謳う新しいポルシェアクティブライドサスペンションをオプションで設定した。
装備面は、アンビエント照明やフロントシートヒーター、ポルシェインテリジェントレンジマネージャー(PIRM)、ワイヤレス充電式スマートフォントレー、運転席側および助手席側電気充電ポート、ドライブモードスイッチ、パワーステアリングプラスなどを標準で装備。また日本仕様車では、タイカン4Sにパフォーマンスバッテリープラスが標準で搭載される。
デザイン面においては、内外装ともにリニューアル。エクステリアでは、新型のヘッドライトとテールライトを備えた新しいフロントエンドとリアエンドを採用した。またフロントフェンダーとフラットなヘッドライトは、ワイド感を強調するデザインに変更されている。高解像度HDマトリックス技術を導入した新しいヘッドライトは、ポルシェ特有の4灯のグラフィックで照射。リアライトストリップのポルシェロゴは、立体的なガラスルックのデザインを採用し、初装備のイルミネーテッド仕様は、乗車時と発進時のアニメーションが特長だ。その他、ターボとターボSは内外装ともにターボナイトをアクセントカラーにすることで、ほかのモデルとの違いを際立たせている。
インテリアでは、インストルメントクラスターやセンターディスプレイ、オプションの助手席側ディスプレイは、機能を追加して最適化されたユーザーインターフェースを装備。ステアリングホイールのモードスイッチは標準で装備した。スポーツクロノパッケージとパフォーマンスバッテリープラスを搭載したモデルは、モードスイッチに専用のプッシュトゥパスボタンを備えている。
ステアリングホイールの左側後方にあるコントロールレバーを使用すると、ドライバーアシスタンスシステムをより直感的に操作することができる。Apple CarPlayは、車両のディスプレイと機能にさらに完全に統合。新しい車載ビデオ機能により、センターディスプレイと助手席側ディスプレイでのビデオストリーミングも可能だという。
■2024年3月
ポルシェジャパンは、フル電動スポーツカーの「タイカン」に「ターボGT」と「ターボGTヴァイザッハパッケージ」を設定して、2024年3月11日に発売した。
今回ラインアップに追加された「ターボGT」と「ターボGTヴァイザッハパッケージ」は、タイカンのパフォーマンスを次のレベルに引き上げると謳われる新しいスポーツフラッグシップモデルだ。いずれもシステム最高出力580kW(789PS)を発生し、ローンチコントロール使用時は最高出力760kW(1034PS)、最大トルク1340Nmと公表されている。0~100km/h加速は既存のターボSより0.1~0.2秒速く「ターボGT」が2.3秒、「ターボGTヴァイザッハパッケージ」は2.2秒。さらに、0~200km/h加速は「ターボGT」が6.6秒、「ターボGTヴァイザッハパッケージ」は6.4秒で、ターボSより最大1.3秒速くなるという。最高速度は「ターボGT」が290km/h、「ターボGTヴァイザッハパッケージ」が305km/h。
電動モーターを制御するための重要なコンポーネントであるパルスインバーターは、効率を高めるために半導体材料として炭化ケイ素を使用。さらに変速比とギアボックスの堅牢性も改善され、ターボGTの航続距離は最大555km(WLTP)という。
装備面では、Bピラートリムやドアミラーのアッパーシェル、サイドスカートのインレイなど数多くのカーボンパーツを採用して、ターボSとの比較でターボGTを最大75kg軽量化。さらに、CFRP製のフルバケットシートや軽量ラゲッジコンパートメント、テールゲートの電動ソフトクローズ機能を削除して、軽量化を図っている。
その他、GT専用チューニングを施したポルシェアクティブライドサスペンションやスペシャルパフォーマンスサマータイヤと21インチ軽量鍛造ホイールをまとめたダイナミクスパッケージを標準で装備。また標準装備の軽量セラミックブレーキはポルシェセラミックコンポジットブレーキ(PCCB)をベースにしたシステムで、ブレーキディスクチャンバーとブレーキキャリパーハウジングの設計変更により、2kg以上の軽量化が図られている。
エクステリアでは、エアロブレード付きフロントスポイラーをターボGT専用に開発。マトリックスLEDヘッドライトは標準装備で、オプション(追加料金なし)でHDマトリックスLEDヘッドライトにアップグレードすることができる。「ターボGTヴァイザッハパッケージ」はアンダーボディのエアディフレクターエレメントと新しいフロントディフューザーが追加されるとともに、ウイングサポートを固定したカーボン織仕上げの固定式リアウイングを備えている。
インテリアには、Race-Texとブラックレザーのトリムやカーボン織り仕上げ(ハイグロス)の軽量フルバケットシートを標準装。フロントアダプティブスポーツシートプラス(18way電動調整機能とメモリーパッケージ付)をオプション(追加料金なし)で設定した。また、フロントヘッドレストには“Turbo GT”ロゴが刺繍され、クライメートコントロールパネルの下には各モデルのロゴ入りバッジをあしらっている。
こうしたターボGTをベースに、サーキット走行に特化した「ターボGTヴァイザッハパッケージ」では、パワーウェイトレシオをさらに向上させるためにリアシートを廃し、代わりに収納コンパートメントを備えたテーラーメイド高品質軽量カーボンクラッディングを装備。また、通常はメーターパネルに装備されるスポーツクロノパッケージのアナログ時計や、フットマットとトランクマットも削除され、断熱材の使用量も低減。さらに、リアスピーカー無しのサウンドパッケージプラスがBOSEサラウンドサウンドシステムの代わりに装備される。サーキット走行に必要のない装備をすべて取り外すことで、ターボGTより約70kg軽量化したという。
ボディカラーは、新色のペールブルーメタリックとパープルスカイメタリックを含む全6色を設定。新色の2色は1年間タイカンターボGT専用となる。