新エンジン搭載。ヴォーグ&ディスコ4に試乗!
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:中野 英幸
先々代までのレンジローバーは最高のステータスをもつプレミアムSUVである一方、「見る人が見ればわかる」というアンダーステートメントなプレミアムカーだった。その点、レンジローバーヴォーグは、見る者のハートを瞬時に射抜くようなギラギラした迫力が漂っている。すでに成し遂げてしまった人が豊かな人生を送るためにチョイスするのが以前のレンジローバーだったとすれば、レンジローバーヴォーグは、もっと頑張ってさらに大きな成功を成し遂げようとしている人に似合う。
とはいえ、最新のレンジローバーにも伝統が強く息づいている。ドアを開けると、まずは上質なレザーをふんだんに使ったラグジュアリーなインテリアにため息が出る。次いで素晴らしい仕上げのシートに身体を預けると、背筋と首筋が気持ちよくスッと伸び、視界のよさに驚かされる。ドア側にグッと寄せて取り付けたシートは、側方直近の視界確保という機能を追った結果である。ランドローバーが「コマンド・ドライビングポジション」と呼ぶこの独特のポジションは、もちろんタフなオフロード走行を意識したものだが、両端を少し高くしたスクエアなボンネット形状による車両感覚の掴みやすさと相まって、都会でもその大柄なサイズからはちょっと想像できないほどに優秀な取り回し性を発揮する。
可変システムを組み込んだ足回りは比較的引き締まっている。そこにグリップの高い20インチタイヤを組み合わせた結果、ステアリング操作に嬉々として反応するスポーティな身のこなしを実現している。高速道路で少し速めのレーンチェンジをしてみれば、レンジローバーヴォーグがいかに俊敏なフットワークの持ち主かを実感できるだろう。フロントがスッと動くと同時にリアがすぐさま追従し、レーンチェンジが気持ちよく決まる。それでいて、高級セダンの評価基準を当てはめても納得できる乗り心地をもっているのだから恐れ入る。
5リッターV8+スーパーチャージャーは低中回転域から沸き上がる太いトルクで重量級ボディを軽々と加速させていくが、先代と大きく異なるのがトップエンドまで引っ張ったときのパンチ力だ。状況さえ許せば、この巨体をあっという間に200キロオーバーの世界まで連れて行ってくれるのだから、まったくもって空恐ろしいばかりの動力性能である。
見た目、乗り味、ブランド力…プレミアムSUV界の王者としての地位は、今回のモデルチェンジでさらに確固たるものになった。
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