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【重視すべきはメンテナンス履歴】BMW E92型M3の中古車 日常に潤いを セダンは希少な存在

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【重視すべきはメンテナンス履歴】BMW E92型M3の中古車 日常に潤いを セダンは希少な存在

メンテナンスが重要

B級路の暴れん坊というよりも高速エクスプレスというのが、2007年から2013年に現役を務めたE92世代のM3クーペに対する英国版AUTOCARの評価だった(当時M3にはE90セダンとE93コンバーチブルも存在していた)。

【画像】BMW M3中古車バイヤーズガイド 全7枚

420psを発揮する4.0L V8エンジンは十分な刺激を感じさせたが、同時に燃費性能とリア駆動というレイアウトがもたらす限界性能に懸念を抱いたのも事実だ。

だが、われわれは高い洗練性とともに、ありきたりな日常に潤いをもたらすことの出来るその能力を称賛していたのであり、コンディション良好な個体であれば、いまでもこのクルマは毎日のドライビングで見事な喜びを感じさせてくれるだろう。

そして、ここで言う「良好」とは、メーカー指定のオイルとプラグ、フィルター、その他油脂類を使い、指定されたスケジュールどおりにメンテナンスが行われていたことが確認出来る車両であることを意味している。

古いオイルやオイルレベル低下(このクルマにはオイルゲージが装備されていないため、ディスプレーに表示される情報を信じるしかない)が原因とされる、コンロッドベアリングの破損に見舞われたケースは想像以上に多発しているのだ。

なかには保証のためだけであり、過剰だという専門家もいるが、1600kmの慣らし運転が行われたことも確認が必要だろう。

DCTには十分な信頼性

新車当時5万1000ポンドのプライスタグを掲げていたクーペの場合、現在の中古車価格は1万2000ポンド(170万円)程度からスタートしている。

2007年のデビュー当時、6速マニュアルギアボックスと可変式Mディフェレンシャルロック、ダイナミック・スタビリティーコントロール、さらには3つのエンジンモード選択が標準で装備されており、電子制御式可変ダンピング(EDC)はオプションだった。

同じく、7速デュアルクラッチ・オートマティックトランスミッション(DCT)もオプション扱いとなっていた。

BMWがこの新型ギアボックスを導入したのはこのクルマが初めてだったが、十分な信頼性を持つことが証明されており、ドライブロジックを使えば、ドライバーは好みのシフトチェンジを選択することが出来た。

純粋主義者の好みではなかったようだが、DCTは大変な人気を博すとともに、燃費性能に優れ、率直に言ってよりドライビングを楽しむことも可能だった。

初期型車両の場合、2008年に行われたこのギアボックスに対するリコール作業が行われていることを確認したほうが良いだろう。

カーボンファイバーによって強度を増した樹脂製ルーフを備えたクーペモデルのほうが、2008年にサルーンモデルとともに登場したコンバーチブルよりも軽量だった。

スペシャルモデル 人気はいまも衰えず

つまり、このソフトトップモデルは十分な力強さを発揮するエンジンに十分な強度を持つボディを組み合わせてはいたものの、クーペとセダンほどのシャープさは備えていなかったということだ。

現在では、同じくカーボンファイバー製ルーフを備えたセダンモデルは非常に希少な存在となっており、クーペやコンバーチブルよりも高い実用性と、より良いコンディションという魅力をも備えている。

2008年下期登録で、走行距離10万3000kmではあるものの、「良好」なディーラーによるメンテナンス記録を備えたM3セダンを1万4950ポンド(212万円)で発見している。

2009年、クーペモデルは10mm車高を下げるとともに、新たなインテリアとボディカラーが導入されている。

続いて2010年には、EDCとDSCのセッティングを変更したコンペティション・パッケージ登場しており、同年後半には450psを発揮する4.4L V8エンジンを積んだGTSクーペが発売されている。

GTSクーペは瞬く間に完売しており、現在では大変な高値が付いているモデルだ。

2012年にはE92世代のM3の最後を飾るモデルとしてリミテッド・エディションと、車高を下げたMパフォーマンス・エディションが登場しており、その人気はいまも衰えていない。

フェイスリフト

ヘッドライトとLED式テールランプの変更、インテリアの改良が行われている。

BMW M3(E92)の中古車 購入時の注意点

エンジン

コンロッドエンドメタルの破損が報告されている。走行距離には関係なく、破損する前に交換するしかないが、そのためには1500ポンド(21万2000円)が必要となる。オイル交換不足が原因で発生することもあるようだ。

スロットルレスポンスの悪化はスロットルアクチュエーターが、不安定なアイドリングはイグニッションコイルが、加速にムラがある場合はインジェクターの故障が疑われる。

オイルレベルの確認はiDriveで行う。

トランスミッション

マニュアルでもDCTでもギアボックスそのものは丈夫だが、iDriveにトランスミッションとディフェレンシャルを酷使した記録が残っている場合、ハードに扱われた車両の可能性があり、すべての機能が完全であることを確認しておいた方がいいだろう。

DCTはメンテナンス不要とされているが、9万7000kmでのオイルとフィルター交換は決して害にはならない。

樹脂製オイルパンは時間の経過とともに脆くなり、オイル漏れが発生する。オイルとオイルパンの交換費用はおよそ500ポンド(7万1000円)だ。

サスペンションとブレーキ

オプションのEDCダンパーが装着されている場合、オイル漏れがないか確認しよう。

M3は決して軽量とは言えないモデルであり、路面不整を通過すればブッシュの摩耗や緩みが明らかとなる。

リアブレーキのピストンが固着していないか、タイヤに偏摩耗が発生していないかチェックが必要だ。

フルに調整可能なサスペンションのジオメトリーチェックの費用も考えておく必要がある。

ボディワーク

錆が発生している場合、事故の補修跡である可能性が高い。

フェンダーの取付けボルトの新しい塗装跡や、トランクカーペット下の座屈、ヘッドライト内への水分進入(ますます多くなっている)がないか確認しよう。

インテリア

すべてのモードとドライバーアシスト(スロットルレスポンスとステアリング、ギアシフト、EDCダンパー・コントロール、トラクション・コントロール)が正常に作動することを確認しよう。

メインのセッティングを確認することで、前オーナーのドライビングスタイルが分かる。

専門家の意見を聞いてみる

ジャグス・バムラ(BMSPORT創業者)

「クーペやコンバーチブルよりもセダンが好みです。実用的であるとともに控え目だからですが、いずれも高い信頼性を誇るモデルです」

「ギアボックスからのオイル漏れや、スロットルアクチュエーターの故障は時々見られますが、それ以外は十分な耐久性を備えています。不具合を抱えているような車両の多くが、週末ごとに徹底的な洗車を行うなど、過保護に扱われてきた個体であり、あまり洗車などされていないような車両の方がお勧めです」

「エンジンオイルとその他油脂類の交換を行っていれば十分です。もしモディファイするとすればスーパースプリントなどの、より力強いサウンドが楽しめるエグゾーストへの交換程度でしょう。パフォーマンス向上を狙ってエンジンのリマッピングを検討するのも良いかも知れません」

知っておくべきこと

初期のモデルではダッシュボードに設置されたインフォメーション・センターで、後期の車両ではiDriveによって、エンジンオイルやブレーキパッド、ブレーキオイル、キャビンのマイクロフィルターのメンテナンス履歴を確認することができる。

キーにもメンテナンス履歴が記憶されており、イグニッションに差し込めば、これまでの実績とともに、今後必要となる作業をチェック可能だ。

いくら払うべき?

1万2500~1万3999ポンド(177万~198万円)

平均的かそれ以上の走行距離を重ねた、コンディションも千差万別な初期のクーペとカブリオレが候補となる。

履歴のハッキリとした走行距離16万km、2007年モデルのクーペを1万2750ポンド(180万円)で発見することが出来た。

1万4000~1万5999ポンド(199万~226万円)

2009年登録までのより走行距離が少なく、数多くのオプションを装着した履歴のハッキリとした車両を手に入れることができる。

1万6000ポンド~1万8499ポンド(227万~261万円)

より状態が良く走行距離も少ない車両が候補となる。

多くがディーラーによる完ぺきなメンテナンス履歴を備えた2010年登録までの車両だ。

1万8500ポンド~2万999ポンド(262万~297万円)

走行距離8万km程度の2009年から2011年登録の車両を見つけることが出来る。

2万1000~2万3999ポンド(298万~339万円)

低走行の2011年と2012年登録車両を手に入れることができる。

2万4000~2万9999ポンド(340万~425万円)

2013年登録の最終モデルが候補となる。

掘り出し物を発見

BMW M3 4.0 V8クーペ、2008年前期登録、走行距離9万3000km、1万3995ポンド(198万円)
大型ディーラーと専門ガレージで行われたメンテナンス記録の揃った「非常に状態の良好」なマニュアルのクーペモデルだ。

非常に重要な最初のメンテナンスもしっかりと行われた車両であり、ブラックのボディにオプションのレッドフォックスのレザーインテリアを組み合わせている。

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