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アルファ・ロメオ・ステルヴィオTi マイナーチェンジ SUV随一の走りの良さ

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アルファ・ロメオ・ステルヴィオTi マイナーチェンジ SUV随一の走りの良さ

エンジンのラインナップに変更はなし

text:Tom Morgan(トム・モーガン)

【画像】ステルヴィオとライバルX3 全88枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


アルファ・ロメオとして初めてのSUVがステルヴィオ。現在販売されているSUVの中で最も活力に溢れたモデルでもあり、販売面で強力にブランドをサポートしている。

アルファ・ロメオ・ジュリアと並んで、ブランド・イメージの好転に結びつけたクルマだ。だが競争の激しいカテゴリーにおいて、ステルヴィオには改善の余地が残されていたことは、メーカーとしても認めていた。

今回のマイナーチェンジで焦点が当てられたのは、ショールームに来た人が最も気にする部分の1つ。クルマとしての品質だ。アルファ・ロメオから品質と聞くと、驚くのは筆者だけだろうか。

2017年にステルヴィオをロードテストした際、インテリアデザインは「第一印象は感動するほどにスタイリッシュ」 なものだったが、よく観察すると質感や組み立ての品質でがっかりしたのだった。

それ以外の部分での変更はほぼない。エンジンのラインナップは、2.0Lガソリンと2.2Lディーゼルを変わらず用意。クアドリフォリオには2.9LのV6エンジンが搭載されるが、2020年半ばまでは継続。電動化技術の採用はFCAグループの中では遅れを取ったのか、今回は間に合わなかったようだ。

今回試乗したのはディーゼルエンジンの最強板、210psのTiで、8速ATと組み合わされる。駆動方式はアルファ・ロメオ伝統のQ4と呼ばれる4輪駆動システムを採用する。

インテリアのレイアウトは不変でも質感は改善

マイナーチェンジに合わせてトリムグレードは簡略化。スーパーとスプリント、Ti、ヴェローチェの4種類となった。スポーティなグレードのエンブレムはブラックになり、それ以外はシルバーに塗り分けられる。

Tiの場合、サイドスカートやフェンダーカバー、リアバンパーの下部はブラック仕上げとなる。1980年代のアルファ・ロメオ164を思い返す読者もいるだろうか。一方でスプリントとヴェローチェは、ボディと同色仕上げだ。

大幅に改良を受けた、と聞いて期待しながらステルヴィオの車内に入ると、少し肩透かし。マイナーチェンジ前の構造を生かした範囲での変更に留まっている。全体的な素材の質感はしっかり向上しているものの、基本的なレイアウトに変わりはない。

だが、安っぽいプラスティック製パーツは姿を消している。センターコンソールは見た目も触感もプレミアムさが漂う、光沢のある仕上げに生まれ変わった。センターアームレスト下の小物入れは大きくなり、スマートフォンのワイヤレス充電機能が追加されている。

インフォテイメント・システムのロータリースイッチも、安物感は払拭。過度な光沢が抑えられ、回転もスムーズになっている。その側には赤、白、緑のイタリアン・トリコロールのエンブレムが配され、ブランドの歴史の長さを表現しているのだろう。

シフトノブはレザー巻きとなり、操作感も良好。ステアリングホイールには、こちらも質感の良いアルミニウム製のシフトパドルが付いているから、シフトノブを操作する機会は少ないかもしれない。

インフォテイメント・システムは大幅に更新

ダッシュボードの中央には8.8インチのインフォテイメント・システム用モニターが収まる。サイズは従来のままだが、タッチモニターとなった。

インターフェイス・デザインは大きくアップデートされ、ウィジェットを選ぶようにカスタマイズ可能になった点は高評価。ホーム画面で最も利用機会の多い機能を選んで表示できる。

グラフィックも最新のものとなり、操作もわかりやすい。ロータリースイッチでの操作性も優れている。アップル・カープレイとアンドロイド・オートも利用が可能。クルマの標準システムが飛躍的に良くなったから、スマートフォンとつなぐ必要性を感じないドライバーもいるかもしれない。

ドライバーの正面、メーターパネルの変更は小さい。アナログメーターを挟むように、小さめのモニターが収まる。アウディやBMW、ジャガーなどはフルモニターに移行しているから、少し出遅れ感はある。レウアウトは更新されており、最新の運転支援システムにも対応する。

アダプティブ・クルーズコントロールやレーンキープアシストを搭載し、このクラスとしてはライバルと同水準にまで向上。イタリアの試乗コースで試したが、レーンキープアシストは少々可能反応気味に思えた。

4気筒ディーゼルエンジンは不満のない動力性能を発揮。3500rpmも回せばほぼすべてがまかなえる。ドライビングモードは3種類が用意され、いずれも8速ATの変速フィールは好印象。

エンジンの回転フィールは最上級の上質さではない。それでも高速巡航中のノイズは最小限に抑えられている。

SUVでも運転を楽しみたいなら

ステルヴィオは従来どおり活動的に走る。操縦性の秀逸さは、ライバルを超えるカリスマ性すら備えている。ダイナミックモードを選び、路面が軽く濡れた状態なら、オーバーステア状態で少し楽しむことも造作ない。

ステアリングラックは4ドアサルーンのジュリアと同じクイックなもの。スタビリティコントロールの介入は控えめだが、完全にオフにすることはできない。

これだけのダイナミクス性能を備えているかわり、乗り心地は多少犠牲になっている。荒れた路面では、落ち着きがなくなってしまう。アウディQ5は、高速道路での乗り心地は良好だが、ステルヴィオほどドライバーが楽しめる操縦性の好感触は得られない。

インテリアの質感が大幅に向上したことは、ステルヴィオの訴求力の維持に貢献するはず。それでもなお、仕上りの良さではアウディQ5やBMW X3、メルセデス・ベンツGLCなどのライバルに一日の長がある。今回のマイナーチェンジで、その差は縮んだけれど。

一方で操縦性の秀逸さでは、アルファ・ロメオに軍配が上がる。SUVでも運転を楽しみたいと考えているドライバーにとって、第一の選択肢はアルファ・ロメオ・ステルヴィオとなるだろう。

アルファ・ロメオ・ステルヴィオTi 210 Q4のスペック

価格:4万8000ポンド(672万円)
全長:4687mm
全幅:1903mm
全高:1671mm
最高速度:215km/h
0-100km/h加速:6.6秒
燃費:17.8km/L
CO2排出量:146g/km
乾燥重量:1745kg
パワートレイン:直列4気筒2143ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:210ps/3500rpm
最大トルク:47.8kg-m/1750rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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