現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > アメリカの自動車ショー なぜ日本車の展示が急増? ワイルド・スピードの影響も大

ここから本文です

アメリカの自動車ショー なぜ日本車の展示が急増? ワイルド・スピードの影響も大

掲載 更新
アメリカの自動車ショー なぜ日本車の展示が急増? ワイルド・スピードの影響も大

SEMAショウ 近年、日本車の展示急増

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

【画像】SEMAショウで急増の日本車カスタム 全127枚

SEMAとはSpecial Equipment Market Associationの略で、1963年に設立された自動車部用品の製造や輸入に関する業者の団体だ。

今年で54回目の開催となるSEMAショウは簡単に言うと、「アフターマーケットパーツの総合見本市」である。

東京オートサロンやエッセンモーターショー(ドイツ)と合わせて「世界3大カスタムカーショー」などと紹介されることもあるが、これは少し違う。

というのも、エッセンやオートサロンは一般来場者を対象にしたイベントだが、SEMAは業界関係者のみが入場できる「トレードショー」だからだ。

SEMAの出展範囲はすさまじく広い。カスタムやチューニングパーツだけではなく、補修用パーツや整備機器、板金修理のためのツール、フレーム修正機、シートカバーやフロアマット、ボディコーティング剤、洗車用シャンプーやミニカーに至るまでクルマに関するあらゆる展示が見られる。

筆者は90年代前半からSEMAを取材しているが、当時はデモカーのほとんどがビッグスリーのピックアップトラックかSUV、マスタングやカマロ、コルベットなどのマッスルカーが少々という構成だったと記憶している。

日本車はほとんど見かけなかった。

そして十数年ぶりに取材に訪れた2016年。日本車のデモカーや屋外展示が非常に多くなっていたことに驚いた。

もちろん、トヨタ・カムリやホンダ・アコード、カローラやシビックなどが米国乗用車市場でトップランクの販売台数を誇っていることは知っていたが。

具体的にどんな車種が増えたのか?

SEMAショウで特に増えている日本車

アメリカでは長年、根強い人気がある240Z(S30系フェアレディZ)から最新の370ZまでのフェアレディZ、90年代からのスポコン(スポーツコンパクト)ブームで中心的役割を果たしたシビック、インテグラ、CR-Xなどのホンダ車、A70/80系スープラなどはカスタム&チューニングカーの世界で一定の人気はあった。

加えて2010年前後から日産GT-R(米国では2008年7月発売)が急増。スカイラインや同GT-Rとして初めてアメリカで新車販売されることになった経緯もあって、日系パーツメーカーのみならず、米国チューナーがこぞってGT-RをベースにしたチューニングカーをSEMAに出展し始めたのだ。

GRスープラが大量出展された今年はやや数が減った印象はあったが、それでもGT-Rの人気は安定しており屋外/屋内いずれも多くの来場者が展示車両の周りを囲んでいた。

そして近年は日産スカイラインGT-R(R31/R32)、マツダRX-7(FC/FD)、トヨタスープラ(A70/80)などのパフォーマンス系から、ランドクルーザーFJ40、ダットサン510などの旧車系、意外なところでは日産パオ・フィガロ・エスカルゴなどのいわゆる「パイクカー」の姿もちらほら見かけるようになった。今年は特に新旧シビックの姿もいつになく多く見かけたように思う。

中には日産R35 GT-Rのエンジン(VR38DETT)とシャシーに1970年型マスタングのボディを合体させたり、1974年式ダットサン260Zにスープラ用2JZ GTE型を搭載したり、日本よりはるかに自由度の大きなカスタムメイドの世界でも日本車の採用ががぜん増えているのだ。

なぜこんなに日本車が増えているのか

この4~5年で日本車が増えてきた理由。

そのひとつは「25年ルール」による中古日本車(右ハンドル)の解禁だ。アメリカでは販売されなかったR32GT-Rなどはその代表である。

「25年ルール」は今に始まったルールではないが、日本でも知られるようになったきっかけが2014年である。

この年に1989年製造のスカイラインR32が「解禁」となったことで、GT-Rを中心とするR32がSEMAの出展車として増え始め、日本製スポーツカー全体の人気を上げる傾向となった。

25年ルールは簡単に言うと「古いクルマへのリスペクト」ともいえるクラシックカールールで、「製造から25年経過したクルマはFMVSS(連邦自動車安全基準 ※日本でいうところの国交省の保安基準)が定める新車登録のための各種のテストや基準に縛られることなく、右ハンドル車であっても輸入/販売/登録などが可能になる。

ただし、国が許可をしても、例えば厳しいことで有名なカリフォルニアの排ガステストなど、州ごとに必要な要件を満たさないと、カリフォルニア州での登録は不可能となる。(その場合は他の州で登録することもあるらしい)。

ちなみにカリフォルニアにおいて排ガステストが不要になるのは1975年以前に製造されたクルマとなる。ハコスカとケンメリの一部などが対象だ。

なお、同じ北米でもカナダは15年で解禁となるので、R34 GT-Rなどカナダ登録の車両を展示するブースも少なくない。今年のSEMAでも右ハンドルのR34 GT-Rが出展されていた。

日本のタイヤブランドも大きく貢献

SEMAショウにはヨコハマ、ファルケン、ニットー、そしてトーヨータイヤといった日本のタイヤブランドも出展している。

中でも例年大きなブースを会場内2か所に構えるのがトーヨータイヤである。SEMAショウに出展されるクルマの多くにタイヤの提供も行っている。

そして、トーヨータイヤが2013年から設置している毎年巨大な展示スペース「トレッドパス」の存在も大きい。広大な通路に設けられた屋根付きの特設展示ブースで、例年日本車を中心に20~30台のクルマが展示される。

今年も、現行スープラ、ハコスカ、現行NSX、タイタン、シビックハッチバック、カローラレビン、RX-7(FD)、現行ジムニー、ランエボV、レガシィ、サニークーペ(B110)などなど。

アメリカで高い人気を誇る日本車をベースにしたユニークなカスタムモデルが多数出展された。

映画ワイルド・スピードの影響も大

アメリカにおける日本車人気を大きく盛り上げてくれた映画「ワイルド・スピード」シリーズの存在も忘れてはならないだろう。特に、日本車が多く登場した、ワイルド・スピード(2001年)、ワイルド・スピードX2(2003年)、ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT(2006年)の影響は大きい。

そして、たいへん悲しいことだが主演のポール・ウォーカーが2013年11月30日に事故死したことも、ポールに関わる日本車の人気を大いに引き上げた理由の1つと言えるだろう。

ワイルド・スピードに登場して重要な役割を果たし、さらにポールの愛車でもあった80スープラやR34 GT-Rはポール亡き後、カルト的人気を博すようになった。

トヨタ自動車もスープラ復活に際して、「映画ワイルド・スピードとポール・ウォーカーへの感謝の気持ち」を公的に示している。

こんな記事も読まれています

マツダ社長を現地で直撃!!! マツダはまだ中国市場を諦めてない!! [EZ-6]登場の北京で現地メディアインタビューからわかったこととは?【北京ショー】
マツダ社長を現地で直撃!!! マツダはまだ中国市場を諦めてない!! [EZ-6]登場の北京で現地メディアインタビューからわかったこととは?【北京ショー】
ベストカーWeb
ガソリン車依存が招く「地方消滅」 給油所はもはやピークの半分以下、EVアンチはポジショントークをしている場合ではない!
ガソリン車依存が招く「地方消滅」 給油所はもはやピークの半分以下、EVアンチはポジショントークをしている場合ではない!
Merkmal
落ち着きあるシックなインテリアが魅力! 日産NV200バネットがベースのキャンパー
落ち着きあるシックなインテリアが魅力! 日産NV200バネットがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
生産終了の[CX-8]ってやっぱ偉大!! 我らが[レクサスRX]だってマネしたんだぜ!! SUVの常識破ったってマジ!?
生産終了の[CX-8]ってやっぱ偉大!! 我らが[レクサスRX]だってマネしたんだぜ!! SUVの常識破ったってマジ!?
ベストカーWeb
井戸田潤ウキウキ!最新シビック タイプR試乗も……予想不可能のトラブルに困惑!?
井戸田潤ウキウキ!最新シビック タイプR試乗も……予想不可能のトラブルに困惑!?
グーネット
マツダの儚きクーペ「エチュード」を知ってるか? たった3年で消えていった理由はなんだったのか?
マツダの儚きクーペ「エチュード」を知ってるか? たった3年で消えていった理由はなんだったのか?
ベストカーWeb
高さ約50m!上信越道にそびえる巨大岩撤去の“現場”を公開! NEXCO東日本
高さ約50m!上信越道にそびえる巨大岩撤去の“現場”を公開! NEXCO東日本
グーネット
アウディ「A1スポーツバック」シックで都会的なルックスの限定モデル登場!
アウディ「A1スポーツバック」シックで都会的なルックスの限定モデル登場!
グーネット
電気自動車を買って試す本音レポート リアルEVライフ[電費を計測する]の巻
電気自動車を買って試す本音レポート リアルEVライフ[電費を計測する]の巻
グーネット
レクサス「LM」6座仕様車を追加 3列目もラグジュアリーな空間に
レクサス「LM」6座仕様車を追加 3列目もラグジュアリーな空間に
グーネット
2車線の片側が突如右折レーンに! 富士見川越バイパスの終点はなんであんなに残酷なのか?
2車線の片側が突如右折レーンに! 富士見川越バイパスの終点はなんであんなに残酷なのか?
ベストカーWeb
なんちゃってセレブが「核融合科学研究所」へ大人の社会科見学!「核融合」は原子力発電の「核分裂」とは違うのよ~
なんちゃってセレブが「核融合科学研究所」へ大人の社会科見学!「核融合」は原子力発電の「核分裂」とは違うのよ~
Auto Messe Web
【24’ 5/7最新】レギュラーガソリン全国平均価格は174.7円 2週ぶり値下がり止まる
【24’ 5/7最新】レギュラーガソリン全国平均価格は174.7円 2週ぶり値下がり止まる
グーネット
鈴鹿で19台が参加しGT300専有テストがスタート。初日はmuta Racing GR86 GTが最速
鈴鹿で19台が参加しGT300専有テストがスタート。初日はmuta Racing GR86 GTが最速
AUTOSPORT web
【GT300開幕戦レビュー&シーズン展望】一歩抜きん出た印象のブリヂストン。最適解は交換か、無交換か
【GT300開幕戦レビュー&シーズン展望】一歩抜きん出た印象のブリヂストン。最適解は交換か、無交換か
AUTOSPORT web
アイルトン・セナのMP4/4がマクラーレン720S GT3で蘇る。ラグナ・セカに没後30年追悼リバリー登場/IMSA
アイルトン・セナのMP4/4がマクラーレン720S GT3で蘇る。ラグナ・セカに没後30年追悼リバリー登場/IMSA
AUTOSPORT web
好感度クラスNo.1! アウディA3 スポーツバックへ試乗 小改良 見違えるほど変わった車内
好感度クラスNo.1! アウディA3 スポーツバックへ試乗 小改良 見違えるほど変わった車内
AUTOCAR JAPAN
負傷のハプスブルク、WECスパでの復帰叶わず。グーノンがふたたびアルピーヌA424をドライブへ
負傷のハプスブルク、WECスパでの復帰叶わず。グーノンがふたたびアルピーヌA424をドライブへ
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

499.5789.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

144.81730.0万円

中古車を検索
スープラの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

499.5789.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

144.81730.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村