現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > フェラーリ F8 トリブート日本上陸! 488GTBに代わる最新V8ミッドシップを読み解く

ここから本文です

フェラーリ F8 トリブート日本上陸! 488GTBに代わる最新V8ミッドシップを読み解く

掲載 更新
フェラーリ F8 トリブート日本上陸! 488GTBに代わる最新V8ミッドシップを読み解く

Ferrari F8 TRIBUTO

フェラーリ F8 トリブート

フェラーリ F8 トリブート日本上陸! 488GTBに代わる最新V8ミッドシップを読み解く

過去のV8ミッドシップモデルをオマージュ

フェラーリは、2019年3月のジュネーブ・モーターショーで初公開した「F8 TRIBUTO」を日本に導入を発表、6月25日に東京都近代美術館にて披露した。このF8 トリブートは、これまでのV8ミッドシップモデルをオマージュした最新モデルというだけに、会場には1975年製の308GTBとF40が展示され、過去の名車をリスペクトするかの如く演出。前作の488GTBに代わるニューモデルとして、今後フェラーリの主力車種となることを主張した。

720psへとパワーアップしたV8ツインターボ

F8 トリブートのミッドに搭載されるV型8気筒DOHCツインターボエンジンは、3年連続でエンジン・オブ・ザ・イヤーを受賞した、488GTBの流れを組むパワーユニットがベースで、670psから720psへと実に50psもパワーアップしている。最大トルクは10Nmほどの向上に留まるものの、全域において増大し、3250rpmでピークに達する。実際ベースとなっているのは、488ピスタのほうだが、すでに488GTBからピスタを開発する時点で、全体の50%を専用パーツに変更、排ガスや騒音規制にも適合させたうえで、パフォーマンスの向上と、フェラーリらしいサウンドの実現を狙ったという。

その証拠として、488GTBとピスタの最高出力発生回転数が8000rpmであるのに対し、F8 トリブートは7000rpmと低い(最高回転数は8000rpm)。これは主に環境対策への表れだろう。パワー値を上げながらも低回転域で発生させるのは、フェラーリにとって決して歓迎できることではなかったはずだが、吸気系をベースにインテークラインを新たに開発し対応。ブロウンスポイラーの左右に設置したうえで、インテークプレナムに直結させた。こうして大容量のフレッシュエアを送り込むことで、パワーの損失を最大限に抑えることに成功、出力アップに繋がったという。

ワンメイクマシン「488チャレンジ」譲りのアプローチも

無論、これだけではない。専用バルブとスプリング、カムプロファイルも改良したうえ、燃焼室の最大圧が10%増大したことからシリンダーヘッドとピストンも強化。DLCコートを施したF1譲りのピストンピンを採用するなど、摩擦係数を大幅に低減させる策も施している。すでに488GTBからピスタを開発する時点でパワートレインの重量は18kgの軽量化を実現しているが、そこには、ワンメイクマシンの488チャレンジ譲りのインコネルエキゾーストやチタンコンロッド、クランクシャフト及びフライホイールも軽量化されていることもあって、レスポンスも向上、慣性力は17%低下しているというからターボエンジンながらも自然吸気ユニットのフィーリングに近づいたと言えるだろう。しかも、可変トルクマネージメントもすべてのギヤに適合させているというからパワーフィールも相当に違うはずだ。

コーナリング性能とコントロール性も向上

フェラーリにとって、エンジンは命ともいうべき存在なのは今さら言うまでもないが、特に2000年以降は、これに加えてビークルダイナミクスへの徹底した取り組みが見られるのも特徴だ。今回のF8 トリブートも細部に渡り進化を果たしている。その中でも注目すべきは、488ピスタで初採用されたキャリパーのブレーキ圧を調整するFDEと呼ばれるラテラルダイナミックコントロールシステムが“FDE+”へと進化し機能が拡張したことと、SSC(サイド・スリップ・コントロール)がバージョン6.1へと改められたことだ。これはコーナリング時、旋回中からコーナー脱出時に働く機能で、挙動変化を最適化するシステムだが、マネッティーノ(ドライブモード)がRACEの場合でも作動するようになり、488GTB比でコーナーの脱出が6%速くなったうえ、CT-OFFポジションでは、同じ量のオーバーステア時でもステアリング操作は488GTBよりも30%減で済むというから、極限時において、より一層コントロールしやすくなっている。

488GTB比で10%向上したエアロダイナミクス

もちろん、エアロダイナミクスに対しても抜かりはないのが昨今のフェラーリ。458から488へモデルチェンジした際でも相当な進化を見せていたが、今回のF8 トリブートも全体の空力効率は10%も向上しているというから相変わらず見事だ。細部では、Sダクトで15%、リアスポイラーは25%、フロントアンダーボディで15%、ボルテックスジェネレーターは25%、リヤデュフューザーの20%の変更によるものだという。

機能を優先したデザインと40kgの軽量化

すでにデザイン面においては、フェラーリ=ピニンファリーナという図式が見られないのが残念な気もするが、今やデザインは美しいだけでは済まされず、機能として成立させなければ、昨今、激化するスーパースポーツカー界のパフォーマンス戦争には勝てないことから、フェラーリも自社にスタイリングセンターを設け対応している。そうした取り組みもあって、このF8 トリブートでは、これまで以上にダウンフォース性能などは向上しており、より一層、路面への追従性が高くなっているというから期待大。488GTB比で40kgも軽量化されていることもその効果に重なるはずだ。

何故、トリブートと名付けたのか?

過去のV8ミッドシップモデルへのオマージュと謳うだけあり、F8 トリブートのデザインには、サイドインテークに308&328をイメージできたり、再び円形2灯のテールレンズの採用、ミッドに積まれるエンジンエリアにF40の面影を感じるなど、集大成的な意味合いを持たせているのは深い意味がありそうだ。それでも全身に渡って最新の解釈で完成しているのは間違いない。エッジのたったシャープなラインは見る者にも緊張感を与え、スピードへの執着を思わせるなど、どちらかといえば、内燃機関を積むスーパースポーツの“結論”と感じてならない。

先日、公開されたばかりのニューモデル「SF90ストラダーレ」が3モーターのハイブリッドとしてデビューしたということは、そう遠くないうちに他のラインナップもハイブリッド化、もしくはEV化される可能性を匂わせる。そう考えるとF8 トリブートの価値は極めて高い。フェラーリも時代の波には逆らえないし、いつの時代でも挑戦しなければ、トップを取れないことはフェラーリ自身がもっともわかっているはずだ。そうでなければ、わざわざ“トリブート(イタリア語。英語ではトリビュート)”というネーミングを与えないと思うのだが・・・。

【SPECIFICATION】

フェラーリ F8 トリブート

ボディサイズ:全長4611 全幅1979 全高1206mm

ホイールベース:2650mm

トレッド:前1677 後1646mm

乾燥重量:1330kg

前後重量配分:前41.5 後58.5

エンジン:90度V型8気筒DOHCツインターボ

総排気量:3902cc

圧縮比:9.6

最高出力:720ps/7000rpm

最大トルク:770Nm/3250rpm

トランスミッション:7速DCT

ブレーキ ローター径:前398×223×38 後360×233×32mm

タイヤサイズ(リム幅):前245/35ZR20(9.OJ) 後305/30ZR20(11J)

最高速度:340km/h

0→100km/h加速:2.9秒

0→200km/h加速:7.8秒

100→0km/h制動距離:29.5m

フィオラーノ・ラップタイム:1分22秒5

こんな記事も読まれています

史上最もアクティブなクラウン!?トヨタ「クラウンスポーツ Z HEV」の遊び方
史上最もアクティブなクラウン!?トヨタ「クラウンスポーツ Z HEV」の遊び方
@DIME
かつての愛車マツダ・サバンナをリメイクし“マッド・マイク”が10年ぶりにD1GPへカムバック
かつての愛車マツダ・サバンナをリメイクし“マッド・マイク”が10年ぶりにD1GPへカムバック
AUTOSPORT web
クルマの「サイドブレーキ」なぜ必要?「P」レンジのみで駐車はNGって知ってた? 正しいブレーキのかけ方とは
クルマの「サイドブレーキ」なぜ必要?「P」レンジのみで駐車はNGって知ってた? 正しいブレーキのかけ方とは
くるまのニュース
ジープ『ラングラー』新型を日本発売、エントリーグレードも登場
ジープ『ラングラー』新型を日本発売、エントリーグレードも登場
レスポンス
長く愛してほしいジープ ラングラー
長く愛してほしいジープ ラングラー
グーネット
メッキマシマシ、これぞプロ仕様! 大型トラック「スーパーグレート」公道デビュー目前モデルの存在感がスゴイ! 三菱ふそう
メッキマシマシ、これぞプロ仕様! 大型トラック「スーパーグレート」公道デビュー目前モデルの存在感がスゴイ! 三菱ふそう
乗りものニュース
レッドブルはもはや”絶対的優位”な立場にはいない……フェラーリのバスール代表ほくそ笑む「我々が少しでも前進できれば、対等に戦える」
レッドブルはもはや”絶対的優位”な立場にはいない……フェラーリのバスール代表ほくそ笑む「我々が少しでも前進できれば、対等に戦える」
motorsport.com 日本版
よりスポーティーな走りを楽しめる!トヨタ「ヤリス」改良モデルの進化を検証
よりスポーティーな走りを楽しめる!トヨタ「ヤリス」改良モデルの進化を検証
@DIME
マジ!? マツダが「次期CX-5」開発を明言!決算会見で明らかに!? 売上&営業利益は過去最高
マジ!? マツダが「次期CX-5」開発を明言!決算会見で明らかに!? 売上&営業利益は過去最高
くるまのニュース
【MotoGP】ホンダはライダーの墓場? ジョアン・ミル「来たときより良くなった人がいない」と爆弾発言
【MotoGP】ホンダはライダーの墓場? ジョアン・ミル「来たときより良くなった人がいない」と爆弾発言
motorsport.com 日本版
アルピーヌ、今季初のハイパーポール進出。ミレッシ「散々だった前戦イモラの”癒やし”になったよ」
アルピーヌ、今季初のハイパーポール進出。ミレッシ「散々だった前戦イモラの”癒やし”になったよ」
motorsport.com 日本版
日産「新型エルグランド」登場! ド迫力の「超ワイドグリル顔」に反響あり! 進化する次期型「キング・オブ・ミニバン」のデザインどうなる!
日産「新型エルグランド」登場! ド迫力の「超ワイドグリル顔」に反響あり! 進化する次期型「キング・オブ・ミニバン」のデザインどうなる!
くるまのニュース
マツダCX-5級だから「日本にジャストサイズ」 BMWの新型「X2」は“クーペSUVらしく”カッコいい! ゆとりの室内&力強い走りも魅力的
マツダCX-5級だから「日本にジャストサイズ」 BMWの新型「X2」は“クーペSUVらしく”カッコいい! ゆとりの室内&力強い走りも魅力的
VAGUE
ご飯がススム「かつ鍋」に大満足!! 夜の首都高「大黒PA」
ご飯がススム「かつ鍋」に大満足!! 夜の首都高「大黒PA」
バイクのニュース
「アバルト595」の柔と剛を使い分け!? トライアルのストリート仕様とサーキット仕様を乗り比べました【デモカー試乗】
「アバルト595」の柔と剛を使い分け!? トライアルのストリート仕様とサーキット仕様を乗り比べました【デモカー試乗】
Auto Messe Web
トラック好きじゃなくても圧倒される展示内容! ジャパントラックショー2024は激熱車両だらけだった
トラック好きじゃなくても圧倒される展示内容! ジャパントラックショー2024は激熱車両だらけだった
WEB CARTOP
至極のラグジュアリースポーツ「グラントゥーリズモ」にオープンスーパースポーツの「MC20」も! マセラティ出展情報【ル・ボラン カーズ・ミート2024 横浜】
至極のラグジュアリースポーツ「グラントゥーリズモ」にオープンスーパースポーツの「MC20」も! マセラティ出展情報【ル・ボラン カーズ・ミート2024 横浜】
LE VOLANT CARSMEET WEB
【映画】F1界の帝王を描く「フェラーリ」の場面写真などが解禁に。公開は2024年7月5日!
【映画】F1界の帝王を描く「フェラーリ」の場面写真などが解禁に。公開は2024年7月5日!
Webモーターマガジン

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3150.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2625.03438.0万円

中古車を検索
488GTBの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3150.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2625.03438.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村