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初試乗 トヨタ・カムリ2.5ハイブリッド 英国で評価 スポーツモード搭載

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初試乗 トヨタ・カムリ2.5ハイブリッド 英国で評価 スポーツモード搭載

もくじ

どんなクルマ?
ー 14年ぶりの英国上陸となるカムリ
ー ハイブリッドにスポーツモード搭載のCVT
どんな感じ?
ー 存在感のあるエクステリアデザイン
ー 安全運転支援システムなど標準装備も充実
ー 穏やかで良好な乗り心地と走行性能
ー あくまでも相対的なスポーツ感
「買い」か?
ー 英国もきっとこの存在を忘れない
スペック
ー トヨタ・カムリ2.5ハイブリッド・デザインのスペック

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どんなクルマ?

14年ぶりの英国上陸となるカムリ

トヨタ・カムリが英国市場から姿を消して14年。恋しく思っていた読者はいただろうか。むしろ、トヨタのラインナップから消えていた事自体、気付いていなかったとしても不思議ではない。

しかしトヨタ・カムリは、全世界で見るとかなりの強打者。1982年の発表以来、1900万台を販売している。特にアメリカでの人気が高く、昨年だけでも40万台が売れている。一方でディーゼルエンジンの選択肢がなかったことが災いしてか、英国では空振り状態だった。よほどの英国のクルマ好きでも、その存在を覚えているひとは少ないと思う。

そんな寂しい状況を変化させる可能性を持つ、新型が登場した。まったく新しい、トヨタ・カムリ。優れた安全運転支援システムに、環境負荷への関心が高いドライバーに対してもアピールできるパワートレインを備えて。

ディーゼルエンジンへの逆風が弱まらない中で、トヨタが大型のサルーンに選択したのは2.5ℓのガソリンエンジン。そこに、ウルトラ・ローエミション・ゾーンでも懐に優しい電気モーターを組み合わせ、化石燃料の使用を抑えている。実際、ローエミッション・ゾーンなら、通行料はかからない。

ハイブリッドにスポーツモード搭載のCVT

英国でのEV充電器の整備は依然として需要に対して遅れたままだが、カムリは自ら充電する機能を備えており、EVに乗り換えることへの不安を解消してくれている。運転するほどに、バッテリーの充電も増えてくれるのだからありがたい。

一方でトヨタによれば、一般的な通勤環境なら、環境負荷を50%ほど減らすことができるとしている。世界中で見ても、販売上でのストロングポイントとなるだろう。カムリの販売状況を変える重要なカードであるわけで、WLTP値で17.7km/ℓの燃費が謳われている。今回のわれわれのテストでは、15.5km/ℓと健闘した数字を残している。

また優れた環境性能だけでなく、走行パフォーマンスを高めることにも注力したというところが、今回のポイント。ドライビングモードに、ノーマルとエコだけでなく、スポーツも加わっていることに、それが表れている。

大きなボリュームを持つセンターコンソールに配されたシフトレーバーを右に倒すと、トヨタが新しく開発したシーケンシャル・シフトマチック・システムを操ることが可能になる。実際はCVTだが、マニュアルモードの6速シーケンシャル・シフトを擬似的に実現させている。

トヨタは快適性を求める期待にも充分に応えている。利便性の高いファミリー・サルーンに、ダイナミックなドライビングの楽しさを、プラスしたのだ。まるでプレミアム・ブランドの、BMWやアウディ、メルセデス・ベンツなどのテリトリーの話にも聞こえる。

そんな難しいテーマに挑戦したと思える完成度は、いかほどだろうか。

どんな感じ?

存在感のあるエクステリアデザイン

カムリのスタイリングはなかなか印象的。特にフロントバンパーに大きく口を開けているような、全幅いっぱいの台形型のグリルに目が行くはず。クルマの特徴を生んでいるともいえるが、デザイナー個人の美的感覚に偏ったものにも思える。読者はどうお感じだろうか。

一方で長く延びたノーズから低く伸びるショルダーラインはクリーンで、遊びすぎない面処理のままリアセクションへ流れ、カムリのアピアランスに存在感を与えている。なかなかの魅力を備えたカローラ・スポーツの登場に続き、トヨタ車が目を引くデザインをまとうようになったことは、歓迎すべきことだと思う。

カムリのボディは全長4885mm、全幅1840mmと大柄だから、なおのことエクステリアデザインの印象は大きい。好き嫌いはあるにしろ、簡単に忘れてしまうような、影の薄い存在ではないことは確かだ。

インテリアデザインも、久々の復活登板に込めた意気込みを感じることができる。品質面では、この価格帯の中では特に優れているといえる。今回の試乗車は「デザイン」と呼ばれるグレードで、柔らかいレザー内装にサテンクローム仕上げの装飾パーツが全体を引き締めている。人間工学的な運転環境も良好で、満足感も高い。

取り立てて驚かされる点があるわけでもないが、大型のサルーンだから、それで良いのだろう。操作系は、有るべき場所にレイアウトされ違和感もなく、レザー巻きのステアリングホイールのサイズもちょうどよく、調整代も充分。シートヒーターの入った電動シートは、しっかりクッションが効いており、サポート性も良く快適。座っている時間を楽しくしてくれる。

安全運転支援システムなど標準装備も充実

ダッシュボード中央とインスツルメントパネル内に配された7インチモニターは鮮明で見やすい。インスツルメント・パネル内のタコメーターは、ハイブリッド表示に対応した「ハイブリッドシステムインジケーター」ものになっている。アクセルを深く踏み込まない限り、針は9時から12時の位置のエコモードをキープできる。

右足に力を込めていくと、針は12時の位置を過ぎ、ガソリンを積極的に燃やすパワー領域へと回転していく。一方でアクセルを緩めたりブレーキをかけると、針は反時計回りに戻って7時から9時の間を指し、チャージモードとなる。なかなか面白い仕掛けで、トヨタのハイブリッド・システムがどのように稼働しているのかわかりやすい。また、運転スタイルも、意識して選択することができると感じた。

インフォテインメント・システムのモニターに映し出されるグラフィックは、やや貧弱。流石に古臭い、とまではいえないものの、新しいとは感じられない。モニターの周囲には物理的なスイッチ類がレイアウトされているが、高級感という点ではいまひとつ。さらにアップル・カープレイやアンドロイド・オートにも対応していない。

だが、それ以外は必要と感じるであろうものはほぼ揃っている。ナビゲーションをはじめブルートゥースによるスマートフォン接続、USBポートだけでなく、ワイヤレス充電パッドや、基本的な音声認識機能まで付いている。

またミリ波レーダーと単眼カメラを装備し、安全運転支援システムも豊富。歩行者を検知できる衝突被害軽減システムに、車線逸脱警報、道路標識認識機能にブラインド・スポットモニターなどが、運転をサポートする。テストドライブ中、時々高音の警告音がなるから何かと思ったら、速度違反取締のカメラの存在を教えてくれるものだった。

穏やかで良好な乗り心地と走行性能

後部座席の足元空間は広く、大人でも不満はない。子供なら広々と乗れるだろう。背もたれは60:40に分割が可能で、ラゲッジスペースは524ℓと大きい。ハイブリッド用バッテリーの賢いパッケージングのおかげだ。バッテリーは後部座席の下に埋め込まれ、ラゲッジスペースを侵食していないだけでなく、重心高も下げる効果もある。

ドライビングの印象は好ましい。優れたハイブリッドシステムのおかげで、走り出しはまるでEVのように滑らか。内燃エンジンと電気モーターとの協働も、とてもシームレスに行われている。

インフォテインメント・システムのモニターには、エンジンとモーターのどちらかが、あるいは両方がフロントタイヤを駆動していることがリアルタイムで表示される。経済性を高めることにもつながるはず。エンジンを止めたEVモード状態で走ることの楽しさに気付いてしまった。

クルージングを時の乗り心地はとても穏やか。滑らかな国道や高速道路を走っていると、思わず助手席のひとは眠ってしまうのではないだろうか。だが、適度に重み付けされたステアリングには路面の情報が伝わってくるし、乗り心地もしっかりしている。加えて、補修が完璧ではない英国の道でも充分に対応できるほどの、しなやかさも兼ね備えている。

あくまでも相対的なスポーツ感

デザイン・グレードに装備されるのは17インチサイズのアルミホイール。特に極端なサイズではないから、ロードノイズも小さいうえ、乗り心地の面でも、大径ホイールの悪癖のようなものはない。ボディの風切り音も静かだった。

搭載されるトランスミッションはCVT。ノーマルかエコモードを選択していると、力強い加速を求めた時などでは、CVTが不要にエンジンの回転数を高めてしまう傾向があるのは、いつものこと。エンジンの回転数にあった加速感が有るわけでもなく、音だけがエンジンの頑張りを教えてくれる。

スポーツモードを選択すると、シーケンシャル・シフトモードが有効になる。走行パフォーマンスも明確に向上するものの、BMW3シリーズがドライバーへ提供してくれる密な運転感覚を、カムリが与えてくれるわけではない。率直に楽しいか、と聞かれれば、肯定はできないだろう。

「スポーツ」という言葉は、あくまでもカムリの中での相対的なものと考えると良い。また0-100km/h加速は8.3秒だが、追い越し時などでは、最大トルクがそれほど豊かではないことを忘れないでおきたい。

しかし、カムリがBMWのようなスポーティさを備えていないとしても、大きな問題にはならないだろう。トヨタが仮にスポーツモードでダイナミックな運転体験を与えていたとしても、それを目的にカムリを選択するひとは、多くはないはず。強い購入動機を生み出せるわけでもないと思う。むしろ、クルージング時の上質なフィーリングの方が、サルーンを選ぶターゲット層にはストロングポイントになるのだろう。

「買い」か?

英国もきっとこの存在を忘れない

現在のファッションSUVにピンと来ない読者や、環境性能と手頃な価格が両立した、手頃なサイズの家族に優しいサルーンを探している読者なら、充分に検討する価値はある。

プレミアムブランドというわけではない。フロントに付くエンブレムは「L」ではなく、トヨタではある。しかし、日常的に使用するのに不満のない品質を備え、エクステリアデザインにも明確な特徴を持っている。価格以上の価値を与えてくれると思う。

おかえりなさい、カムリ。英国は、今度は君を簡単には忘れないだろう。

トヨタ・カムリ2.5ハイブリッド・デザインのスペック

■価格 2万9995ポンド(434万円)
■全長×全幅×全高 4885✕1840✕1445mm
■最高速度 193km/h
0-100km/h加速 8.3秒
■燃費 18.8km/ℓ
■CO2排出量 101g/km
■乾燥重量 1595-1635kg
■パワートレイン 直列4気筒2487cc+電気モーター
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 218ps/5700rpm(システム総合)
■最大トルク 22.4kg-m/3600-5200rpm(エンジン)・20.5kg-m(モーター)
■ギアボックス CVT

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