2019年1月に開催されたデトロイトショー(アメリカ)で世界初公開し、日本では春頃に発売を開始するとリリースされていた新型トヨタスープラが5月17日に日本で販売を開始した。
デトロイトで公開後、イベントや販売会社に実車を展示していたので、すでに『生スープラ』を見た人もいると思う。個性的なデザインが目を引く。
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新型スープラのD1マシンが3月にデビューを飾り、2020年から参戦するスーパーGTのGT500マシンも公開ずみと、ロードカーの発売に先駆けてモータースポーツの分野でも積極戦略を展開している。
マスタードラーバーになるため、先代スープラ(A80)でニュルブルクリンクでの運転訓練を受けた豊田章男社長が『特別な旧友』のような存在と表現する新型スープラ。17年ぶりに復活した新型スープラはどんな魅力を持っているのか?
文:ベストカーWeb編集部/写真:TOYOTA
スープラが17年ぶりに復活!
初代スープラがデビューしたのは1978年。スープラはセリカXXの輸出モデル用の車名だったこともあり、初代(A40/50:1978~1981年)、2代目(A60:1981~1986年)は日本ではセリカXXの車名で販売された。
従って日本でイメージする初代スープラ(A70:1986~1993年)はグローバルでは3代目ということになる。
2002年に4代目スープラ(A80:1993~2002年)が生産終了となってから実に17年ぶりの復活を遂げた新型スープラはスープラ史上5代目となる。
A80スープラは当時の日本車としては珍しくマッチョでボリュームのあるデザインが好評だった。JGTC、スーパーGTなどモータースポーツでも大活躍
初代スープラは日本でセリカXXとして販売されていたことからもわかるとおり、日本の元祖スペシャルティカーのセリカの上級モデルでラグジュアリー性を高めていて、2代目もコンセプトは同じ。
しかしセリカXX改めスープラとして初めて日本で販売された3代目(A70型)は、デビュー時のキャッチコピーが『トヨタ3000GT』ということからもわかるとおり、セリカから完全に切り離され、トヨタのフラッグシップスポーツとして誕生。
A70からキャラクターチェンジをしたスープラは、4代目(A80)ではスポーツ性を高めていたが、GTスポーツとったキャラクターだった。
それが、5代目ではトヨタはスープラ史上初めて『ピュアスポーツ』という表現を使いそのスポーツ性をアピールしている点に注目したい。
TOYOTA GAZOO Racingが蓄積してきたノウハウを注入したGRモデルがいろいろな車種に設定されているが、新型スープラはGRオリジナル第1弾としてGRスープラとして誕生(届け出名称はトヨタスープラ)。
新型スープラは、TOYOTA GAZOO Racingが蓄積してきたノウハウが注入されたGR初のグローバルカーということでGRスープラと呼ばれる
新型スープラはBMWとの協業により誕生
2012年6月にトヨタはBMWと包括提携を締結、そのなかの『スポーツカーの共同開発』の第1弾として商品化された記念すべきモデルである。
新型スープラはオーストリアのマグナ・シュタイヤー社で生産され、トヨタの元町工場を経由してユーザーにデリバリーされる。
スポーツカーの共同開発といえば、トヨタはトヨタ86/スバルBRZで経験ずみで、この時は両メーカーが1台のスポーツカーを作った。
それに対し新型スープラはBMWのコンポーネントを使い、BMWのエンジニアが開発を進めたが、スープラチーム、Z4チームに分かれ独自の開発を進めて2台のスポーツカーを作った点が86/BRZのケースとの最も違う点だ。
スポーツカー用専用プラットフォーム、BMW製エンジンを使いながらも、足回りなど独自の開発ポリシーに則って商品化されている。
スープラと基本コンポーネントを共有するBMW Z4。同じFRスポーツでもそれぞれの会社の開発ポリシーが盛り込まれているので乗り味は大きく違う
ボディサイズ
新型スープラのボディサイズは、全長4380×全幅1865×全高1295(1290)mm、ホイールベースは2470mm。グレードは下からSZ、SZ-R、RZの3タイプがラインアップされ、カッコ内はトップグレードのRZ。
現代のスポーツカーが大型化しているなか、全長4380×全幅1865×全高1295mmのボディサイズは許容範囲といえる。最大の特徴はショートホイールベース
【参考データ】
■日産フェアレディZ
全長4260×全幅1845×全高1315mm、ホイールベース2550mm
■トヨタ86
全長4240×全幅1775×全高1285mm、ホイールベース2570mm
全長はZ、86よりも120~140mm長いが大型という感じでもない。全幅はワイドだが、1900mmオーバーが当たり前になってきているスポーツカーにおいて1865mmは許容範囲といっていいレベル。
特筆はホイールベースで、クラスが下の86よりも100mm短い。新型スープラはホイールベースとトレッドの比は1.55(RZは1.54)をマーク。Zは1.66、86は1.69。
比率が1に近いほど回頭性が高く、2に近いほどスタビリティを重視したハンドリングになると言われている指標だ。スープラがキビキビとしたハンドリングを目指したことがここからもわかる。
車重は1410~1520kgで、コーナリング性能において重要な要素のひとつである前後重量配分は50:50を実現。このあたりはBMWが開発に携わっただけある。
サイドから見ると前後のオーバーハングが長いことがよくわかる。同時に大径のタイヤ&ホイールが目立ち、スポーティ感が強調されている
エクステリアデザイン
スープラは歴代モデル同様にデザインにこだわりを見せる。
注目の新型スープラのエクステリアは空気抵抗低減に効果的なダブルバブルルーフの採用、ヘッドランプを車体内側に寄せることでワイド感を強調するなど、トヨタ2000GT、先代のA80のデザインをオマージュしている。
同時に現代のプレス技術により全身至るところに複雑なラインを配し、彫刻のような硬質感、妖艶さを醸し出している。
この複雑な形状、ラインはエアロダイナミクスのなかでもリフトを抑えるためのもので、単なるこけおどしではない。
どことなくA80スープラを彷彿とさせるデザイン。ボディ全体至るところに複雑な形状、ラインが盛り込まれているが、これも走りを極めるための手法だ
現代のスポーツカーは、前後のオーバーハングを短くする傾向にあるなか、スープラは前後のオーバーハングが長い。これが新型スープラをどことなくクラシカルに見せるゆえんだろう。
デザインはピュアスポーツカーとしての走りを極める車両パッケージを実現する一要素として割り切っている。
ボディカラーはホワイトメタリック、シブラーメタリック、アイスグレーメタリック、ブラックメタリック、プロミネンスレッド、ライトニングイエロー、ディープブルーメタリック、マットストームグレーメタリックの8色。
オプションカラーはライトニングイエローが3万2400円、マットストームグレーメタリックは34万5600円となる。
マットストームグレーメタリックはRZの専用色で、SZはホワイトメタリック、ブラックメタリック、プロミネンスレッドの3色のみの設定。
【グレード間の違い】
■ドアミラー
・RZ:マッドブラック塗装、ドアミラーステーがピアノブラック塗装
・SZ-R/SZ:ピアノブラック塗装(全体)
■マフラー
・RZ:φ100mm・ヘアライン仕上げ
・SZ-R/SZ:φ90mm・クロームメッキ仕上げ
■タイヤ&ホイール
・RZ:(F)255/35ZR19+9J鍛造アルミ、(R)275/35ZR19+10J鍛造アルミ
・SZ-R:(F)255/40ZR18+9Jアルミ、(R)275/40ZR18+10Jアルミ
・SZ:(F)225/50R17ランフラットタイヤ+7.5Jアルミ、(R)255/45R17ランフラットタイヤ+8.5Jアルミ
■ブレーキ
・RZ:(F)ブレンボ製17インチアルミモノブロック4ポッド対向キャリパー(赤塗装)+φ348mmディスク (R)17インチフローティングキャリパー(赤塗装)+345mmディスク
・SZ-R/SZ:(F/R)17インチフローティングキャリパー+φ330mmディスク
3つのグレード間の違いはそれほど大きくないが、タイヤ&ホイール、ブレーキに関しては大きく差別化。この差は走りのポテンシャルに直結(写真はRZ)
インテリアデザイン
インパネの基本形状は、上下に薄く水平に軸の通ったデザインで、これはハイスピード走行時の見晴らし性や車両の姿勢変化のつかみやすくするためで、これもピュアスポーツの走りを極めることと関連している。
新型スープラは歴代スープラで初めて2シーターとなった。ショートキャビンの室内はドライバー、パッセンジャーを包み込む適度なタイト感がある。
水平基調のインテリアデザインも走行時の視界、視認性などが考慮されている。2シーターで、包み込まれるような適度なタイト感がスポーツカーらしい
【グレード間の違い】
■シート
・RZ:イグニションレッドのアルカンターラ+本革が標準で、ブラックの本革シートはオプション
・SZ-R:ブラックのアルカンターラ+本革シート
・SZ:ブラックのファブリックシート。
■オーナメントパネル
・RZ/SZ-R:カーボン
・SZ:ダークシルバー塗装
トップグレードのRZに標準装備されるイグニションレッドのアルカンターラ+本革のシート。スポーツマインドをかき立てられる色遣いがナイス
RZにオプション設定されるブラックの本革シート。イグニションレッドでは少々は出過ぎるという人にお薦め。シックで落ち着いている
SZ-Rに標準装備されるブラックのアルカンターラ+本革シート。トップグレードのRZはブラックは本革のみだからSZ-Rの専用となる
最も価格の安いRZにはブラックのファブリックシートが標準装備となる。シート素材で差別化しているがシート形状は同じだからお得感が高い
エンジン&トランスミッション
エンジンはBMW製でRZには伝統の直6ターボ、SZ-R、SZには直4ターボが搭載される。SZ-R、RZでチューニングが変えられていて、スペックが異なる。
■直6DOHCツインスクロールターボ(B58:RZに搭載)
排気量:2997cc、最高出力340ps/5000rpm、最大トルク51.0kgm/1600-4500rpm
■直4DOHCツインスクロールターボ(B48:SZ-Rに搭載)
排気量:1998cc、最高出力258ps/5000rpm、最大トルク40.8kgm/1550-4400rpm
■直4DOHCツインスクロールターボ(B48:SZに搭載)
排気量:1998cc、最高出力197ps/4500rpm、最大トルク32.6kgm/1450-4200rpm
すべてのエンジンに共通しているのは、トルクバンドの広さいことで、ハイスペックながら扱いやすい。
これらエンジンに組み合わされるトランスミッションは8速スポーツATのみでMTはラインアップされていない。
新型スープラは2種類のエンジンで3種類のスペックを用意。直6ターボは340ps/51.0kgmのハイスペックで速くサーキットを走らせたい
■燃費
・WTLCモード燃費:12.2km/L(RZ)、12.7km/L(SZ-R)、13.1km/L(SZ)
・市街地モード:8.3km/L(RZ)、9.2km/L(SZ-R)、9.5km/L(SZ)
・郊外モード:12.9km/L(RZ)、13.1km/L(SZ-R)、13.6km/L(SZ)
・高速道路モード:14.7km/L(RZ)、14.7km/L(SZ-R)、15.1km/L(SZ)
燃費は市街地は厳しいが、ピュアスポーツカーとして充分の性能を誇る。
走りを支える技術
ニュルブルクリンクをはじめ、世界の道で鍛えられたスープラを手に入れる醍醐味と言えば卓越した運動性能で、いろいろな技術が盛り込まれている。
新型スープラは軽量化、前後重量配分などを突き詰めながらもLFAをも上回るボディ剛性を確保しているのが凄い。これも走りを極めるため
■高剛性ボディ
アルミニウムと鉄を適材適所に用いた骨格を採用し、86の2.5倍のボディ剛性を実現。これはCFRPキャビンを採用したLFAをも上回っている。
■精密な車両コントロールを可能にするサスペンション
バネ下重量を徹底的に低減。50:50の前後重量配分を実現するためフロントサスペンションとサブフレームはアルミ製を採用。
RZ、SZ-Rには走行モードや路面状況に応じて4輪のダンパーの減衰力を連続的に最適制御。乗り心地の向上にも大きく貢献。またVSCと連携してハンドリングを向上させるアクティブディファレンシャルを標準装備する。
安全装備
新型スープラには下記先進の安全装備が全車に標準装備される。
●プリクラッシュセーフティ(ミリ波レーダー+単眼カメラ方式)/昼間の歩行者に加え自転車の運転者を検知して衝突回避支援または被害低減を図る
●ブラインドスポットモニター/隣車線の死角を走る車両を検知
●レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)/追従走行を支援
●レーンデパーチャーアラート/車線逸脱しそうな時にステアリングアシスト
コネクティッドサービス
トヨタは新世代のクルマ界到来に向け、コネクティッドサービスを積極的に取り入れているが、新型スープラでも採用されていて、『トヨタスープラコネクト』を提供し、快適、便利なカーライフをサポートしてくれる。
そのほかスープラには『TOYOTA GAZOO Racing Recorder』という新兵器が用意されデータロガーとして活用できる。SDカードに記録されたデータは専用アプリでも表示可能で、別売りのアクションカムも用意される。
『トヨタスープラコネクト』には、専用のスマホアプリなどから車両の遠隔操作、確認ができるリモートサービスも用意されている
新型スープラの価格
3グレードあり、価格差100万円ずつとわかりやすい価格設定となっている。
SZ 490万円
SZ-R 590万円
RZ 690万円
※販売店は全国のトヨタ店、トヨペット店、トヨタカローラ店、ネッツ店ならびにトヨタモビリティ東京
発売前の事前予約の段階で予約が殺到しているといわれている新型スープラ。
マットストームグレーメタリックの2019年度の日本割り当て台数はわずか24台。RZ専用のオプションカラーで価格は34万5600円とかなり高価
マットストームグレーメタリックのボディカラーのRZはかなりの希少車で、2019年度生産分はわずか24台。その商談申し込みを5月17日(金)13時から6月14日(金)までの約1カ月間,Web限定で受け付けるという。
商談順は抽選によって決定されるが、新型スープラが参戦する第47回ニュルブルクリンク24時間レース決勝当日(6月22~23日)に発表される。
決して安くないし、手に入れるのがかなり困難になりそうな新型スープラだが、17年ぶりに復活したことを素直に喜びたいものだ。
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