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ニューモデル 2018.11.11

オンボロのマイクラ(マーチ)で挑む草耐久レース 敵を巻くか、煙に巻かれるか 

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もくじ

ー 草レースに出場
ー 参戦の経緯
ー ドライバーは3人
ー レースのための「整備」
ー 本番当日
ー 3時間を無事に走破
ー わずか1周差での4位
ー 10万円以下で楽しめる

    英国流、激安中古車のすゝめ 日産マイクラ1996年式 総額300ポンド、何できる?

草レースに出場

ああ、レースでこんなにすばらしいスタートを切れるなんて、人生で2度とないかもしれない。

これから3時間のあいだ、原っぱにつくられたコースで思いきり競走するのだ。スタート前、くじで決めたグリッド順は全19台中の7番目だった。

一緒にセーフティカーについてフォーメーションラップを回るほかのクルマは、古ぼけたハッチバックや解体屋行きにしか見えないクーペといった面々ばかり。ゆっくり2周まわったところで緑旗が振られ、いざレーススタートだ。

スタートラインを越えてすぐのシケインをダンゴ状態で抜け、つづく長い右コーナーで前のクルマのアウトにつけてそのまま6番目に上がった。さらにコーナーをひとつふたつすぎたところで、前をいくBMW3シリーズ・クーペがスピン。労せずして順位を5位に上げたところで1週目も終わりかと思ったら、ボンネットから湯煙をたててコース脇へ寄っていくクルマが見えた。

なんということでしょう! ゼッケン17番のわたしのマシンはまたたく間に4位におどり出たのだ。ルイス・ハミルトンだって、今日のわたしにはかなわないだろう。

参戦の経緯

さて、ここでいったん話を過去へさかのぼろう。先日、わたしはできるだけ安い中古車をさがし求め、結果このボロっちい22年落ちのK11型日産マイクラ(日本名マーチ)を買った。タダ同然の値段で買ったクルマが使い物になるかどうか試すつもりだったのだが、拍子抜けなほど問題なかった。1日に800km走ってみても何も起きなかったのだから、りっぱに使えることは強調したい。

そうなると、この1996年式マイクラがどこまで頑丈なのか、にわかに気になってきた。まあ、3時間もデコボコ野原でもみくちゃにされれば、答えはおのずと出るにちがいない。

そうしていま走っているのが、ハースト・チャレンジというレースイベントだ。主宰するのはダン・モスというグロスターシャー州のラリードライバー。地域のドクターヘリ事業への寄付金を募るために毎年開催されていて、これまでに数万ポンド(数百万円)にのぼる篤志が集まったという。

参加車両の規定は、二輪駆動に限り、その購入・整備費用は合わせて500ポンド(7万2000円)以下ということだけだ。たしかにマシンそのものにお金をかけてしまっては、イベントの趣旨にもとる。

ドライバーは3人

各チームのドライバーは3名と決まっている。わたしは単純に仲間内からふたり誘い入れたのだが、期せずしてダートレースの精鋭をそろえたことになった。

ロブ・シップはアマチュアのラリードライバーだが、整備の腕もわたしの知るなかではピカイチで、チームの中心的存在として白羽の矢を立てた。もうひとりのアダム・グールドも相当な工具使いだが、かつては国内屈指の若手ラリードライバーだった。英国ラリー選手権で何度も勝利をあげたのがその証で、わたしなど到底およびもつかないドライビングスキルの持ち主だ。

そして残りのひとりが、そう、この不肖わたくしだ。スパナはおろかクラリネットの扱いだってまるでダメだし、ましてや入り乱れて走るレースの経験などまるでない。だがそうはいっても、マシンを提供するのはこのわたしなのだ。

さてレース前日に集まったわれわれ3人は、出走にむけてマイクラの「整備」をおこなった。といっても、主な作業はレースに要らない部品をはぎ取ること。目的はもちろん軽量化だ。

窓ガラスはフロントをのぞいてすべてはずした。リアウインドウをはずすのに、ロブが「慎重にも」スパナを思いきり投げつけてたたき割ったのを目の当たりにしたわたしは、「ああ、スパナはこんなふうにも使うのか」と内心新鮮に思った。かくいうわたしも負けずに、ボディサイドにゼッケン番号を書くのにダクトテープなんかを使ってみた。

レースのための「整備」

ロブはほかにも冴えを見せ、標準のラジエーターはすぐに泥がつまって使い物にならなくなるからと車内に補助ラジエーターを取りつけてくれた。さらにはドライブベルトを交換したりレース用シート(オンボロだが)を付けてくれたのだが、そのときアダムは手際よく工具出し係をつとめ、わたしはわたしで役立つ情報をもとめてツイッターをチェックした。

タイヤについても、「付いているのを使うだけ」というこれまたしごく単純な方策とした。

きっとほかのチームはイボイボのラリー用タイヤをはいてくるにちがいないが、そもそも持ち合わせがないという身も蓋もない理由はさておき、そんなタイヤをはかせたらホイールハブやサスペンションの負担があまりに重くなると考えたからだ。

それでも知恵をしぼったあげく、トランクにスペアとして未使用の冬タイヤがあったのに目をつけ、時計回りのコースでもっとも負担が大きい左フロントにこのいちばんマシな1本を付けることにした。手持ちのスペアタイヤは結局1本だけだから、2本パンクしたら終了だ。仕上げに、減りきったクラッチ板を新品に交換した。

本番当日

はたして迎えた翌日の本番、いざ会場に着いてみるとそんな丸腰にひとしいクルマなどわれわれだけだった。ほかのチームはみな、見るからに入念な準備をほどこしてきているではないか。

骨組み同然のマイクラなど開始30分もしないうちにブチ壊れるか、パンク2回でジ・エンドにちがいないと恐れをなしたわれわれは、3人ともせめて1回はステアリングを握れるようにと短時間で交代することにした。

話をレースにもどそう。すでに記したとおり、わたしの滑り出しは上々だった。だが、つぎに前をいく3位のクルマへねらいを定めていると後ろからやたら速い一団がやってきて、また元の順位にもどってしまった。

このコースは長さが1.5kmくらいで、きつく曲がりくねったコーナーとふたつ3つの高速区間がほどよく入りまじった設定だ。タイヤがあまりグリップしないので、高速区間では文字どおりクルマをコーナーに放りこめばアペックスにむけてリアを振りながら回り込めて、すこぶる楽しい。

はじめはシケインを1速で抜け、高速区間ではちょっと3速を使っていたのだが、2カ所ほど一瞬リミッターにあたるのに目をつぶればずっと2速で走りつづけたほうが全体では速くなるとすぐに気づいた。

3時間を無事に走破

スタート直後の走りはこんな感じでひじょうに楽しかったのだが、硬く乾いた洗濯板のような地面にこれでもかと揺さぶられつづけていると、いつクルマが音を上げるか気が気でならない。

ということで、15分ほど走ったところでピットにもどり、アダムとバトンタッチした。

だがわれわれの心配をよそに、マイクラは走りつづけた。アダムにつづいてロブもけっこう長い区間をこなし、ふたたびわたしに順番が回ってきた。

もはや車内は土ぼこりだらけで、前のクルマにうっかり近づこうものなら1,2秒は土煙で視界がゼロになる。それでも、続々とトラブルをおこしてピットにもどってくるほかのクルマを尻目に、ちっぽけなマイクラは依然としてブンブン元気に頑張りつづけている。

なぜだかわからないが、とにかくいい調子だ。これなら上位10番以内に入れるかもしれない。

結局、みんな順番は2回ずつまわった。いよいよ残り時間がなくなってきたところで、わたしがゴールラインを踏むべく3度目のステアリングを握り、3時間にわたるレースを無事に完走することができた。

わずか1周差での4位

さあ、楽しかった1日を締めくくる表彰式のはじまりだ。主宰のダン・モスが最下位のチームから順に、周回数とともに読み上げていく。

だが10位まで発表がすんでも、まだゼッケン17番のお呼びはかからない。きっと忘れてるんだと思っていたら、フタを開けてみれば86周を走破してなんと4位だったのだ。

もしここで満足のうちに帰れたなら、知らぬが仏で済んだろう。だがあいにく、3位のチームの周回数がわれわれよりひとつおおかっただけという事実をすぐに知ることになった。

たった1周だって? さいごにムダなドライバー交代などしなければ、表彰台に上れたかもしれないではないか。

われわれの落胆ぶりがどれほどだったかは、会場に居合わせるだれもがその輝かしい実績を知るアダムをして「レース人生でいちばんがっかりしたよ」と言わしめたことでおわかりだろう。

というわけで、われわれのナンバーP289 BUX号のレースデビュー戦の結果はほろ苦いものとなった。だがこのK11型日産・マイクラの戦闘力には、疑いの余地はないだろう。

10万円以下で楽しめる

P289 BUX号は3時間の耐久レースを何とか走りきったが、実のところ後半戦は指先だけで崖にしがみつくかのような危ういものだった。2時間をすぎたあたりから、ボディはタンバリンのようにあちこちでガチャガチャわめき出し、エンジンも3割方パワーダウンした感じになってきた。

まあ上位に入れたのは誇らしかったし、1年間大事に置いておいて来年はさらなる上位入賞をめざしたかったところだが、残念ながらこんな状態のクルマを置いておくところがない。

そういうわけで、まことに残念ながら廃車にすることにきめ、解体屋で40ポンド(5800円)とひき替えに別れをつげた。

このクルマにかけた金額の総計は以下のとおりだ。購入代金が200ポンド(2万8000円)、ガソリン代とパーツ代とレース参加料しめて500ポンド(7万2000円)。ということで、出費が700ポンド(10万円)、買取でもどってきたのが40ポンド(5800円)だ。660ポンド(9万5000円)のお金の使い道としては、とても有意義だったのではなかろうか。

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(AUTOCAR JAPAN 編集部)

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