現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【連載】ホンダNSX再考(3)「プロドライバーの見解」《動画レポートあり》

ここから本文です

【連載】ホンダNSX再考(3)「プロドライバーの見解」《動画レポートあり》

掲載 更新
【連載】ホンダNSX再考(3)「プロドライバーの見解」《動画レポートあり》

前回、袖ヶ浦フォレスト・レースウェイにて検証したレポーターの島下泰久氏。そこで得たNSXのドライビング術が本当に正しいものか、答え合わせも含めて、今回は2名の若手プロドライバーに試乗を依頼、その特性を探ることにした。2019年モデルの注目度が高い今こそ、現行型の真価を探るのも悪くないだろう。REPORT◎島下泰久(Yasuhisa Shimashita) PHOTO◎篠原晃一(Koichi Shinohara)MOVIE◎宮門秀行(Hideyuki Miyakado)

304km/hのレヴァンテ・トロフェオ上陸記念の限定モデルが登場!

ポイントはフロントの2基の電気モーター。

 前回はアマチュアドライバーを代表して、サーキットでのNSXを袖ヶ浦フォレスト・レースウェイで評価した。では、このNSXをプロドライバーはどのように走らせるのか。答え合わせという意味合いも込めて確かめてみることにした。

 舞台はツインリンクもてぎ。週末にスーパーフォーミュラのレースを控えた金曜日にステアリングを握ってもらったのは、長期テストの第2回でも登場してくれた、スーパーGT300クラス参戦中のModulo KENWOOD NSX GT3のドライバー、大津弘樹選手だ。

 サーキットでまず行なったのはタイヤ交換。販売店オプションのトラック用タイヤ、ピレリ P ZERO Trofeo Rに履き替える。

 その他、取材の準備をしていたところで、ドコモ ダンデライアン チームからスーパーフォーミュラに参戦中の松下信治選手と遭遇した。実は松下選手とは、筆者が数年前、恥ずかしながら鈴鹿でFJ1600の練習をしていた頃(といっても本コースを走ったのは数度だけなのだが)に、F3に乗る直前の彼と知り合って以来の仲。せっかくだからNSXを試してもらうことにした。

 NSXに乗るのは初めて、市販車でサーキットを走るのも実は初めてという松下選手だったが、走り出すと「おぉー、楽しいですねコレ!」と笑顔になり、その後も「楽しい」を連発。おかしな話だが、ちょっとホッとしてしまった。

 「フォーミュラと違ってフワフワしているのかなと思ったんですけど、しっかりしててアドレナリンが出てきちゃいます。ただオーバーステア出たときの反応はフォーミュラとは違いますよね。もっと緩やかにタイムラグがある。フォーミュラはパーンとくるんで、逆にボクからすると予測しやすい。これ(NSX)はワンテンポあります。でも、面白いですよ」

フォーミュラドライバーは、こういう感覚で走っているのだ。筆者もまたフォーミュラ、乗るべきかも、というのは余計な話である。

 続いて大津選手に乗ってもらう。実は大津選手も市販車のNSXでサーキットを走るのは初めて。しかし2~3周もしないうちに外から眺めていても解るくらいキレの良い走りを見せてくれた。

 もてぎは基本、コーナー、直線、コーナーと繰り返すようなレイアウト。こうした所ではまずブレーキングからターンインでクルマの向きをできるだけ速く変えて、真っ直ぐトラクションをかけてアクセルを踏んでいくことが求められる。

 難しいのは1~2コーナーやS字といったコーナー。ここではオーバーステアへの対処が求められる。

 「このクルマの特性で1~2コーナーの間でオーバーステアが出やすいので、それをなるべく出さないように、クルマを安定させるようなイメージで走ります。S字は切り返しの部分で、すごくオーバーステアが出やすいんですが、我慢しすぎるとアンダーステアが出てしまうので、その間できれいにラインをトレースできるように走らせます」

 NSXのオーバーステアは、我々アマチュアにとっては挙動が速く、対処が難しい。速さだけでなく安定した走りのためにもここがポイントになるが、そこではNSXの特徴であるフロントの2基の電気モーターによるトルクベクタリングが難しさに繋がっている部分もあるようだ。

 4輪が限界ギリギリで旋回している時に、じわりとアクセルを入れていくと普通のクルマならアンダーステア気味に膨らむが、NSXはここでフロントがインに切れ込み、逆にオーバーステアに繋がりやすいという。こうした次元の話は、プロドライバーならではだ。

 一方、高く評価していたのがブレーキのコントロール性である。特に難所は最終のビクトリーコーナー。

「ここは緩くブレーキングしながら入っていくのでクルマが不安定になりやすいんですが、ブレーキの踏み方、抜き方でクルマの姿勢をコントロールするのがやりやすいです」

 実はパッドが終わりかけで大津選手には悪いことをしてしまったのだが、走りはやはりさすがだった。当たり前だが、プロの技である。

 残念ながらもてぎ1周を語るには、とてもこのスペースでは足りないが、大津選手のドライビングについてはGENROQ Webの動画で参照いただければと思う。NSX、難しいけれど奥深く、楽しめるクルマだということ、その走りで感じていただけるはずだ。

 さて、ホンダは先日NSXの2019年モデルを発表した。シャシーのセッティングを大幅に変更し、タイヤも新設計としてコントロール性を高め、ラップタイムも鈴鹿で2秒速くなったという。その走りがどのように進化したのか、遠からず是非確かめてみたいところである。

【SPECIAL THANKS】
本田技研工業 0120-112010

こんな記事も読まれています

2車線の片側が突如右折レーンに! 富士見川越バイパスの終点はなんであんなに残酷なのか?
2車線の片側が突如右折レーンに! 富士見川越バイパスの終点はなんであんなに残酷なのか?
ベストカーWeb
なんちゃってセレブが「核融合科学研究所」へ大人の社会科見学!「核融合」は原子力発電の「核分裂」とは違うのよ~
なんちゃってセレブが「核融合科学研究所」へ大人の社会科見学!「核融合」は原子力発電の「核分裂」とは違うのよ~
Auto Messe Web
【24’ 5/7最新】レギュラーガソリン全国平均価格は174.7円 2週ぶり値下がり止まる
【24’ 5/7最新】レギュラーガソリン全国平均価格は174.7円 2週ぶり値下がり止まる
グーネット
鈴鹿で19台が参加しGT300専有テストがスタート。初日はmuta Racing GR86 GTが最速
鈴鹿で19台が参加しGT300専有テストがスタート。初日はmuta Racing GR86 GTが最速
AUTOSPORT web
【GT300開幕戦レビュー&シーズン展望】一歩抜きん出た印象のブリヂストン。最適解は交換か、無交換か
【GT300開幕戦レビュー&シーズン展望】一歩抜きん出た印象のブリヂストン。最適解は交換か、無交換か
AUTOSPORT web
アイルトン・セナのMP4/4がマクラーレン720S GT3で蘇る。ラグナ・セカに没後30年追悼リバリー登場/IMSA
アイルトン・セナのMP4/4がマクラーレン720S GT3で蘇る。ラグナ・セカに没後30年追悼リバリー登場/IMSA
AUTOSPORT web
好感度クラスNo.1! アウディA3 スポーツバックへ試乗 小改良 見違えるほど変わった車内
好感度クラスNo.1! アウディA3 スポーツバックへ試乗 小改良 見違えるほど変わった車内
AUTOCAR JAPAN
負傷のハプスブルク、WECスパでの復帰叶わず。グーノンがふたたびアルピーヌA424をドライブへ
負傷のハプスブルク、WECスパでの復帰叶わず。グーノンがふたたびアルピーヌA424をドライブへ
AUTOSPORT web
4児の父「杉浦太陽」、新車で買った「高級ミニバン」初公開! 「すごく乗りやすくて…」全貌を明かし「カッコイイ!」「好感持てる」の声集まる
4児の父「杉浦太陽」、新車で買った「高級ミニバン」初公開! 「すごく乗りやすくて…」全貌を明かし「カッコイイ!」「好感持てる」の声集まる
くるまのニュース
世界戦デビューの地でエルラシェールが復活。リンク&コーが週末完全制覇を達成/TCRワールドツアー第2戦
世界戦デビューの地でエルラシェールが復活。リンク&コーが週末完全制覇を達成/TCRワールドツアー第2戦
AUTOSPORT web
レッドブルF1代表、フェルスタッペンの契約にニューウェイに関する条項はないと明言
レッドブルF1代表、フェルスタッペンの契約にニューウェイに関する条項はないと明言
AUTOSPORT web
リスクはある? サイバーセキュリティ規制、非対応車は「脆弱」なのか 一部地域で販売継続
リスクはある? サイバーセキュリティ規制、非対応車は「脆弱」なのか 一部地域で販売継続
AUTOCAR JAPAN
ロールス・ロイスが考古学調査!? 本社の増築予定地からローマ時代の遺物が出土…地元の小学生が「ジュニア考古学者」になりました
ロールス・ロイスが考古学調査!? 本社の増築予定地からローマ時代の遺物が出土…地元の小学生が「ジュニア考古学者」になりました
Auto Messe Web
アントネッリのF1デビューを早める動き。イモラでサージェントと交代との説は、メルセデスとウイリアムズが否定
アントネッリのF1デビューを早める動き。イモラでサージェントと交代との説は、メルセデスとウイリアムズが否定
AUTOSPORT web
BMW M4 に最強の「CS」、550馬力ツインターボ搭載
BMW M4 に最強の「CS」、550馬力ツインターボ搭載
レスポンス
史上最少僅差0.001秒決着! カイル・ラーソンが「ワイルドなフィニッシュ」で2勝目/NASCAR第12戦
史上最少僅差0.001秒決着! カイル・ラーソンが「ワイルドなフィニッシュ」で2勝目/NASCAR第12戦
AUTOSPORT web
「人とくるまのテクノロジー展」が過去最大規模となって5月22日よりパシフィコ横浜で開催
「人とくるまのテクノロジー展」が過去最大規模となって5月22日よりパシフィコ横浜で開催
Auto Prove
日産の斬新すぎる「商用バン」が凄い! もはや「でんでん虫マシン!?」な“円形ボディ”に熱視線! 人気の絶えない「エスカルゴ」どんなクルマ?
日産の斬新すぎる「商用バン」が凄い! もはや「でんでん虫マシン!?」な“円形ボディ”に熱視線! 人気の絶えない「エスカルゴ」どんなクルマ?
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2420.02794.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

600.05900.0万円

中古車を検索
NSXの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2420.02794.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

600.05900.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村