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ランサー・エボVI トミ・マキネン・エディション vs インプレッサ22B STi 前編

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ランサー・エボVI トミ・マキネン・エディション vs インプレッサ22B STi 前編

もくじ

ー この2台にしかないもの
ー インプレッサ22B STi
ー トミ・マキネン・エディション
ー エボ、走らせてみると……

ミニ・ジョン・クーパー・ワークスGPコンセプト公開

この2台にしかないもの

ランエボもインプも、このあと登場したモデルの方がより速く、そしてパワフルであることは言うまでもない。より新しいモデルは技術的に進歩して、あらゆる面でより優れたクルマだといえる。

しかし、この2台はそれぞれの頂点に君臨するモデルだ。

1990年代後半に相次いで発売されたランサー・エボVIトミ・マキネン・エディションとインプレッサ22B STiは、間違いなくシリーズのベストであり、四輪駆動ラリーモデルを代表する存在なのだ。

この2台はスバルと三菱がWRCを席捲していた1995年から2000年にかけて登場。エボVIトミ・マキネン・エディションもインプレッサ22B STiもまるで新車当時のような状態に保たれている。

しかし、この2台に昔を懐かしむ感傷以上の何かがあるだろうか? まっさらな2台に、ピークディストリクトの最高の道、そして1月終わりの幸いにもドライな1日があれば、その答えが見つけられるだろう。

その前に、最初に歴史をおさらいしておこう。

インプレッサ22B STi

1998年初頭、スバルはブランド誕生40周年と、3年連続でのWRCマニュファクチャラーズ・タイトル獲得を記念してインプレッサWRX STiの限定バージョンを発表した。22B STiは既にスバルを象徴する存在だった2ドアのワールドラリーカーの公道バージョンとして発売された。

膨らんだホイールアーチに、高くそびえたつリアスポイラー。80mm拡大されたボディを持つこのクルマは、普通のドライバーが手に入れることのできるコリン・マクレー直系のモデルだった。このクルマはホモロゲーション・スペシャルではなかったが、ロードゴーイングレプリカ以上の存在だったのだ。

1998年3月から8月にかけて、日本国内市場向けには400台の22Bが生産されたが、英国と豪州向けは、それぞれわずか16台と5台のみだった。英国向け車両はスバルのラリーチームであるプロドライブによって、最終減速比が高められ、マイル表示の速度計と英国仕様に変更されたヘッドライトを持つモデルだった。

しかし、プロドライブがこれら16台をなんとか英国で登録できるようにする前に、すでに熱心なスバリストたちの手によって、50台以上が日本から英国へと輸入されていたのだ。

モデル名の「22」は、1994ccから2212ccへと拡大されたそのエンジン排気量に由来していた。公式にはターボ付きフラット4の出力は280psとされていたが、実際には3から始まるパワーが出ていたといわれている。

一方、「B」はダンパー・サプライヤーのビルシュタインの頭文字である。そして、この車名にはもうひとつの説がある。偶然か意図的かはわからないが、22Bとは長くスバルのWRCスポンサーをつとめたタバコブランドの555を16進数で表したものなのだ。

エンジンとダンパー以外にも、クラッチはツインプレートとなり、ホイールサイズもベースとなったインプレッサWRX STiの16インチから17インチへと拡大されている。

価格は発売当時4万ポンド程度だったが、いまではおよそ7万ポンド(1063万円)にまで上昇している。このクルマを購入しようという人々が、高くなりすぎてしまったというのも無理はない。

三菱の反攻は1999年後半に始まる。

トミ・マキネン・エディション

フィンランド人ドライバーのトミ・マキネンが4年連続のWRCドライバーズ・タイトルを獲得したことを記念して、三菱はエボVIの限定バージョンを発売した。

ベースとなったエボVIに対して、このクルマには軽量でレスポンスの良いチタニウム製タービンと、より低くなった車高、さらにはフロントのストラット・ブレースとレシオを上げたステアリングが与えられている。

主要コンポーネントの多くが、モモ製ステアリングやエンケイのホイール、ブレンボ製ブレーキ、トミ・マキネンの刺しゅうが入ったレカロ製シートなど、一流サプライヤーによるものだった。

トミ・マキネン・エディションの販売期間は2年以上にわたり、3000台以上が生産されたことで、22Bに比べれば見つけやすいモデルになっている。

おそらくこの生産台数の違いが、同じようなコンディションのスバルに比べてエボVIが半分ほどの価格で売りに出されている理由だろう(低走行の22Bはいまの市場では6ケタのプライスタグを掲げている)。

新車価格3万1000ポンドと、当時もトミ・マキネン・エディションは数の少ないインプレッサよりも手に入れやすいモデルであり、さらに22Bがソニック・ブルー以外のボディーカラーを選択できなかった一方で、マキネン・エディションではホワイト、ブルー、ブラック、シルバーと、ここに連れ出した個体のようにラリー由来のデカールをまとったレッドから選ぶことができた。英国には250台が正規輸入されている。

エボ、走らせてみると……

とても冷え込んだ火曜の朝、夜明けに程遠い時間帯にエボのエンジンは騒々しくもにぎやかにアイドリングしている。

少し走らせてみたが、こんな凍えるような夜明け前では、ダンパー内のオイルもミキサー車のなかのセメントのようで、低速での乗り心地は硬く、ダンピングなど全く効いていないようだ。

コーナーにのろのろとクルマ全体を放り込んでみても、次の瞬間には道路の穴や沈んだマンホールの蓋にはまり込んだボディ全体が抵抗を示すかのようにガタガタという。

オイルが温まってくると、乗り心地も落ち着きを見せ始めるが、本当の変化のためには速度を上げてやる必要がある。80km/hを越えると、このクルマはまるで路面から1cmほど浮いているかのように滑らかに進みはじめる。

路面と格闘するというよりも、滑空しているかのようで、すべてが突然しなやかで滑らかになるために、3速から4速へとシフトをしている間にサスペンションが全部交換されたのではないかと思うほどだ。

ひどく荒れた道では、まるでサスペンションアームなど存在しないかのように、サスペンションが必死にホイールの動きに追従してボディを落ち着かせているのが感じられる。路面にできた不自然なバンプなどはボディまで伝わるが、荒れ地に広がるアスファルトの下にある自然のうねりなどは素晴らしいサスペンションがうまく吸収してくれる。

トミ・マキネン・エディションのサスペンションがターマック・ラリー用にチューニングされていることなど、カタログで確認する必要もない。

ワインディングから平地へとステージが変わり、4速や5速を使うようになると、エボは神経質なところを見せる。

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