最高出力235kW(320PS)を前輪駆動で路面に伝える「FF世界最速モデル」、新型シビック・タイプRが街を走り始めたようだ。おそらく型式から「FK8」を称されることになるであろう新型タイプRは、イギリスで生産されるれっきとした輸入車。
先代が限定販売だったのに対して、新型ではレギュラーモデルとなっているが、それでも手に入れるまでは少々時間を要するようで、いまからオーダーしても納車は2018年夏頃になるという。
さて、今度のシビック・タイプRはグローバルで共通プラットフォームを持つ新型シビックをベースとしているもので、プラットフォームの開発段階からタイプRの存在を考慮したというのがセールスポイントのひとつ。
つまり、標準のシビックであってもタイプRにつながる素性の良さを持っているということであり、タイプRの立場でいうと、基本的なボディ剛性が高いレベルにあるのがメリットというわけだ。
しかし、ここで不思議に思うのは新型タイプRの5ドア・ハッチバックボディというのは開口面積が広くなってしまい、ボディ剛性には不利な形式であること。しかも、新型シビックにはセダンやクーペといったバリエーションもある。
このあたり、本田技術研究所において新型シビックの車体設計を担当したというエンジニア氏に伺ってみると、やはりボディ剛性としては、ハッチバック < セダン < クーペ の順に強い傾向にあるのだという。ある意味、手持ちの材料からベストチョイスをして速さを磨くのがタイプRの出自であるとすれば、クーペをベースにタイプRを生み出すことが理に適っているように思える。
もっとも、このクラス(Cセグメント)のクーペというマーケットがそこそこの規模があるのは北米市場に限定されており、いくらクーペにスポーティなイメージがあるとしても、それをベースにタイプRを世界展開するというのは、これまたロジカルではないのかもしれない。
しかし、であればアメリカや中国では主流になるというセダンをベースにタイプRを仕上げることが素性とマーケットサイズのバランスから最適解になるのかといえば、そうではない。前述のエンジニア氏は、セダンボディのタイプRの是非についても議論はあったというが、シビック・タイプRのヘリテージがそれを許さない。
日本で作られた、いくつかのシビック・タイプR(EK9、FD2)を除くと、グローバルにいうシビック・タイプRとはイギリスで生産されてきたし、それはいずれもハッチバックボディだった。
新型シビックのハッチバックは、基本的にイギリスだけで生産されることを考えても、シビック・タイプRとしての伝統を守るためには、ハッチバックボディを選ぶことに疑問を挟む余地はないのだろう。つまり、グローバルにはシビック・タイプR=ハッチバックボディというわけだ。
新しいFK8タイプR、その量産モデルには乗っていないのでハッチバックボディだから剛性面で不利であるかどうかわからないが、少なくともプロトタイプに乗った印象でいえば、ハイグリップの20インチタイヤに対してボディが負けているという印象は微塵もなかった。それほど新しいプラットフォームは強く作られているのだ。
(文:山本晋也)
※画像はプロトタイプです。
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