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ロードスター再考(1) 初代マツダMX-5 いかにして世界を変えた?

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ロードスター再考(1) 初代マツダMX-5 いかにして世界を変えた?

あの素晴らしいロードスターをもう一度

1980年代の終わりにかけて、オープン2シーターは死に絶えたわけではないのだが、少なくとも絶滅危惧種であったのは間違いない。

マツダCX-8 エクステリアをとらえた1枚の写真

この世代の初期には(後に消えゆくことになるのだが)MGやトライアンフからヒーリーやロータスまで選択に困るほど選ぶものがたくさんあった。

しかしその後、危機に貧していたマーケットは少しずつ息を吹き返していった。その起爆剤となったマツダMX-5の存在は決して無視できるものではないだろう。

初代MX-5は技術の革新と楽しさで、これまでのスポーツカーの解釈をより深いものに変えた。ちょうどブリットポップが60年代の音楽をより理解しやすくしたのと似ているかもしれない。

小さなツインカムエンジンにふたつの座席を持ったこの後輪駆動車は、極めてモダンなクルマだった。大きく膨れ上がり、様々な要素をごちゃ混ぜにしつつあったこの時期のホットハッチの解毒剤となり、同時に人々の心を確実に捉えた。

現代では、使い勝手の良さと旧き佳き時代のスリルが見事にブレンドされた2シーターのオープンカーが求められている。また同時に手頃な価格と専門的なネットワークも求められているのだ。

金額にして£2,000(35万円)から£30,000(525万円)までのプレーステーション世代のオープンカーの中から、地味なクルマから派手なものまで、われわれの選んだクルマが読者に何らかの影響を与えることを祈っている。

まずはマツダMX-5(日本名:ロードスター)から乗ってみよう。

マツダMX-5に試乗

フィアットX1/9やトライアンフ・スピットファイアがヒントに

MX-5はどこにでもあるので、世間はこの素晴らしい2シーターの存在を当たり前のことのように見なしている、という問題を抱えている。

ただしその分、£2,000(35万円)程度を支払えば、まずまずのコンディションの初代を購入することができる。完璧なコンディションのモデルでさえ£5,000(85万円)くらいで手に入れられるはずだ。

1983年にマツダは研究/開発センターをアメリカに設立、わずか1年後には、英国のIADで組み立てた最初のプロトタイプがトヨタのライバルよりさらに上の評価を獲得した。

チーフ・エンジニアの平井俊彦氏は当時名を馳せたスポーツカーからヒントを得るためにロータス・エランやセヴンからフィアットX1/9やトライアンフ・スピットファイアに至るまでの全てのスポーツカーに乗った。

また通勤中には氏が録音したお気に入りのエグゾーストノートを車内で流し、理想とする音質を絞り込んだのだという。

モットーは「人馬一体」

そうして先に挙げたスポーツカーたちの素晴らしさを、安い価格と維持費で実現しながらも、非常に卓越したドライブフィールを得ることに照準が定まった。

平井氏が掲げたモットーは「人馬一体」。手に取るように挙動を把握でき、安全で、コントロールしやすいクルマづくりという目標が氏のチームにも浸透していった。

実際に見てみるとロータス・エランから多くのヒントを得たことが伺えるが、それよりもさらに高いレベルで独創的な設計がされたと言える。

またロードスターのアイデンティティとも言えるラウンドしたボディラインは、エッジを立たせた初代MR2やベルトーネX1/9との識別点になった。

親しみやすいフロントフェイスに落ち着いたディテール、こぢんまりとしたボディサイズが絶大なる支持を得るのにそう時間はかからなかった。

内装の多くは黒に統一されているが、その全てがシンプルで把握しやすい。簡素なダイヤルはあるべきところにきちんとあるし、幌の開閉も驚くほど簡単だ。

各々のパーツに弱々しさはないし、低いドライビングポジションや感触のいいギアボックスは運転する者の心を確かに高揚させてくれる。

「ノックアウトされそうになるくらい楽しい」

日本で発売されたユーノス・ロードスターは英国のものに比べて、パワーステアリングや電動ウインドウ、エアコンなどの標準装備が多い。また一般的に信じられているのとは反対に、ヨーロッパ車と同程度の防錆も施されている。

パワーアシストの有無に関わらずステアリングのフィードバックは一貫性があるうえ、ラグやイナーシャもゼロ。

ターンインはとてもシャープで後輪のグリップも絶妙だ。帰路につけば、思わず遠回りしたくなるに違いない。

1.6ℓのツインカムは猛烈にパワーが有るわけではなく、1994年に追加された1.8ℓの方が力強さがあるが、それでも非力と感じることはなく必要にして十分といったところだ。

必然的にギアチェンジの頻度は高くなるが、先述したとおりシフトフィールが非常に良いので煩わしく感じることはない。

決して目立つタイプのクルマではないが、購入すれば様々なオーナーズクラブや、専門的な整備を施してくれるお店も揃っている。

£500(8万5000円)くらいの、オプションだったハードトップを装着すれば1年中何も気にせずに走らせる事ができるし、取り外しもひとりで可能。悪癖など皆無の初代のロードスターは、「ノックアウトされそうになるくらい楽しい」と言っても過言ではない。

次回は初代ロータス・エリーゼを試す。

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