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【新型トヨタ・ハリアー詳細解説】2Lターボは圧倒的な速さを目指して開発

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【新型トヨタ・ハリアー詳細解説】2Lターボは圧倒的な速さを目指して開発

 3.5リッターNA並のトルクを1650rpmから発揮!

 初代から3代目まで、すべてのハリアーの開発に携わり、今回のマイナーチェンジでも開発責任者をつとめた石井隆さんに、新型の走りで求めたものについて伺った。

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 石井さんは、ハリアーとともに歩んできたといっても過言ではない。自身の愛車としても歴代ハリアーを乗り継いできたという、ハリアーのすべてを知り尽くしたエンジニアだ。そんな石井さんが、3代目ハリアーの弱点として挙げたのが、スポーティさ。その実現のために導入されたのが2リッターターボである。

 新型で目指したのは、高級感のあるハリアーらしいスポーティな走り。非線形のアクセル制御や専用のESP適合値を備えることで、アクセルのレスポンスやステアリングフィールはよりスポーティな味付けがなされ、低回転から発生する強大なトルクによる「圧倒的な速さ」を実現したという。

 その乗り味実現に大きな貢献を果たしたのが、ねじれ剛性を向上させるパフォーマンスダンパー。従来のようにサスペンション頭部を連結するのではなく、サイドメンバーの前後端に装着されているのが特徴となっている。

「サスの頭部周辺は、もともとボデー剛性が高く作られています。一方、前後端は車体のなかでもっとも遅れて動く部分ですから、パフォーマンスダンパーがすごくよく効く場所なんです。高い操縦安定性は、とりわけ高速道路のレーンチェンジといった場面で強く実感していただけると思います(石井さん)」。

 今回パワートレインで追加されたのは、ダウンサイジングターボの8AR−FTS型で、3.5リッター自然吸気相当の最大トルクを1650rpmという低回転から発揮。常用域では4気筒ならではのメカニカルロスの少なさから低燃費とすることが可能となる。すでにレクサスNXやRXの200tに搭載されているが、ハリアー用にチューニングされ、最大トルクの350N・mを1650-4000rpmで発生するのは同じだが、最高出力は170kW(231馬力)に抑えられている。

 メカニズム的には、直4のDOHCにインタークーラーターボを装備。ハイオク仕様で圧縮比を10:1と高めにし、無過給時の熱効率を下げないようにしている。燃料供給はポート噴射と直噴を併用したターボ専用のD-4STを採用し、運転状態に合わせて最適な噴射を行なう。

 たとえば静粛性の面ではアイドリング時に作動音が目立つ直噴ではなく、ポート噴射を使う。可変バルブタイミングは吸排気の両方に装備していて、吸気側では可変角がワイドなVVT−iWを採用。吸気行程を大きく遅らせるアトキンソンサイクルとして、ポンピングロスを抑え高膨張比とする高効率運転も可能となっている。吸気ポートは混合気の撹拌を高める高タンブル形として、急速燃焼による高効率化なものとなる。

 エキゾーストマニホールドはシリンダーヘッドにビルトインされ、排気温度をヘッドで落として排気タービンへの熱の負担を下げ、燃料を過剰に供給する燃料冷却を抑えて過給域での燃費悪化を防ぐ。さらにタービンへ与える排気エネルギーを最大限にするため、マニホールドを2経路にして排気干渉を防いでいる。

 ターボのタービンハウジングは内部がふたつの通路に別れたツインスクロールで、シリンダーヘッドから2経路で出てきた排気エネルギーをロスなくタービンホイールに当てて、低回転から高回転域まで素早い過給の立ち上がりと高トルクをキープできるようになっている。

 過給圧をコントロールするウェストゲートバルブは、バキューム式アクチュエーターで、エンジンの排気側カムシャフトで駆動されるバキュームポンプの負圧で作動。制御のない状態では開いているが、これには燃費向上や排ガスの浄化の目的がある。エンジン始動時は、排ガス浄化用の触媒温度が低いため、なるべく早く触媒温度を上げる必要があるが、タービンに排気を流すとそこで温度が下がってしまうので、ウェストゲートから排気温度を維持したまま下流の触媒へバイパスしてやるのだ。

 また、市街地巡航などの通常運転で過給がない領域ではタービンへ排気を流すと排気側の抵抗だけが上がって排気行程での残留ガスが多くなってしまい、結果として燃費が悪くなってしまう。この場合も、ウェストゲートバルブを開いて、自然吸気エンジンとして高効率な運転を行なう。これらは、可変バルブタイミングのVVT-iWやVVT-iの制御とも協調して作動する。

 コンプレッサーハウジングには、エアバイパスバルブが装着されていて、シフトアップや減速時などスロットルバルブが閉じたときにコンプレッサーの圧力を逃がし、タービンの回転を落とさないようにすることで、次の加速でのターボラグを抑えるようにしている。このバルブは圧力を抜いた際のノイズ軽減にも役立っていて、ターボ化による違和感をなくすようにしている。

 インタークーラーは、コンパクトでターボのコンプレッサーからスロットルバルブまでを最短にできる水冷式を採用。ラジエーターや電動ウォーターポンプといった低水温システムを持っていて、ラジエーターはフロントグリル内に装備されている。これによって車速に関係なく高い冷却効果を維持することができる。

 ガソリンエンジンでは、2リッター自然吸気の3ZR−FAE型もある。こちらは吸気バルブリフトを連続的に変化させるバルブマチックや吸排気バルブのバルブタイミングを最適にするデュアルVVT-iを採用し、レギュラーガソリン仕様のポート噴射式でありながら圧縮比10.5:1とした高効率エンジンだ。

 トランスミッションはターボではスーパーインテリジェント6速AT。2リッターのNAは7速マニュアルモード付きスーパーCVT−iをそれぞれ採用する。

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